パイナップルラーメン専門店とは……
今回紹介しますのは、知人から「すごい変なラーメン屋があるんですよ、行ってみて下さい!」と教えてもらったお店。
でも正直、この話を聞いた当初はそこまで興味をひかれませんでした。だって変なラーメン屋って世の中にアホほどあるんだもん。
ボクが知る中で最も変だなと思うラーメン屋・なんちゃって志村軒。「20世紀最後のすっとぼけたラーメン屋」というキャッチフレーズの通り、21世紀に入ってわりとすぐに閉店しちゃいました
アイスクリームラーメン
水色ラーメン……久々に見たらやっぱスゴイ
まあアイスクリームラーメン食ったあとですからね
ただ、この手のラーメンって、あくまでも主軸となる普通のメニューがあった上でのお遊び的ポジションのメニューなわけです。
そりゃ、ワンポイントとして悪球打ちの岩鬼(『ドカベン』でハッパくわえてるアイツね)がいる分には面白いけど、メンバー全員が岩鬼じゃチームとして成り立たないですからねぇ。
ちなみに殿馬役は川谷拓三(当時35才くらい)
しかし今回教えてもらったお店は、なんとパイナップルラーメン・オンリーで、普通のラーメンは一切ナシというノーガードな状態でやっているらしいのです。
そ、それは人ごとながら心配になってしまうお店! がぜん興味がわいてきました。
真っ昼間から酔っぱらってる人多数
というわけで、やって来ました西荻窪。
ゴチャゴチャっとした駅前の飲み屋街を抜けると……。
パッと見、果物屋さんにしか見えませんけどね
ありましたよ、思いっきりパイナップルを前面に押し出したお店が。
パイナップルラーメン専門店ということなので、よっぽどどーかしているお店なのかと思っていましたが、外観はフツーに小綺麗なお店のように見えます。
「ラーメンとパイナップルが大好きだからラーメンの中にパインがはいってもいいんじゃない?」そ……そうっすね
パイナポー! パイナポー!
いきなりのインパクト大な看板に、ちょっとひるんでしまいましたが、とりあえず中に入りますか。
店内に足を踏み入れると、もう全体的にパイナップルなんですよ!
ハシ立て&こしょう容器もパイナップル
机もパイナップル
椅子もパイナップル色
壁にもパイナップルの飾り
こんな切り抜きも貼られていたりして……
右を向いても左を向いてもパイナップルだらけ! パイナポーパイナポー!
いくらパイナップル大好きといっても、ここまでグイグイ押し出さなくても……。そして「パイナップルラーメン」といってるわりには、パイナップルばっかで現時点ではラーメン要素はまったく見あたりません。
こんな、色々と衝撃的なラーメン屋を作ってしまったのはこの人!
店長の倉田さんです
もうね、色々と聞きたい……いや、問いただしたいことがいっぱいあるんですが、とりあえず問題のラーメンを食べることにしましょうか。
パイナップル塩ラーメン、パイナップル醤油ラーメン、パイナップル塩つけめん、パイナップル醤油つけめん……
辛めのパイナップルラーメンもあるようです。「辛ラーメン いっぱいん」とか書いてあるヤツは、スペース的に書ききれなかっただけで、もちろんパイナップル入り! ……ホントに全部パイナップルが入ってるラーメンなんだなぁ。
ところで、この「いっぱいん」というのはどういう意味なんでしょうか。
「いっぱいん=全部のせ」ってことらしいです。ああ、ダジャレね。
ちなみに、トッピングの定番・味付玉子も……
もちろんパイナップル味! ……そっちの味がついてるのかよっ
「塩味が一番パイナップルの味を楽しめますよ」とのことなので、パイナップル塩ラーメンをチョイス。さらに「いっぱいん(全部のせ)」にしてみました。味付玉子、チャーシュー、のりがのっているようです。
そしてもちろん……
ちゃーんと入ってますね、パイナップル!
本気でパイナップルに命を賭ける男!
パッと見た感じ、パイナップルが上にのっかってはいるものの、見た目はわりとフツーの塩ラーメン。しかし店長さんによると、スープの半分くらいはパイナップルジュースらしいのです。
ちょっとしたトッピングとしてのパイナップルではなく、味の主軸にパイナップルを据えたかなり本気のパイナップルラーメンなのだ!
スープからは特にパイナップルのニオイなどはしませんが……
パイナップルジュース+塩ラーメンってどうなっちゃうんだ!? とドキドキしながら一口食べてみると……ん、意外とアリ!
ジュースがガッツリ入っているというわりにパイナップル味はそんなにキツクなく、塩味にほんのりと甘酸っぱさが加わってサッパリ感が増しています。
さらに、煮干しや昆布からとった魚介系スープのクセをパイナップルが押さえてくれている感じもあり、予想以上に飲みやすい!
