特集 2012年8月22日

地獄極楽判決マシーン

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今週の土曜、8月25日に岐阜県の大垣で開催される
Make:Ogaki Meeing 2012に自作の工作を展示することになった。

当初は新作を作るつもりでいたけれど、ぼんやりしてる間に時間がなくなってしまった。
そこで以前作った工作を改造して、少なくとも展示に耐えうるものにしようと方向転換。
過去に作ったドラマチックマシーンを展示に耐えうるものにしようとした。

そうしたら閻魔様が地獄行きか極楽行きかの判決を下す
マシーンになりました。
1985年生まれ札幌市出身。髪がとても硬いため寝癖がなかなか直りにくい体質。そのためよく帽子をかぶっています。

前の記事:東京のポプラ並木巡り

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地獄アトラクションにあるようなアレ

完成したマシーンがどんなものなのか、 とにかく見てください。結構長いうえに妙な音声が出ますがお願いします。
日本各地にポツポツと存在する、いわゆる珍スポットと呼ばれるような地獄をテーマにしたアトラクション(?)。

イメージしたのは、そこによくあるような閻魔大王が突然しゃべり出して地獄行きか極楽行きかの判決を下してくるような装置だ。

マシーンとしての部分はともかく、音声は雰囲気が出てると思う。

ここまでに至る経緯

なぜこれを作ったのか、それはもともと以前作ったドラマチックマシーンを改良しようとしたところから始まる。

ドラマチックマシーンというのはこういうのです。
また壮大に音が出るので気をつけてください。
詳しくはリンク先の過去記事を…見るまでもないか。 要は音に合わせて突然振り向いてズームしたらドラマチックでしょというものだ。

これを展示しようと考えていたわけだが、
この風体。
この風体。
当サイト主催のイベントとかだったらこれで出してもいいかもしれない。

しかし今回は違う、工作に関する猛者が集まるMakeである。 そこでこんなのを展示したら即ゴミとして回収されるかもしれない。 差し入れの弁当と思って食べてしまうかもしれない。

3つの改善策

このマシーンには全体で 致命的な欠点が3つある。
1.音が編集で後付け
2.モーターがまるで固定できてない。
3.見た目がお総菜


3つ以上あるだろう、という心の声も聞こえてくるがとりあえず ここに絞って検討した結果、以下の改善策を思いついた。
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策というより当たり前のことばかりである。

しかしこの点さえ直すことが出来れば完成度はグッと上がるはず。

さらにドラマチックさを演出するためにこんな工夫も考えた。
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止まっているときは青色LEDで箱の中を照らし、 回転してドラマチックが発動すると、赤色LEDが発光して 劇的にドラマチックな演出になるのだ。我ながらナイスアイデア!
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いきなりのゴミっぽさ

方向性は決まったのでさっそく作っていこう。 まずはマシンを入れる箱からだ。
ダンボールだとどうしてゴミに見えてしまうのだろうか。
ダンボールだとどうしてゴミに見えてしまうのだろうか。
加工の容易さと持ち運びのことを考えて素材にはダンボールを使う。

そしたらもう見た目が不安なことになってしまった。

でもいまの段階で心配してもしょうがない。 最後に大化けすることを期待しよう。
穴を開けてそこにスピーカーをはめる。
穴を開けてそこにスピーカーをはめる。
電子工作感が2ポイントアップした。
電子工作感が2ポイントアップした。

これぐらいの土台作っておこうよ

サーボモーターを載せる土台は木材を組み合わせ接着剤とネジで サッと作った。
凱旋門。
凱旋門。
なぜ過去の自分はこんなのさえ作らなかったか。怪奇現象というほか説明がつきません。

ノーモアハイパーモード

ところでこのサーボモーター、以前ドラマチックマシーンを作ったとき、 連続稼働させると熱暴走して動きがプルップルになるハイパーモードが発動してしまっていた。
動画としてはおもしろいが、これが会場で起こったらかなり気まずい。 冷めるまで待つのも恥ずかしいので、放熱板を付けて熱対策を行った。これでもうノーモアハイパーモードである。
放熱板の付け方、これで良いのか分からない。
放熱板の付け方、これで良いのか分からない。

メインシステム部も完成

スイッチを押してないと青く光り、
スイッチを押してないと青く光り、
押すと赤くなってモーターが回る。
押すと赤くなってモーターが回る。
マイコンと呼ばれる物にLEDとかモーターを接続して、 PCからプログラムを書き込んだ。

この辺りは説明すると専門的になるのと、知ってる人には鼻で笑われるレベルなので 知らない人はとにかくなんかすごいことしてると思っててください。どうだすごいだろう。

動作確認

とりあえず動作をチェックする。 適当なもので適当にドラマチックしてみた。
少し挙動の怪しいところはあるが、だいたい良いだろう。
まるでストリップクラブ(行ったことありません)。
まるでストリップクラブ(行ったことありません)。
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形になってまいりました

