塩麹をまだ知らない方の為に
以前にも紹介した塩麹をもう一度簡単に説明しておきます。
塩麹は麹と塩と水で作る調味料です。混ぜ合わせた麹、塩、水を毎日かき混ぜて10日程で出来ます。トロリとしていて、ダシの利いた塩味にほのかな甘味が合わさった複雑な味です。
そのまま何かにかけて食べる。野菜、肉、魚などを漬ける。炒め物や煮物に塩の代わりに入れる。使い方は様々です。
以前の記事の時に作った赤ピーマンの塩麹漬け。パプリカを漬けても美味しい。
スルメの塩麹漬けの作り方
それでは、最近我が家で大人気のメニュー。スルメの塩麹漬けの作り方です。
子供の頃は焼いてマヨネーズ醤油をつけて食べるのが好きでした。
用意する材料はスルメ、塩麹、酒、ミリン。あと、お湯で戻した麹も有った方がいいです。
硬いのでキッチンハサミがあるといい。
プラスチック容器よりもチャック付き保存袋の方が混ぜやすいです。
分量はスルメ1枚に対して塩麹が大サジ2、3杯。酒とミリンは煮きった物が合わせて50~100ml。戻した麹が50~100g程度あればいいです。
まずはスルメを細く切り分け、保存袋に入れます。
時間はかかるが塩麹は買ってくるより自分で作るほうがお徳です。
今回は麹を追加しないで作った。麹を使った物よりもアッサリとした味になる。
保存袋に入れたスルメに残りの材料を入れて、全体に馴染むように混ぜたら後は冷蔵庫に保存しておくだけです。
ただし、出来るのに10日程かかります。
漬かると生のイカに近づく柔らかさになる。
保存中は、1度ぐらい上下を入れ替えるように混ぜ合わせる程度でそのまま冷蔵庫に保存します。実に簡単な作業です。切って混ぜて置いておくだけ。
ただし、混ぜてから10日程寝かせる必要があります。
生のイカを塩麹に漬けてもこうはならない。干したスルメだからいいのです。
出来上がったスルメの塩麹漬けは生のイカのような柔らかさになっています。そのままのスルメよりも更に旨味が増していて、深い味わいです。後をひく塩味と甘味があります。
生のイカを塩麹につけてもこのようにはなりません。一度干されたスルメだからいいのです。
ご飯に合うのはもちろん、日本酒にも当然合う。合い過ぎる!本で知って製作の手間と時間が面倒と思ったが作って良かった。
この料理、塩麹を作るところから始めるとなると、塩麹で10日。スルメを漬けて10日。合計20日間必要です。作業は簡単ですが、時間がかかります。
しかし、20日待っても是非作るべき美味しさ。食べてみたい方は迷わず実行です!
驚くうまさですよ!
ところで、他の乾物ではどうでしょう?
