特集 2011年9月14日

乾物を酒に漬けて焼くとヤバイ

乾物が好きです。この記事書いてもっと好きになりました。
乾物が好きです。この記事書いてもっと好きになりました。
ある日スーパーで買い物をしていたら、味付けに日本酒を使ったという干物を見つけた。買って食べてみるとこれが美味い。

そうか、干物と日本酒は合うのだな。

という事は、もしや乾物と日本酒も合うのでは。いや、乾物をつまみに日本酒を飲むという話ではない。

乾物を日本酒に浸すのだ。今回は今日帰ったら日本酒を飲みたくなる内容です。帰りに酒屋に寄って良い日本酒を買って帰って下さい。
あばよ涙、よろしく勇気、こんにちは松本です。

1976年千葉県鴨川市(内浦)生まれ。システムエンジニアなどやってましたが、2010年にライター兼アプリ作家として自由業化。iPhoneアプリはDIY GPS、速攻乗換案内、立体録音部、Here.info、雨かしら?などを開発しました。著書は「チェーン店B級グルメ メニュー別ガチンコ食べ比べ」「30日間マクドナルド生活」の2冊。買ってくだされ。(動画インタビュー)

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> 個人サイト keiziweb DIY GPS 速攻乗換案内

純米酒干という干物

3枚で400円だったか。そんなに高くない。
3枚で400円だったか。そんなに高くない。
これが件の「日本酒を塗って干した干物」だ。干物の漬け汁に日本酒を混ぜて干したのだそうな。日本酒が魚本来の旨味を引き出し、臭みを消すとの説明が書かれていた。
焼いてみた。美味い。
焼いてみた。美味い。
焼いて食べてみるとなるほど美味い。日本酒の影響なのか味がまろやか。旨味が濃い。

日本酒、なかなかやりおる。そうだ、干物+日本酒が美味いのなら、乾物を日本酒で戻して焼いても美味いのではないか。ひらめいたので早速色んな乾物と日本酒を買ってきた。
今回のエントリー選手。あたりめと鮭とばにはかなり期待している。
今回のエントリー選手。あたりめと鮭とばにはかなり期待している。

期待の五選手入場

鮭とば選手の活躍には期待したい。珍味部のほそいさんも似たような物を食べていたし。コチラ
鮭とば選手の活躍には期待したい。珍味部のほそいさんも似たような物を食べていたし。コチラ
日本酒で戻す乾物として、鮭とば、あたりめ、ビーフジャーキー、鰹節、めざしを用意した。めざしは乾物じゃないが、干物の代表として用意してみた。
あたりめは酒で戻すことで柔らかく食べやすくなるはず。
あたりめは酒で戻すことで柔らかく食べやすくなるはず。
ビーフジャーキーは日本酒じゃないものに漬けたい。
ビーフジャーキーは日本酒じゃないものに漬けたい。
厚削りの鰹節をそのまま食べるのが好きです。
厚削りの鰹節をそのまま食べるのが好きです。
イワシの魚臭さを抑えられるか。
イワシの魚臭さを抑えられるか。
昆布を入れるのが多分ポイントだ。
昆布を入れるのが多分ポイントだ。

日本酒に昆布を入れる

単に日本酒に乾物を漬けると塩気が抜けてしまうので、乾燥した昆布も一緒に入れてみた。それでもある程度塩気は抜けるだろうが旨味が加算されるから良いだろう。

見たことも聞いたこともない食べ方を手探りでやってみるのはなんだか面白い。なにが正解なのか判らない楽しさがある。
ビーフジャーキーはビールに漬けた。
ビーフジャーキーはビールに漬けた。

ビーフジャーキーにはビールだろう

鮭とば、あたりめ、鰹節、めざしは日本酒に漬けたが、ビーフジャーキーは日本酒よりビールの方が合いそうだと思ってビールに漬けてみた。ビールって言うかユーロホップという輸入のやたらやすい発泡酒だが(350mlで80円くらい。円高だから?)。

果たしてこれが吉と出るか凶と出るか。
鮭とば全体が浸るくらい日本酒を入れた。
鮭とば全体が浸るくらい日本酒を入れた。
この時点であたりめつまみながら、漬け汁の日本酒飲みたい(本音)。
この時点であたりめつまみながら、漬け汁の日本酒飲みたい(本音)。
これで一昼夜待ちます。
これで一昼夜待ちます。
各種乾物を酒に漬けて待つこと一昼夜。下の写真が漬け終わった物です。全体的に水分を吸ってふっくらしています。
ふっくらした乾物達。匂いがまた美味そうなんだ。まろやかな旨味の匂いが立ちのぼるよ。
ふっくらした乾物達。匂いがまた美味そうなんだ。まろやかな旨味の匂いが立ちのぼるよ。
酒鮭とばヤバイ。ふっくらしててヤバイ。
酒鮭とばヤバイ。ふっくらしててヤバイ。
酒あたりめヤバイ。匂いがヤバイ。
酒あたりめヤバイ。匂いがヤバイ。

