電柱には持ち主の名前が書いてある
一口に電柱と言っても実は大きく3種類ある。まず電力会社のもの。それが正しい意味での電柱で正式名称は電力柱。次に、NTTなど通信会社の電柱。正しくは電信柱という。そう、東電の電柱は電信柱ではないのだ。でもって、通信会社と電力会社が共同で持っているもの。それは共用柱という。
電柱には所有権を表すプレートが付いていて、複数ある場合は地面に近い方が所有者なのだという。下の写真の場合は、東京電力が所有者となる。
東電の方が下にあるのでこれは東電の電柱。
東京電力のプレート。
こっちはNTTのプレート。
路地を入ったとこに細い電柱があった。これは誰の物か?
シールだが東電の物らしい。
持ち主がわかるのがなんか楽しい
こういった今まで知らなかったルールを知るのは楽しい。読めなかった文字を読めるようになって、あれもこれも意味がわかる!という楽しさだ。
電柱のプレートをずっと見ていたのだが、僕が住んでる葛西ではほとんどが東電の電柱だった。NTTの電信柱は2本しか見つけられなかった。
電信柱って葛西ではレアなものだったのだ(場所によっては東電所有とNTT所有で交互になってるところもあるらしい)。
これはNTTのが下にあるのでNTTの電信柱。ただ、文字が消えてて見づらい。
プレートがいっぱい付いているが、上3枚が東電で一番下はNTT。NTTのプレートは大体文字が消えてて読めなかった。
賃貸物件の店子たち。
電柱ってアパートみたいだ
上を見上げて半日歩いて撮影したのだが、普段見てない物をじっくり見るとなかなか面白い事が見つかる。
大抵の電柱にはNTTと東電のプレートが付いているので電線やNTTの装置が付いているのは当然として、それ以外にも色んなケーブルが架けられていた。
USENは創業当時は勝手にケーブルを張って問題になったが、2008年にその辺の精算が終わったそうだ。J:COM(ケーブルテレビの会社)のケーブルも結構架かっていた。
それぞれちゃんと名札というか表札みたいのが付いていて、電柱を間借りしている風で面白い。そういった間借りしているケーブルは、電柱の所有者に共架料という料金を払うシステムなのだという。まさに賃貸物件だ。
NTTの装置。東電の電柱に付いてたのでNTTといえど店子。
これはインターネットプロバイダのケーブル。
電柱の花型、変圧器
電柱と言えば変圧器だ。丸くてデカイ装置が頭上10mくらいのとこに付いている。大体100kg~500kg程度ある。
そんなもんが付いてて落ちてこないのだろうかと思うのだが、僕は3月11日の大震災の時に衝撃的な光景を見た。
凄い揺れの中、外に出て電柱を見たらヘッドバンギングしてるみたいにブオンブオン揺れていた。それでも変圧器は落ちてこなかったし電柱も折れなかった。電柱も変圧器の留め金も思った以上に頑丈みたいだ。
ポリバケツみたいな変圧器。よく見るタイプ。
こけしみたいで可愛い変圧器。
放熱フィンが格好良い変圧器。変圧器が付いている電柱は大体電力会社所有のものだという。
よくわからない装置も多い
変圧器じゃないっぽいんだけど、大きな装置が電柱の上に付いていた。あんなのもあったのか。
カニを下から見たのを想像してください。
これも変圧器の一種なんだろうか。それともなにかを中継しているのだろうか。僕はこういった電気関係は素人なので全然わからないし、調べるためのキーワードも思いつかない。「電柱 カニ」とか「電柱 ドム」で検索してもわからなかった。
明日あたり「電柱 ドム」で検索するとこのページが出てくるかもしれないが。
知ってるか、電柱にはドム(ガンダムに出てくるモビルスーツ)の顔が付いているのだ。
次のページでも電柱を見ていきます。でも電柱以外のものも見るかも知れません。
エンピツキャップを思い出した。
キャップ付きの電柱もある
すべての電柱ではないが、たまにキャップが付いている電柱もあった。どういった意味があるのかはよくわからないが、GWキャップというものらしい。
キャップにも色んな種類があるみたいだが、2種類だけ見つける事が出来た。
電柱って同じように見えて実は色々違ってて、面白いっちゃ面白い。
隣の電柱となにかの線で結ばれている場合もある。
これは携帯の基地局か?