ということで、スルメの塩麹漬けは干されて旨味の増したスルメの旨味を更に引き出し、驚くうまさになっています。麹の力は素晴しいですね。
さて、世の中にはスルメに限らず、積極的に干される事により保存性や旨味を増した食品が多数あります。もしかすると、その中にスルメの塩麹並みに更に旨さを増す食品があるかもしれません。それを探ってみました。
もし、うまくなる物が見つかったら我が家の定番にしたいところ。さて、結果はいかに。お好きなところから、または順番にご覧ください。
酒の肴にいいね!干し貝柱。
スパイシー、おいしい。ビーフジャーキー
甘くて酸っぱい。干し梅。
酸っぱいうまさ。都こんぶ。
南国フルーツ。ドライマンゴー。
最臭兵器。焼きくさや。
「干し貝柱」
スルメ以外の乾物塩麹漬け作り。最初は干し貝柱です。
スルメと同じ魚貝系で、干すことにより旨味が増している点も同じ。かなり期待大です。
プリッとした生の貝柱のようになるだろうか。
分量は貝柱50gに、塩麹を大サジ2。酒とミリンを混ぜて煮切った物を大サジ4ぐらい。それを保存袋に入れてスルメ同様に10日ほど冷蔵庫保存。
10日後。チョッと揉んだら貝柱がバラバラに崩れてくる状態。
10日経った貝柱の塩麹漬けは、生の貝柱と同じぐらいに柔らかくなっているようにも見えます。それ以前に、繊維がバラバラに崩れてほぐし身のようです。
生貝柱というより貝柱フレークだね。
箸で持ち上げると生と同じとまではいきませんが、かなり柔らかくなっていました。特に強い香りなどはありません。食べてみます。
フツーだな・・・
干し貝柱の塩麹漬けは、確かに生に近づく柔らかさになり食べやすくなっていました。ただ、若干味がまろやかになっていると思える程度で、味に大きな飛躍は見られません。10日かけた割には普通の味です。
塩麹以外にごま油とか、山椒なども加えて漬けると新しい美味しさが生まれる可能性はありそうです。しかし、10日もかけて干し貝柱からやらなくても、生の貝柱を買ってきてやれば済んでしまいそう。手間の割に成果の薄い干し貝柱の塩麹漬けでした。
「ビーフジャーキー」
ビーフジャーキーというと、昔の海外旅行土産のイメージがあります。
続いての乾物はビーフジャーです。
塩麹に肉を漬けて焼くとうまいのは確認済み。ビーフジャーキーも旨くなるのか。元々味の濃い物なので、塩麹で更に塩気が増しそうでやや心配です。
生肉のように柔らかくなったらユッケ風になるのだろうか。
分量はビーフジャーキー50gに、塩麹を大サジ2。酒とミリンを混ぜて煮切った物を大サジ4ぐらい。保存袋に入れて10日ほど冷蔵庫保存は同じです。
見た目はあまり変わらない。
ビーフジャーキーは塩麹に10日漬けてもあまり変化がありません。そのままの形を保っています。
生肉・・・には見えないな。やはりビーフジャーキーだ。
持ってみると硬さを感じます。この点は変化なし。しかし、スパイシーな香りはかなり穏やかになっています。
あっ、結構うまい。
ビーフジャーキーの塩麹漬けは、元の物よりも若干柔らかくなり程よい硬さになっていました。塩気やスパイスの香りも穏やかになっていて、全体的に上品な感じです。
塩麹独特の甘味も加わり、ビーフジャーキーの塩麹漬けはなかなかうまいです。ちょっと変わった味のしっとりビーフジャーキーですね。ただ、何もビーフジャーキーを漬けなくても、生の肉を漬けて焼いた方が安いしうまくないか?という疑問は残ります。
「干し梅」
一時期これにハマってバカスカ食べていた時期があった。飴食べるよりかサッパリしていい。
続いての乾物は干し梅。
これを乾物と言うとやや疑問が残るところですが、干しているので概ね乾物ということにします。
もともと結構柔らかいので、それほど変化しないと予想。
分量は干し梅30gに、塩麹大サジ2を保存袋に入れて混ぜます。10日冷蔵庫保存。
サラミとかに見えないこともない。
塩麹に漬けられた干し梅は、10日経つと1つに固まったようになります。袋の上からの感触でも硬さを感じます。
梅干というより、肉のようにも見える。
持った感触は明らかに元の物より引き締まって硬くなっています。強い香りなどは特にありません。
酸っぱくなったなあ。
干し梅の塩麹漬けは、元の物よりも実が引き締まり、甘さも塩麹の塩気で引き締まっています。その影響で元のものより酸味が増している気がします。
全体的には、梅の酸味の強さで変化を明確に感じられません。干し梅揺るがず。そのまま食べるのが一番美味しいでしょう。
「都こんぶ」
子供の頃は酸っぱいから嫌いだった。今は一応食べられる。
続いての乾物は都こんぶ。
乾物というより駄菓子でしょうか。干された昆布を漬けてもよかったのですが、それだと普通の料理でありそうなので酢昆布で挑みます。
かなり柔らかいので溶けてしまわないか心配になる。
分量は都こんぶ1箱に、塩麹大サジ1。保存袋に入れて全体に馴染ませて10日間冷蔵庫保存。
特に見た目変わらず。何かの麹漬けにまぎれる昆布の雰囲気。
都こんぶは、かなり柔らかいので溶けたりしないか心配したが、問題なく漬けられました。
こういう漬物ありそう。
麹をまとった都こんぶは、何かの漬物のようで一見美味しそうにも思えます。持った時の硬さは変化無し。
若干旨味は増したか?