酒で戻った乾物ヤバイ

ところで、この記事で使ってるヤバイは、最近の若者とかTOKIOがよく使う「良い意味のヤバイ」です。

それを踏まえて、酒で戻った乾物はマジヤバイ。見た目もヤバイしタッパの蓋を開けたときの匂いもヤバイ。すぐ焼いて酒飲みたくなる匂い。

もう辛抱たまらんので早速焼いてみました。
まずはめざしからだぜ。
まずはめざしからだぜ。
若干崩れたが美味そう。
若干崩れたが美味そう。
日本酒の丸い匂いがすごくいい。
日本酒の丸い匂いがすごくいい。

酒めざし、超美味い

日本酒を吸って身が柔らかくなったので若干焼くのが難しかった。どうしても身が崩れてしまうのだ。が、焼けた見た目はともかく味は期待した以上だった。

青魚独特の尖った味や苦味が抑えられ、日本酒の旨味がイワシを優しく包み込んでいた。とか、気取った書き方はいらないか。美味い・・・。美味いよ!
酒厚削り鰹節、ヤバイ。酒進みすぎる。
酒厚削り鰹節、ヤバイ。酒進みすぎる。
あたりめもヤバイ。柔らかくて食べやすい。歯が弱くなっても食べられるし味も最高でマジヤバイ。
あたりめもヤバイ。柔らかくて食べやすい。歯が弱くなっても食べられるし味も最高でマジヤバイ。
期待以上の酒鮭とば。
期待以上の酒鮭とば。

鮭とばヤバすぎる

鮭とばの身を指で押すと、層になっている身が剥がれる。それを一口、口に広がる鮭の旨味と鼻に抜ける日本酒の香り。マジヤバイ。35年間これ知らなくて損してたって思うくらい美味い。

この思いつきを試してホントによかったと思った。
ビールジャーキーは果たして美味いのか。
ビールジャーキーは果たして美味いのか。

これは失敗だった

ビールジャーキーは柔らかくなって食べやすいのだけど旨味も塩気も抜けてしまって、なんだか抜け殻の様な味だった。ビールが多すぎたのかも。ビールに昆布はなぁと思って昆布も入れなかったし。

ビーフジャーキーはそのまま食べてビール飲んだ方が幸せになれそうです。

ところで、ここで気になる物が残ってしまいました。
なにやら美味そうな汁が残った。
なにやら美味そうな汁が残った。
漬け汁が残ったのだ。日本酒に各種乾物の旨味がしみ出した汁である。舐めてみるとこれが滅法美味い。甘くてしょっぱくて旨味たっぷり。どう考えても捨てたらダメな物だ。

じゃあこれでなんか料理するか。
パパパパ、だーいーこーんー。
パパパパ、だーいーこーんー。
上の写真の「パパパパ」の部分と、後の間延びした「大根」の部分はドラえもんの声で読んでください。

そう、大根だ。美味い汁で大根を煮たら美味いに違いないので、もうちょい余ってた乾物と一緒に煮込んでみた。
アクを取りながら煮込むこと30分くらい。煮えたら火を止めて冷めるのを待つ。
アクを取りながら煮込むこと30分くらい。煮えたら火を止めて冷めるのを待つ。
冷めると大根が味を吸うので、出来上がり。この大根マジヤバイ。なんだこりゃ。
冷めると大根が味を吸うので、出来上がり。この大根マジヤバイ。なんだこりゃ。

漬け汁(味が付いた酒)で煮込んだ大根ヤバすぎる

余計な味付けはしていない。大根を漬け汁で煮込んだだけだ。大根は日本酒と乾物の旨味をたっぷり吸って旨味の塊になっていた。
見てよ、この色。
見てよ、この色。
一緒に煮た鮭とばやスルメもヤバイ。鮭とばの皮、鱗が特にやばくて煮込んだらゼラチン状になった。魚の鱗って嫌いだったのだけど、これは美味い。美味しんぼで鯉の鱗は煮込むとゼラチン状になって美味いって書かれてたけど、鮭とばの鱗も煮込んだら美味いのだった。

乾物は戻して食べたほうが美味しい

ずっと乾物はそのままか、もしくは焼いて食べるだけの物かと思っていた。でも、実は戻して食べた方が美味い。そういえば中華料理では干しナマコ、干し貝柱なんかを戻して食べる(参考)。だったらスルメや鮭とばだって戻して食べるのが正義ってもんじゃなかろうか。

なお、上手く戻すコツとしては、酒をあんまり入れすぎないこと。酒が多すぎると乾物の旨味が流れ過ぎちゃって良くないです。その時は大根と一緒に煮ればいいんだけど。

乾物の種類、酒の種類、酒の量に漬け時間など味が変わる要素は沢山あるので適当に試して好みの加減を見つけてみてください。エイヒレなんかも酒で戻したら美味しそうだなぁ。やってみればよかった。
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