大人仕様ベビー玩具をつくろうとした話です
ベビー用玩具で遊べる期間はすごく短い。
こっちがボーっと会社と自宅の行き来を繰り返してる間に、ついこの間生まれたような子がいきなり(いや、ほんとはいきなりではないんだろうが)小学生になってたりする、というの考えるとあんな玩具で遊ぶのなんかほんの一瞬のことだろう。
そして対象年齢を過ぎてしまうと全然面白くないあの玩具たち・・・。今遊ぼうとしても全然楽しめない。
それならば、大人でも楽しめるベビー玩具があってもいいじゃないか!大人仕様のベビー玩具をつくってみよう。
カスタマイズは難しいので、いちからつくる
最初、既存のものをカスタマイズしたいと思っていたが、かなりちゃんとでき過ぎていて改造がちょっと困難だ。
もし改造できたとしても、「大人でも楽しめる」というのを考えるとできることの範囲が狭くなってしまいそうな・・・。
なので、いちから作ってみることにした。
売り場。カラフル!
子供が居る友人宅に行ったら同じものがあった
玩具売り場や友人宅でいろいろと見た中でも大人用としても成立しそうな二点を選んでみた。
この頭上をグルグルまわるオルゴールと、起き上がりこぼしである。
最近のオルゴールは子供の泣き声に反応して回り出すセンサーがついてるらしい。さすが21世紀も10年以上が経過しただけのことあるなーと感心しつつ眺める。
あと30若ければ多分これだけですごく楽しいんだろう
起き上がりこぼし、あー昔持ってた持ってた
さて、電子工作の出番!
まずは頭上でまわるオルゴール(と言っても音は出なくて、ただまわるだけのものを作る)。
今回は、以前書いた記事
『電子工作で顔芸をしたい』のときに使い方を習った、Arduino(アルドゥイーノ)の拡張ボードと専用部品のキットである
「エレクトロブリック」を使うことにする。
ちなみにArduinoというのちょっとプログラムが書ければ簡単に電子工作ができるマイコンみたいなものだ。
エレクトロブリックのボードとセンサー
ぐるぐるまわるサーボモータ
つまりは、スイッチなどを押すと、エレクトロブリックのボードへ命令がいき、モーターの回転を制御できるようになる。
このサーボモータの回転を利用して、ぐるぐるまわるオルゴールを作ろう。
(音は出ないが、以後「回転オルゴール」で統一する。)
まず針金を巻きつけて・・・・
針金を毛糸で隠す
完成。食べたいものをぶら下げてみる。
7種類の味を用意した。
これを回転オルゴール対象年齢の子供の上に吊るしてぐるぐるまわしたところで見ているだけ。
だが大人なので味を選べる。角度も調整できる。なんでもできる。
51.4度ずつの回転を制御したい
どれにしようかなー
これで寝ていてもうまい棒が必ず頭上にくる装置ができる・・・
・・・と、制御しようとしたところで、なにかがおかしい。できない。プログラムが間違ってるとかではないはず。
というか、どうも動きが変だ。挙動不審だ。
なにかと思ったらこういうことだった。
奥にある小さいのとはできることが違うらしい
つまりは、エンドレスで連続回転するタイプのサーボモータは角度指定ではなく、スピード指定ができるものだった。
サーボへ出力した値によって、スピードが遅くなったり速くなったり、半回転したり・・・という独自のルールがあるようだ。
どうりでスピードが速くなったり遅くなったり、突然逆回転したりしたわけだ。
・・・となると、「寝てたらうまい棒がピッタリ頭上に!」ってのは難しいか。これについては諦めるか。
次は気を取り直して、回転オルゴールっぽくぬいぐるみを吊るしてみよう。
回転オルゴールっぽく
うまい棒ではちょっと回転オルゴールっぽさに欠けてた気もするので、今度はそれっぽく見える工夫をしてみる。
そこで、ぬいぐるみを吊るしてみたが、それぞれの重さがアレで、ば・・・バランス悪くないか・・・。
ななめに傾いてる・・・・・。冷静に見てみると、なんだろうこの装置・・・。
このために編んだZくんだが、吊るされてるせいで頭のかたちがちょっとQooみたいだ。
何度撮っても後方の野口英世のほうにピントが・・・
ボタン押下中は速く、離したら遅く・・・という制御
今回は、ちゃんと回転オルゴールの下に寝て、回転を楽しんでみよう。
おおおお・・・・ 速い!!速い!!