携帯の基地局っぽいものもある
当然と言えば当然か、携帯の基地局っぽいものも電柱に付いていた。ラベルをよく見ると「Pro ST WiFi 4.9G」と書かれていた。携帯基地局っていうか、公衆無線LANなのかもしれない。
電柱には種類がある
さらにじっくり電柱を見ていると、「細15-70」などとプリントされている事に気がついた。
細15-70が種類で、下の「01 2 19」は製造年月日だろうか。
これ、「細」はそのままで「細いタイプ」という意味だ。細くないのは「15-70」などと書かれている。細と通常で比べて根元の口径が7cmほど太い。でも細でも普通でも、一番上の部分は同じ太さらしい。
「15」は長さで15mを意味する。「70」はおそらくひび割れ試験加重であり、70の場合は7kN(キロニュートン)を意味する。7kNがどのくらいの加重なのかは僕に聞かないでください。
プリントじゃないのもある。細が取れて「15-70」。その下のNC-88については謎。
これは「細15-100」。15-70と比べてより太くて頑丈。
新共架ってのは、共架柱の意味だろうか?
消えかけてるけど「14-50」。そんな強度で大丈夫か。
これがわかったからと言って別に得も損もしないが、大体知識なんてのはそんなものだろう。見て意味がわかって面白い、それでいいじゃないか。
ここまで電柱を見て来たのだが、街を歩きながら写真を撮っていたら別の物も気になりだした。
可愛い猫ちゃんがニャーン!
いや、猫ではなく標識とか信号機が気になりだしたのだ。次のページでは、電柱以外で気になった物を見ていきたいと思います。
可愛い猫ちゃんがピョーン!!
標識一本にも持ち主がいる。
すべては誰かの持ち物である
電柱がNTTや東電の物であるように、標識や信号にも持ち主がいる。例えば左の写真の標識。これは江戸川区の物だ。
色々観察したところ、細かい道路の標識は区のもので、国道の標識は国の物である場合が多かった。
持ち主の証明。
江戸川区マークが入っている。
しかしたまに江戸川区所有の標識に並んで警視庁の標識も並んでいたりする。どうやら、道順を示す標識はその道路を監督する人の物で、交通ルールを示す標識は警察の物らしい。
交通ルールの標識は、→
警視庁の物。
この標識は、→
mpd、つまり警視庁の物。と思ったらややこしい事が裏に書いてあった。
ややこしい裏面の表示。
標識の支柱に「mpd」って書かれてたので警視庁の物かと思ったら、標識の裏には「設置者 東京都公安委員会」って書かれてて、「管理者 葛西警察署長」とも書かれていた。
公安委員会が設置して管理してるのは葛西警察で、標識の支柱は警視庁が管理してるって事だろうか(全然違うかもしんない)。ややこしい。
同じ国道で似たような青看板でも管理者が違う。
国道の青看板は国の物
国道357号線(湾岸道路)にやってきた。大きな青看板が立っているが、これは先の例の通り、道路が国道なので看板は国の管理となる。
国土交通省の東京国道事務所が管理している。しかし100mほど先にある青看板の裏には「設置者 首都国道事務所」と書かれていた。ちょうど環七と国道357号線のT字路にあった。
東京国道事務所と首都国道事務所って、意味的には同じだし同じ組織を違う名前で呼んでるのかと思ったら、Webサイトも別々にあるれっきとした別の組織なのらしい。
わけがわからないよ。
これは東京国道事務所の管理。
これは首都国道事務所。なんで分れてるんだ。
よく考えたら信号機は誰の物だろう。
信号は誰の物か?
道ばたに立っているものとしては、信号機もある。交通関係なので当然警察絡みのものだろうが、調べてみるとこれは警察庁が管理している物らしい。
信号機は電柱とは別の柱に付いており、電気は東電の電柱から引かれていた。
信号機の支柱には機械が入っているのか四角い箱が付いている事が多く、丸Kマークが書かれていた。Kって事はやっぱり警察庁か警視庁か、いずれにしろ警察の物なのだろう。
写真を撮っていたら警官に声を掛けられたので、逆に色々聞いてみたがあんまり教えてくれなかった。どうも担当部署以外の事は知らない(または教えてくれない)のらしい。
丸Kは警察庁の印か?
カメラが付いてる信号機もある。監視社会!