普通の味付玉子って茶色ですが、ここのはうっすら黄色がかっている程度
そしてウワサの「パイナップル味」の味付玉子ですが、パイナップルジュースに漬け込まれた玉子はほんのりとパイン味になっており、ちょっとお菓子っぽい感じで美味しいんだ。
チャーシューは、さすがにフツーのものなのかと思いきや、こちらもパイナップルと一緒に漬け込んでいるんだとか。
パイナップルの味はついていませんが、肉を軟らかくする酵素でフルッフルのトロットロになっています。
こちらは「パイナップル酢」。スープの味に飽きてきた頃、コレを入れると味が変わって、また食が進むのです。
--しっかし、どうしてラーメンにパイナップルを入れようなんて思ったんですか。
「修業をさせてもらっていたお店で、若手のチャレンジの場として時々、実験的な限定ラーメンを作らせてもらう機会があったんですよ。その時はそれこそチョコレートラーメンだとか桃ラーメンだとか好き勝手に作ってたんですけど」
--チョコレートラーメン……!?
「まあかなり賛否両論でしたけどね(笑)。その中でパイナップルラーメンはわりと評判よくって。実は、以前からパイナップルが好きなこともあって食材としての魅力には注目していたんですけどね。パイナップルって酢豚に入ってたり、ハンバーガーに挟まってたり、わりと料理と相性がいいじゃないですか」
--パイナップル in 酢豚は好き嫌い分かれますけどねぇ(笑)。それにしても、独立してやっと自分のお店を作れる! っていう時にパイナップルラーメンの専門店にするっていうのはかなりの冒険ですよね。
「そうなんですけど、修行中にさんざん普通のラーメンは作ったから飽きちゃって(笑)。やっぱり誰もやったことのないラーメン屋をやらなくちゃ面白くないじゃないですか。おかげで最初は店の内装とかばっかり考えてて、肝心の味は手つかずだったんですけど」
わざわざ取り寄せているというパイナップルビール
トイレの案内貼り紙が「トトトトトイレ」となっています……
--修業時代のお師匠さんが食べに来られたことってあるんですか?
「ビミョーっていってました(笑)。でもそれは褒め言葉だと思ってますけどね。教わった通りのラーメンを作っていたら興味も持ってくれないような人なんで」
--今後、挑戦してみたいラーメンってありますか?
「このお店は一店舗目なんで、話題を集めるためにこういう内装にしたり、パイナップルを前に押し出したラーメンにしてるんですよ。だから今は面白6:味4くらいの力の入れ方なんですけど、一見フツーに見えるけど実はパイナップルを使っていて、メチャクチャ美味しいという、味に全力投球なパイナップルラーメンを作ってみたいですね」
--……パイナップルは必須なんですね。
「パイナップルって魅力的な食材なんで、まだまだ色々アイデアはありますからね! たとえば普通、とんこつスープって冷やすと脂が固まっちゃうから冷やしとんこつって不可能なんだけど、パイナップルを入れれば脂を溶かす成分があるんで、可能になるんじゃないかなーとか……」
次々と飛び出すパイナップルへのこだわり&うんちく。そして「ホントにこの人パイナップル好きなんだなぁ……」と思わせてくれたのがこの一言。
--いくら好きだっていっても、毎日これだけパイナップル見てたら食べたくなくなるんじゃないですか。
「そんなことないですよ、仕込みの途中でちょいちょいつまみ食いしてますもん!」
コレは本物です!
パイナップルの飴。コレもちょいちょいなめているらしいです
実はパイナップル以外のラーメンにも挑戦中だそうで、月一くらいで限定で出しているんだとか。10月の限定ラーメンは「カキ(柿)ラーメン」……どんななんだろ?
発音はできるけど、文字にすると難しいですよね
究極のパイナップルラーメンが食べたい!
一世一代の大勝負である第一号店舗をパイナップルラーメン専門店にしてしまう、明らかにムボーなチャレンジながら、話題性と意外な味でとりあえずの成功を収めている「パパパパパイン」。
店長さんのパイナップルへのこだわりもハンパなく「そんなにパイナップルが好きなのにどーして果物屋さんやフルーツパーラーを作らなかったのだ!?」と思ってしまうほど。
まあ、大好きだという「パイナップル」と「ラーメン」の道を突き進んでもらって、いつか究極のパイナップルラーメンを食べさせてもらいたいものです。
●パパパパパイン
東京都杉並区西荻南3-12-1 日伸西荻プラザ1F
【電話番号】03-3247-2181
【営業時間】11:00~21:00
【定休日】不定休