ふと思ったが、これ、動体視力を鍛えるトレーニングに使えないだろうか。訓練によって、最初は読めなかった文字が徐々に見えるようになったりとか。
油断するとスイッチのコードが絡まったりして
ああああああ・・・
先ほど提示した動体視力トレーニング、そしてこの速さは生まれたての子供にはついていけないだろう。
これらの点からこれは大人向けだ。
起き上がりこぼしでワインをまわしたい
つぎは大人仕様起き上がりこぼしを作ってみよう。子供にはできない使いかたってなんだろう。
・・・と考えてた時期にちょうどボジョレーヌーボー解禁があった。そこでワインをまわすか否かの話になった。
これだ。
起き上がりこぼしの揺れでワインをまわして香りを楽しみたい。
起き上がりこぼしでワインをまわすには・・・・?? こういうのを作りたい。
まず、底には発泡スチロールの半球。
起き上がりこぼしは、底の方に重りを入れて重くしておくとのことなので、スーパーボールを購入。
あとペレットはぬいぐるみをちょっと重めにしたいときに、綿よりではなくペレットを詰めるらしい。
これらを底の方に詰めることにする。
それと鈴を入れて、チリンチリンと鳴るように。
半球発泡スチロールはこのサイズが1番小さかった
この発泡スチロールのカバーとなるようなものを編む
そして球にしていき、鈴を入れて
これが頭になっていく。そして頭にワインを入れるのだ。
この赤い球体、ちゃんと起き上がりこぼしっぽい動きをしてくれている。倒してもちゃんと戻る。
あとはワインを入れるための頭をつくれば完成だ。
ワインを入れるために、頭部に紙コップを装着できるようにしていく。
ワインを入れるための頭をつくる
ワインを頭に入れたい。そう思いつつ、引き続き頭を編み続ける。
頭になる予定のパッと見きのこみたいな形状のもの
早く頭にしてやりたい
そして完成。頭にスッポリと紙コップが入るものが出来た。
できた。ちょっとだけくのいちっぽい、と思ったのはなんでだろう
コップもスッポリ!
そう、完成はしたが・・・・
これが倒れるのだ。
えええええ・・・・ 全然起き上がらない!
底に鉛とかゴルフボールとか、そういうもっと重いものを入れるべきだったか・・・!いや、入れたところで頭にワインが入った時点でもしかしたらアウトか!?
頭も綿を最小限に少なめにして軽くしたのに!
あー、倒れる!
ゴロンゴロンゴロン・・・・・
立ち上がれと念じようがなにをしようが立ち上がるわけもなく。これはこれで良しとするか。
「全然起きてこようとしない起き上がりこぼし」ということで。
これを使ってワインを飲もう!
もともとの目的をまだ果たしてないので果たそうじゃないか。
さて、ワインワイン。
あ、このサイズの缶もスッポリ
まあ当然だが入った
この角度だとひょうたん徳利に見える・・・
本体を汚さず飲める!
これに関しては、当初の目的からかけ離れてはしまったが、角度によってはこういうひょうたん徳利に見える!という発見があったので良しとしよう。
なにも知らない人が正面から見たら「あの人変わったひょうたん徳利持ってるなー」となるだろう。
今回は起き上がらなかったが、起き上がりこぼしについてはいつか再チャレンジしてみたいと思う。
ガスコンロの前で回転オルゴール、ダメ絶対!
回転オルゴールのスイッチをガスセンサーに取り替えて、ガスコンロの近くで動かしてみた。とてもよく回転したが、どう考えても危険すぎるので、もう二度とやるまい。
【告知】Make: Tokyo Meeting 07に出展します
エレクトロニクス、アート、DIY、クラフト、サイエンス等々、とにかくものづくりのイベントである「Make:Tokyo Meeting」に出ます。
開催日: 2011年12月3日(土)、4日(日)
会場: 東京工業大学 大岡山キャンパス
私は手芸系ブースが集まるクラフトゾーンというところに出展するので、デイリーポータルZのブースとは別です。
キャンパス内の『百年記念館』というところに居ます。
記事で作ったもの、その他いろいろ出す予定なので、ぜひ遊びにきてください。
Make:Tokyo Meeting 07公式サイト