丸Kマークのボックスだが、13Pの物と21Pのものがあった。この意味についても警察官に聞いてみたが知らないという答えだった。
気になるので開けてみたいが、開けたらきっと逮捕だ。逮捕は困るので悶々としておこうと思う。
13Pとは一体何なのか
21Pが結構多かった。同じ交差点でも13Pのボックスと21Pのボックスが混在している。
光通信をするカメラ
信号機にもカメラが付いていたが、上を見て歩いているとちょいちょいカメラが付けられている事に気付く。
よく「見てるぞ!」というステッカーが貼られているが、実際に僕らは見られているのかもしれない。
環七に付いてたカメラ。
カメラが付いてる電柱にはたくさんの箱が付いていた。録画してるのかどこかに映像を送ってるのかわからないがゴテゴテだ。
ごってりと機械が付いた電柱。
機械だらけの電柱と道路を挟んで反対側の電柱にもカメラが付いていたが、こちらの電柱には機械があまり付いていなくて、代わりにもう1個カメラみたいな機械が付いていた。名前を「空間伝播式光通信機・発光器」という。空間とか伝播ってのが格好良い。映像を光信号にして向かいのメイン電柱に送っているのらしい。
僕らが気付かないところで映像が撮られ、それが光に変わったり電子に変わったりしながらそこらを飛び回ってるのだ。なんだ、ちゃんと21世紀じゃないか。
カメラかと思ったら違った。
名前にしびれた。
消防関係も色々ある
消火栓の標識があったので調べてみると、問い合わせ先は「財団法人 東京連合防火協会」になっていた。こういうのは東京消防庁が管理してるかと思ってたら、なんと財団法人なのだ。
消火栓の標識は誰が管理者か。
東京連合防火協会ってなんだ。
私有地にある送水口は、多分私有地の所有者の物だろうが、これは「財団法人 東京防火指導協会」の検査証が貼られていた。さっきの「東京連合防火協会」とは別のようだ。一口に消防と言っても色んな組織があるものである。
さて、この送水口はなんなのか。
東京防火指導協会ってなんだ。
まだ続く、「道ばたで、これだれんだ」探し
よくよく見れば、道ばたにあるのはみんな誰かのものだった。次のページでも、道ばたで見つけたものの持ち主を考えます。
街路樹は道路の管理者によって便利に使役される
前のページの青看板同様、街路樹も道路の管理者が管理してるそうで、葛西ではなぜか果樹が多い。
ヤマモモという木がよく植えられている。
上の写真は街路樹として植えられているヤマモモの木。夏になると赤くて甘酸っぱい実を付ける。道路の脇だけでなく緑道なんかにも植えられていて、大体近所のおばちゃんが実を摘んでジャムを作ったりしている。
流石におばちゃん達とはいえ高くて実を取れない木もあるし量も多いので、夏の葛西はヤマモモの実が落ちまくって発酵して大変に酒臭くなる。閑話休題。
これらは江戸川区のものなので、江戸川区が自由に使っている。こんな具合に。
標語の看板を街路樹にくくりつける。
ゴミ出しの説明を街路樹に。もし街路樹に警視庁がなんか貼ったら問題になるのだろう。
そうか、あれも誰かの物か
巨大なインフラ施設って、巨大すぎて誰かの物って忘れがちだ。なんていうか、山とか砂浜が自然の物であるのと同じように(山とか砂浜も所有者がいるんだけど)。
でも考えてみれば鉄塔って電力会社の物で、電柱と同じような物なのだった。そっか、電柱と鉄塔って仲間なんだよな。
鉄塔ってよく見ると格好良いね。トラス橋に似た格好良さ。
言ってみればミニ東京タワーだよね、これ。
この鉄塔は東京電力江東支社送電保守グループの管理。
鉄塔に付いてる番号を辿る鉄塔マニアも多いという。
下から見上げるだけで怖くなるような大きさの鉄塔が何本も何十本も連なっているのだ。インフラってすげーなー、日本の持ってる価値ってすげーなー、って思った。
これらがみんな誰かの物だなんて。
これだって東武鉄道の物なんだぜ。
葛西臨海公園に来たら遠くに東京湾横断道路が見えて、風車も見えて、それらも誰かの物なのだ。これが地図に残る仕事ってやつだ。
あの橋もあの風車も、っていうかそこの砂浜も誰かの物だ。
でもって、海ぎわで夕陽を眺めるカップルたちの心はお互いの物なのだ。
夕陽を眺めるカップル達は、等間隔を空けて2人ずつセットで座っていた。ここは鴨川か。
なんだっけ、そうそう、電柱の話だった
電力会社の持ち物だから電柱、NTTの物だから電信柱。言いたいのはこれだけの事なんだけど長々書いてきてしまった。なにが言いたかったというと特にないんだけど、そこら辺にある、風景に溶け込んじゃってるような物でもいちいち誰かの所有物であるという事だ。
江戸川区の防災無線の電柱は江戸川区の物。こういうのもある。
誰かの持ち物であるからして、電柱に落書きをしたり標識を壊したりするのはいけないと思います。皆様におかれましては、電柱や公共物は大事にあつかいましょう。