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はっけんの水曜日
 
にわんち研究報告
まだ可愛い「にわんち」。これからどう育つか。


今日は路上観察系。

 道を歩いていると、自分の家の前にある街路樹やガードレールを起点として「庭の様なもの」が出来てるのを見る事がある。それを勝手に「にわんち」と呼んでいる。

「人んちの前の道の庭」の略だ。どこをどう略したかは各自考えて欲しい。あんまり意味はない。

 今回は、そんな「にわんち」を色々集めてみた。東京砂漠に輝くオアシス、それが「にわんち」だ!

(text by 松本 圭司

僕より大体3割くらい賢明な読者のみんなは覚えているだろう。5月の風雲!コネタ城「道ばた庭の藤棚がすごかった」で紹介したにわんちだ。果たしてコレを越えるにわんちはあるのか?

ここの本気ぶりは本物。来年の藤が今から楽しみ。

■にわんちの構造について

 「にわんち」は、道に面した家でのみ成立する。大抵は街路樹や植え込み、ガードレールの内側と家の間に作られる。要は、じぶんちの敷地を越えて作られちゃった庭の事だ。

 その大きさは千差万別。今回巡った場所では、大がかりで森のようになっている"にわんち"や、こぢんまりと鉢植えが置かれただけの"にわんち"があった。

 左の写真は件の藤棚が凄い"にわんち"だが、藤棚の下には鉄製のベンチがあり、写真右の部分には重そうな丸テーブルと鉄のイスが置かれていた。完全に庭だ。凄すぎる。

では、今回収集したにわんちを見ていこう。コレを越えるにわんちなんて無いと思うけど。

 

■店前植物園

長方形に並べられた鉢植えが魅力。街路樹の周りにはアロエなどが植えられている。

 実は、これ、"藤棚にわんち"と同じ通りにある。直線距離で100mくらい。藤棚に負けないスケール感を有する力強いにわんちだ。街路樹の山桃を祝福するかのように、所狭しと詰め込まれた圧縮感がたまらない。箱庭感あふるる、良いにわんちだ。

先に進むと家庭菜園と化した元植え込みが。本来はツツジの植え込みなんですが。

 

 

■囲われたにわんち


竹で組まれた囲いがイカスにわんちだ。囲われたお陰で、見事に店を隠している。客寄せ的にはこれ、どうなんだろう?とは思うけど。

 店名はぼかしたが、これ、ラーメン屋さんである。ラーメン屋さんの前の街路樹を中心に作られたにわんち。130cmくらいの高さに作られた囲いが、植物を綺麗に整頓している。

 すっかり店が見えなくなってしまって、果たしてこれでお客さんが来るのだろうか・・・などと余計な心配をしてしまうが、店名は見えるようになっているので大丈夫なのだろう。

■生命力あふれる、モリゾー庭


プランターに木が植えられている。ただ、木が育ちすぎてプランターは崩壊気味。

 ここんちの"にわんち"はなかなか凄い。本来ツツジが植わっていたプランターに木を植えたようなのだが、それが育ちすぎてプランターが崩壊してきているのだ。というか、5,6mはある木がプランターから生えてるってのがそもそも凄い。地面の下と繋がってるのかな。

 全体的に木で構成されたにわんちであり、今後の成長から目が離せない。いや、まぁ、正直もう一度また見に行くかどうかはわかんないんだけど。


プランターも小さくは無いが、木が大きすぎて壊れてしまった様だ。

あんまり素敵だったので記念撮影をした。

 

マンションの前にあった。集合住宅の前はにわんち化しづらい。

■にわんちになるまで

 4つ見ていただいたにわんちだが、なにも道と家が出来て、最初からにわんちがあった訳ではない。最初は普通の植え込みであり、街路樹であり、歩道だったはずだ。

 例えば左の写真。これ、プランターは上のモリゾー庭と同じである。そこにはツツジが植えられていて、なんの変哲もない植え込みだった。

これに、別のモノが植えられるとにわんちになる。


かなりカオスになった植え込み。このカオス感がたまんねー。

 おそらくツツジが枯れたり、軽い気持ちでアロエや木の苗を植えたりしたところから「にわんち化」が始まるのだろう。

 左の写真は同じプランターを有するにわんちだが、ツツジはすっかり姿を消してしまい、アロエ、バラ、ビワ、謎の木などなどが隆盛を誇っていた。もう完全ににわんちだ。

これら植物が大きく成長を果たすと、上のモリゾー庭の様になるわけだ。植物ってすげー。

 

すだれとか打ち水とか、そんなのに近い涼しさ。日本の夏は本来もっと涼しいはずなのだ。

■にわんちの利点

 にわんちは、まぁ、細かく言うと歩道の不法占拠だったりするのだろうが、ここではそんな野暮なことは気にしないで紹介したい。にわんちにはにわんちなりの利点もあるのだ。

 まず、非常に涼しい。撮影をしたのは晴れて暑い初夏の真っ昼間。非常に暑くて参ったのだが、にわんちの裏側に入ると、とても涼しいのだ。通る風も爽やか、日陰になっていて涼やか、緑が目にも嬉しい。

 また、にわんちに食べられる実を付ける木を植えることで食べ物を作ることも出来る。実を付ければ食べられる。自給自足、地産地消だ。

どっちもエコだ。素晴らしいじゃないか。

という訳で、エコで素敵なにわんちをどんどん紹介したい。


ここんちはイチジクを植えていたよ。いくつかなってて美味そうでした。食べたらやっぱ泥棒ですよね。
なんと、山の味覚むかごが東京のど真ん中、しかも歩道の脇に。森を切り取ってきたかのようなにわんち。

 

 
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