都こんぶの塩麹漬けは、柔らかさは全く変わりません。酸っぱさは若干減っています。旨味は少し増えたでしょうか。駄菓子レベルから、酒の肴に少し近づいたかもしれません。
不味くはないのですが、何か物足りない感じがします。このまま食べるのではなく、香味を添えるとか、刻んで何かにかけて一緒に食べるとか。中途半端な仕上がりでした。
「ドライマンゴー」
ドライフルーツでは一番好きです。次がイチジクか。
塩麹の水分で柔らかくなるとは思うが味はどうなるか。
分量はドライマンゴー40gに、塩麹大サジ1。10日冷蔵庫保存。
予想通り柔らかくなっている。
ドライマンゴーは塩麹の水分を吸収して柔らかくなっているようです。
ウニとかカズノコに見えないこともない。
持ってみると漬ける前の硬さはなく、表面もシットリしています。香りはマンゴーの香りそのままです。
フルーツに塩気はちょっとなあ。
ドライマンゴーの塩麹漬けは、ヨーグルト同様に生のマンゴーのような柔らかさに戻っています。味はマンゴー。ただし、塩をかけたマンゴーです。
食べられないことはない味ではあるものの、やはりマンゴーはそのままの方がうまいでしょう。やらない方がいい味です。
「焼きくさや」
住宅街でこれを焼くと大変危険なので、焼き済みでそのまま食べられるものを使用。
最後の乾物は焼きくさやです。
噛むほどに味が出るが、その匂いも強烈に出る。塩麹の力でその味や匂いはどう変わるのか。
既に焼いてあるとはいえ、匂いはかなりのもの。
分量は焼きくさや15gに塩麹大サジ1。あと煮切った酒とミリンが大サジ1程度入れています。これも10日間冷蔵庫に保存。
保存中に保存袋の上から匂いを確認したら、結構匂うので保存袋を急遽2重にしました。
10日経ったものは、見た目あまり変化がありません。表面がしっとりしているだけ。
近づかなければあまり匂いはしてこない。これなら匂いの苦手な人も安心か。
保存袋から取り出した焼きくさやは、硬さはあまり変わっていません。しかし、匂いが若干落ち着いたのか、鼻を寄せなければそれほど感じなくなっています。
あっ、やはり凄い匂いだね。
焼きくさやの塩麹漬けは、漬けてない物と比べて少し柔らかく食べやすくなっています。匂いも元に比べれば穏やかに感じられます。
穏やかではありますが、何しろ元の匂いが凄過ぎる。100の物が95になったかなというぐらい。食べればきっちり臭いです。塩麹がかかった分だけ旨味は増していますが、臭い物は臭い!
とにかく咽が渇く
各種乾物の塩麹漬け。スルメ以外にも幾つか美味しい物が見つかるかと思ったら、あまり良い結果は得られませんでした。どれも塩気が結構有る為、試食はかなり咽が渇きます。
なんでもやればいいという物じゃない。当面スルメ以外の乾物を塩麹漬けにすることは止めておきます。
試行錯誤の結果、美味しい組合せが見つかるというのは大体が奇蹟。長年の経験とか勘を頼りに、これなら成功するだろうという道筋を立ててやるべきだ。そんなことを学んだ塩麹漬け実験でした。
作った各種塩麹漬けが結構残っていまして、まだ冷蔵庫内に保管されています。さて、どうしたものか。検討します。