DPZに記事書いてると色々気づく。気がつかなくていいことに
あるとき、街を歩いていて、小学校の近くに来たときに気がついたのだ。「そういえば、学校のまわりって、なぜだかL字型の道路が多いよなー」と。
このように、一本道が折れ曲がっている状態が多い。気がした。
この学校を地図で見ると、敷地自体がL字。こういう学校が多い。気がした。(
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その角に立って左右を見回す。交差点ではなく、ただ道が折れ曲がっている。そういうのが多い。気がした。
DPZの記事を書くためにやぶれかぶれに街を歩いていると、いろいろなことに気がつくようになるものだ。この発見も、
角のたばこ屋を探しているときに気がついた。
「そういえば、ぼくの出身中学校もグラウンド側の門のところがL字だったなあ」
ぼくの通っていた葛飾中学校。こうしてみると敷地すごい形してる。そりゃあL字型にもなるわ(
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もしかして、おおくの学校のまわりにL字道路が存在するのではないか。
そう思って地図で
ざっと近所を見ると、あるわあるわ。体感では半分弱の物件にL字型道路が存在する。体感では。
じゃあ、実際に見に行ってみよう。
こういう道、なんかいいよね?ね?ね?
って、そのときはうきうきしながらでかけて、巡っている最中も楽しかったのだが、いざいま記事書き始めてみると、どうもいけない。
ひとつ・地味だ。L字だからどうだっていうのだ。
ふたつ・写真でなかなかそのキュートさが伝わらない
見るからに学校建築に向かって延びる道が、一見突き当たって行き止まりのようになっている!これは!きた!
ほーら!すてきなL字!
角に立って見回してみた。正面の団地が気になる。そして右の先を見ると…!
なんと、さらに逆方向にL字に折れ曲がっているではないか!すばらしい!
上の物件は、L字が2連続していて、つまりクランク状の道路になっていたのだ。これは興奮した。
興奮したんだよ。興奮したんだけどねえ、これ読んでるみなさんはどうかしら。
興味深いよね?ね?
やっぱり団地が気になる。
みっつ目の問題もある
前ページ最後のクランク作品、2つめのL字の角に立って見る。左はよりによって迎えに来たお母さん方がたくさんいる保育園。団地は右背後。
でもなあ、おもしろいと思っちゃったのだ、ぼくは。だから先を続けよう。
で、もうひとつ、みっつ目の問題があって、それは小中学校のまわりでカメラ持ってうろうろすると非常に怪しいということだ。
「スクールゾーン」とあれば、ターゲットは近い。
そしてその通学路にピンク色のあやしい人物!せめてジャケットの色を地味なものにすればよかった。
全ページの写真を見ていただければ分かるが、当然のことながら子供達が多いのだ。カメラを向けるのがはばかられる。
いや、おじさんはね、君たち人間には興味ないのだよ。年齢から言えばね、確かに君らぐらいの子供がいてもおかしくないのだけれどもね。ぼくが興味あるのは道路と団地だけだよ。
T字路は、惜しい
さて、いぶかしげな視線にめげず学校を巡っているうちに「惜しい!」っていう物件がちらほらあることにも気がついた。それはT字路である。
墨痕鮮やか「スクールゾーン」の向こうに見える学校の門!
残念なことに、L字型の道路字ではなく丁字路。これは「2級」に分類しよう。1級はもちろんL字路のことだ。
学校そばに来るとどきどきする。いろんな意味で。
とまあ、丁字路も悪くはない。がんばっていると思う。でもL字ほどではない。なので、丁字路は「2級通学路」とした。もちろん「1級」はL字だ。
それにしても地図で見たらたくさんあった気がするのだが、いざ街に出ると「級外」事例が多い。
たぶん心理的に追い詰められているせいもあるだろう。だーかーらー子供に用はないんですよー。
ああ、しかし、十字路…級外。あたらせっかくの通学路がもったいない。なぜL字にしない。
で、なんでL字が多いのか
これはすばらしい!鋭角の敷地が生み出した変則的な丁字路に、L字が連続!
L字の部分も、やんわりとした角度で好感が持てる1級っぷり。
ぐっと道幅が狭くなる点もたまらない。ここに住みたい。
さて、で、なんでL字が多いのか。
こういうクランク状の道路が多いもうひとつの町といえば、城下町だ。
城の防衛のために見通しのよい道にせず、わざと角を多くしたという。それが今でも残っているので有名なのは、たとえば川越。おかげで車の通行がすげーたいへんなことでも有名だ。
しかし、まさか多くの学校が城下町にあるわけでもない。別の理由だ。
で、以下はぼくの推論。たくさんの対象について検証したわけではないので、推論どころか「そうなんじゃないかなーたぶんー」ぐらいのものです。
地形には関係なさそう(「
東京時層地図」の画面をキャプチャしたものを加工。以下同様)
高度経済成長期の地図。注目すべき点は真ん中の区立向陽中学校の、問題のL字部分だ。食い込んでいるヶ所が水田になっている。
これが昭和戦前期。左はすでに学校だが、真ん中と右は田んぼと林。
で、これが関東大震災直前の頃。右の学校敷地に引かれた点線に注目だ。
たぶん、ほんとたぶんだけど、これは要するに土地の確保がきれいな形にいかなかった、ということなのではないかと。
今回巡ってみて、また地図を見て実感したけど、学校の敷地ってけっこう大きい。少なくとも東京のような大都市近郊の市街地の中にこれほど大きな敷地をまとめて確保しようとなれば、複数の所有者の土地にまたがることが多いだろう。となれば、提供する人もいればそうでない人もいるはずだ。その結果がL字型の土地なのではないか、と。
ほんと、たぶんだけど。
さて、ほんとかどうかは別として、いちおうすっきりしたので、今回巡った中で最高峰の通学路をご紹介しよう。
L字通学路の最高峰(暫定)
正面が学校。期待が高まる!
味わうようにじっくり曲がってみれば、なんと向こうにも!クランクだ!特級!
角に立って見回す。そしてさらに右の方を見ていくと…まさか…?!
なんと、クランクが導く一本道の先にみたびL字が!うひょー!
で、そこから曲がって先を見ると…!ななななんと!
こっちもクランク!特級!ダブル特級!すげー!(興奮しすぎて自転車どけるの忘れて撮った)
いやー、興奮した!書き終わってみればぜんぜん地味な記事じゃなかったね!ね!
2連超特急の学校は地図で見ると、こんな。しかも東の脇には魅惑の「
コの字路地」もあるではないかっ!なんというすばらしい情操教育!ここで育った子供達の将来が楽しみだ。(
大きな地図で見る)
角のたばこ屋を探していて気がついた、今回のL字型の道路だが、巡っている最中に逆に角のたばこ屋を見つけた。角が角を呼ぶ、角スパイラル。こうやって旅は終わらないのだ。
最後すごいクランク作品に出会って、すっかり興奮してしまった。まだまだ巡りたいL字型の道路はたくさんある。今後も見ていこうと思う。通報されないように気をつけよう。
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