分かるから怖い
目の前に熊がいたとする。
動物園のようなオリに入った熊ではなく、山道で偶然バッタリ出会った熊だ。その場合、僕らはどう思うだろうか。きっと想像を絶する恐怖を感じると思う。
熊は怖い
なぜ恐怖を感じるのか。それは熊だからだ。視覚からの情報で熊と分かるから怖いのだ。もしバッタリ出会ったのがヌイグルミだったらどうだろう。怖くはないはずだ。熊と分かるから怖いのだ。
ヌイグルミだったら怖くない
では、目をつぶればいいのかも知れない。そうすれば視覚からの情報は絶たれ熊とは分からない。しかし五感の一つが全く絶たれるのだ。それはそれで怖いはずだ。
見えないのは見えないで怖い
五感の一つが絶たれることに恐怖を感じないはずがない。目を閉じて一人で道路を歩くと分かる。とんでもない恐怖を感じる。
見えても怖いし、見えなくても怖い。では、どうすれば怖くないのか。逆に近づけばいいのだ。
近すぎると何か分からない
むしろ近いと怖くない
近すぎると焦点が合わずそれが何なのか分からない。熊もヌイグルミも一緒のはずなのだ。目はつぶっていないので視覚からの情報が絶たれたわけでもない。なにか分からないだけ。恐怖を感じたら逃げるのではなく、むしろ近づくべきなのだ。
この距離が怖くない世界へのヒント
「離れてわかる親のありがたみ」と言ったりするように、近いと分からないものがある。なので、より分からないように率先して近づくのである。
これはなんでしょう?
本当に近いと何か分からないのか実験してみる。するともう何か全然分からない。見えているけれど分からない。このもどかしさが怖くないという世界への第一歩だと思う。
ちなみに上の画像はこれでした
この距離で見ています
実践しよう!
僕は犬が怖い。子供の頃から怖くて今も変わらず怖い。僕が犬に近づくことは絶対にない。犬を飼ったら100万円あげる、と言われても飼わないと思う。それくらい怖いのだ。
犬が怖い
しかし、今まで書いてきた「近いと怖くない説」により怖くなくなるのではないかと思っている。現在まで僕は犬と距離を置いてきたけれど、逆に距離を極端に縮めることにより怖くなくなるのである。
この犬に会いに行きます
当サイトのライターであるヨシダプロの愛犬「モモ」でこの説を試してみようと思う。犬が怖い僕がモモに顔を近づけるのである。この説が正しければ怖いとは感じないはずだ。何か分からないのだから。
実験してみました(これはなんでしょう?)
スリッパでした
モモ対策として黒いものを顔の近くに持ってきてみた。すると驚くことに焦点が合わず何か全く分からない。ということは、モモに顔を近づけても何か分からないということ。スリッパもモモも一緒なのだ。これはイケる気がする。
怖い犬をこの距離で見ることにより怖くなくなるはず
猛犬に会いに行く
時間が許す限りいろいろなものを近くで見てみた。どれも近すぎて何か分からなかった。ということは、僕が苦手とする犬でも問題ないはずだ、と自分に言い聞かせヨシダ家に向かった。
玄関に猛犬の文字
ヨシダ家の玄関には「猛犬に注意」と書かれたプレートが存在した。モモはラブラドール・レトリーバーという犬種。大きいのだ。猛犬以外の何ものでもない、と犬が怖い僕は思う。
しかし、それは昨日までの僕。このプレートだって近くで見ればなんと書いてあるか分からない。今回はキッチリ見てしまったけれど。
恐怖!
敷地内に入ったと同時にやって来たモモ。心臓が縮んだ。すごい勢いなのだ。新幹線の初速の方がまだ遅い。やっぱり自分は犬が怖いのだと再確認した瞬間だった。しかしこれは距離があり犬と分かるから。今日の僕はここからが違う。
距離があると怖い!
近ければ怖くない実行
普通にしていると怖い。それは今までの人生で分かっていたことだ。今まではこの状態からより距離をとっていたけれど今日はその逆。近づくのだ。
近づく
おかしいな~、と思う。
だんだんと近づいてくる白い牙。ハァ~ハァ~という力強い呼吸。確かに鼻の当たりは近づきすぎて焦点が合わない。
では怖くないのかという、驚くほどに怖い。今まで通り、なんなら今まで以上に怖い。
怖い
ヨシダプロのご家族は「怖くないから」と言う。しかしそれは犬が怖くない人の意見。僕にとってはしっかり怖い。そして近づくとより怖い。今まで以上に間違いなく怖いのだ。
もう一回頑張る
もうね怖くて、怖くて
この説は間違いでした
僕の仮説である「近づくと怖くない」というのは間違いだった。もう認めてしまおう。2メートルより1メートル、30センチより3センチと近ければ近いほど怖いのだ。
この距離で怖いのに近くて怖くないはずがない
目の前にくれば確かに焦点が合わずに何か分からないけれど、目の前に来るまでに嫌というほどモモを見ている。その状態から顔を近づけるのだ。それはもう、犬が好きな人がする行動だ。
ゼロ距離
寝ているモモに顔を近づける。起きている時ほど怖くはないけれど、いつ起きるかというドキドキがある。黒ヒゲ危機一髪ゲームのような耐え難い緊張。ただ寝ているモモはかわいい。
起きたらこうなる!(光のスピードで逃げた)
こうして分かったことは、むしろ近いとその分だけ怖いということだった。あの淡い期待はどこに行ったのだろうか。実はヨシダ家に着いてモモを見た瞬間に、この説は間違っていたと確信していた。だって怖いのだ。それに顔を近づけるなんて考えられない。いや、もう本当に怖かった。
ゼロ距離からの魔の手(舌)
逃げる速さは風のごとく!
犬が怖いを克服したい
逆転の発想ともいえる、近づくという方法を今回試したけれど、ダメだった。人生で一番犬との距離を縮めたけれど、心の距離は遠いままだった。この方法を思いついた時はいける気がしたのだ。思いついた時の自分を思いっきり殴ってあげたかった。
お昼に頂いたウナギが美味しかった!(モモの前では見せなかったいい笑顔)