致命的欠点の2つとLEDのギミックが出来た。 ここまでくればもうほとんど完成なので、ダンボールの箱に収めていこう。
LEDはこんな風にしました。
LEDはこんな風にしました。
工作らしくなってきた。(工作に対する意識がその程度です)
工作らしくなってきた。(工作に対する意識がその程度です)

音は手動で鳴らす

ところで残りの欠点の音に関しては、 これもマイコンでなんとかしようとしたけどなんともならなかったので、 iPodから手動で鳴らすことにした。

鳴らしたドラマチックサウンドにタイミングを 合わせて振り返るスイッチを押す。 それは(僕のスキル不足により)人間にしか出来ないことだ。
ローテクではなく、デジタルとアナログの融合です。
ローテクではなく、デジタルとアナログの融合です。
スピーカーの接着は安心のガムテープ。
スピーカーの接着は安心のガムテープ。
これで完成だ。中を覗いてどんな感じか見てみよう。
Wao
Wao
ずいぶん淫靡な雰囲気である。 18禁ボックスと注意書きしておいた方がいいかもしれない。
箱に収まりきらず頭がぶつかっているのと、暗くてなんだかよく分からないのを除けば 目標としていたものにだいたい近いのが出来た。
しかし見た目がなあ。
しかし見た目がなあ。
分かりやすくしました。
分かりやすくしました。
ドラマチック体験により没入できるよう布をかけた。 そして分かりやすいように看板も付けた。見た目のヘボさはむしろ増したかもしれないが、 フレンドリーさがアップしたと考えて欲しい。

なお左下にあるのは最初に看板の文字を書き間違えたものです。ありえない間違え方に自分で恐ろしくなりました。
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沸き上がる疑問

ドラマチックマシーンの改良は終わった。

終わったのだが、本当にあれでいいのかという疑問はぬぐえない。
朝起きてこれが目の前にある。そして悩む。
朝起きてこれが目の前にある。そして悩む。
そもそもの目的は「展示しても恥ずかしくない物にする」だったはず。 だとしたら全然その目的を達成してないのではないか?だって恥ずかしいじゃないか、これ。

それと、新たな致命的欠点が出てきてしまったのだ。
いちいち開けて振り向く部分を交換するのが面倒。
いちいち開けて振り向く部分を交換するのが面倒。
暗くてよく分からない。
暗くてよく分からない。
振り向く部分をいろいろ交換できるのはメリットの1つではあるが、 展示しておくという状況では毎回ダンボールを開けて交換するのは 避けたい。

そして暗くてなにが振り向いたんだか分からないのは致命的だ。 前ページで「暗くてなんだかよく分からないのを除けば目標としていたものにだいたい近いのが出来た」と言ったけど、それ除いちゃダメなやつだろう。

そうだ地獄だ

とはいえどうすればいいのか…
うーん…
うーん…
あ、

これはあれだ、

地獄アトラクションにある閻魔ロボットだ。
こういう雰囲気のやつ。
こういう雰囲気のやつ。
写真の石像は江ノ島の洞窟にあった偉い人であって、

この石像が閻魔大王で、こんな感じのライトアップしたのが想像したのに近い。
「全興寺 地獄堂」「登別 閻魔」で画像検索するとまさしくそんな感じのが出てくる。

とくに登別の閻魔様は温厚な顔から怒った顔に変化するギミックがあり、
この部分をドラマチックマシーンに応用すれば簡単に真似できそう。

それに「どうやら地獄らしい」ことが分かれば、暗くてよく分からなくても察してもらえるはずだ。
温厚な顔から、
温厚な顔から、
怒った顔に。
怒った顔に。
温厚な顔がかなり変態ぽくなってしまったのは、 怒った顔を元に変形させた技術的限界であります。

また地獄アトラクションには閻魔様が突然しゃべりだす仕掛けも必須要素。 これには自分の声をゆっくり再生してエコーをかけたものを作った。
本番までには何パターンか用意したい(希望)。
本番までには何パターンか用意したい(希望)。
そして出来上がった物が、最初に見ていただいた地獄ボックスなのである。

ドラマチック地獄

過去に作った工作を展示に耐えうるものに改良したら 最終的に地獄になった。

元のドラマチックマシーンより良くはなったと思う。 でもこれで展示しても恥ずかしくないかというと全然自信ありません。

僕にとって地獄を味わうマシーンにならないことを祈るばかりである。
もっと恥ずかしくなってる気がします。
もっと恥ずかしくなってる気がします。
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