特集 2011年9月3日

もはや「魚を釣った」となる方法

絶対に魚が釣れます
絶対に魚が釣れます
魚を釣ってみたい。
しかし、釣れる気がしない。釣りに行ったことはあるけれど、釣れたことなどないのだ。竿は終始ピクリともしなかった。

そこでそもそも釣りの楽しみとはなんだろう、と考えてみた。その結果「引き」さえあれば、もはや魚を釣ったと言えることに気がついた。
1985年福岡生まれ。思い立ったが吉日で行動しています。地味なファッションと言われることが多いので、派手なメガネを買おうと思っています。(動画インタビュー)

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> 個人サイト Web独り者 彼女がいる風の地主恵亮

釣り=引き

世の中にはいろいろな釣りがある。海釣りだったり、川釣りだったり、釣った魚を食べる釣りもあれば、釣った魚をまたかえす釣りもある。僕が目をつけたのはこの「釣った魚をかえす釣り」である。
これは川釣りです
これは川釣りです
キャッチアンドリリースといい、ブラックバスを釣るバスフィッシングなどがこれに当たる。その手の本を読むと引きが強く人気が高い、と書かれている。つまりこの釣りのメインは「引き」ということが分かる。
ルアーというので釣ります
ルアーというので釣ります
さらにブラックバスはルアーという魚の形をしたもので釣る。そう、釣る前から竿の先には魚がついているのだ。我が子の成長を見守るような温かい目で見ると、もはや釣る前から魚が釣れていると言えるわけである。
もはや魚です(メガネを外せば間違えちゃいますよ)
もはや魚です(メガネを外せば間違えちゃいますよ)
つまり、このルアーが本当の魚のように動き「引き」を演出してくれれば、絶対に魚が釣れる魚釣りが実現できるわけだ。ということで、このルアーに手を加えようと思う。
動くルアーを作ります
動くルアーを作ります

魚を作る

最近の技術の進歩は目覚しく本物の魚のようにしか見えないロボットも存在する。それが竿の先についていれば完璧なのだけれど、値段的に高いだろう。だから僕はそれに近い物を自作しようと思う。
僕の技術力の全てを注ぐ
僕の技術力の全てを注ぐ
今回の僕の動くルアーは、ルアーをベースにモーターを使い製作している。水の中に入れるのでモーターが水で濡れないようにしなければならない。そいうい技術がいる工作となっている。
完成!
完成!
偉そうなことを書いたけれど、ルアーに水中モーターをつけただけである。これが僕の技術力の精一杯である。しかし、これによりルアーに命が吹き込まれた。見た目はどうアレ、本物の魚のように水の中を泳ぐはずだ。

ちなみにルアーの針を全て取らなかったのは、もしかして本当に魚が釣れるかも知れないという甘い期待のためだ。まだフラれた直後のような未練が本物の魚にあるのだ。
では、行きます(矢印の方向に魚(ルアー)は泳いでいくはず)
では、行きます(矢印の方向に魚(ルアー)は泳いでいくはず)

竿の先に、期待の先に

水中モーターのスイッチを入れ魚を川へと放った。高校時代からバンドを組み、何度も挫折し、やっとのことでメジャーデビューして5年。やっと憧れの舞台である武道館でライブすることが決まったような気持ちだ。
・・・
・・・
ぜんぜん武道館でのライブチケットは売れず中止になったらしい。さらさらと流れる川の前で永遠とも思われる時間をただただ僕は過ごした。要するに僕が散々プレゼンした「引き」が全然ないのだ。
沈んでる
沈んでる
僕の人生で言えば大学1年の春くらいに沈んでいる(ホームシックでした)。ピクリともしない。モーターは水を得た魚のように動きスクリューを回しているけれど、魚(ルアー)を動かすには至っていない。もちろん本物の魚も釣れなかった。
埋もれてるもんね
埋もれてるもんね

陸でいいのでは

よく考えると「引き」を楽しめればいいので、何も水辺に出かける必要はないのかもしれない。近所で手軽に「引き」を楽しめれば水辺に行かなくとも釣りが楽しめる。そこで陸上での釣りを実現した。
実現しました
実現しました
動きます
動きます
これを竿の先につけてスイッチを入れると、今度は確実に魚は僕とは逆方向へと進んだ。しかし僕は寝ることを許さない取調べ係の刑事のように頑として魚が逆方向へと進むことを許さない。そう、「引き」を実現したのだ。
釣りです
釣りです
結構引きます
結構引きます
「引き」だ。ぐいぐい引く。
こんなに引くのは僕の人生で考えると友達と出たM-1の予選1回戦みたいだ。誰も笑わない空間。お客さんの引いていく様はすごかった。そんな引きがここにあった。写真を見ると僕はかなり笑顔。楽しいようだ。
竿もしなっている
竿もしなっている

もはや引きだけでいいのでは

初孫を抱きかかえるおじいさんのような温かい目でルアーを魚と言って来たけれど、もはや引きさえあればいい気がしてきた。飛べない鳥がいるように、魚がいない釣りがあってもいいという悟りの境地に辿り着いたのだ。
その結果、すごい引き
その結果、すごい引き
魚は常に同じ方向に引くのではなく、右へ泳いだり、左へ泳いだりもする。コチラに向かって来て、糸のテンションが下がる時もあれば、糸が切れるほどテンションがかかる時もある。それを忠実に再現する方法を発見したのである。
この方法です
この方法です
グイグイ引きます
グイグイ引きます
鉄棒に糸を通し先を足に結ぶ。あとは足を前にしたり後ろにしたりすれば、釣りが大好きな三平でもてこずる引きを再現できる。何が悔しいって、これがかなり楽しいことだ。子供の頃から一人遊びをするタイプだったが、写真の僕を見ると写真集のアイドルよりも笑っている。本当の魚が釣れたらどんなに楽しいのだろう。
楽しいですよ!
楽しいですよ!

ポジティブシンキング

人生とはどんだけポジティブでいられるかが、幸せに過ごせるか否かのポイントだと思う。どんな時もポジティブなシンキングが大事なのだ。その結晶がこれである。

釣りの楽しみの多くをこれで手に入れることができるはずだ。それに最後の方法なら日本ではなかなか味わえないようなビックフィッシュを釣り上げる感覚も楽しめる。ポイントはポジティブなシンキングである。
本気の釣りもしたけどもちろん釣れなかった
本気の釣りもしたけどもちろん釣れなかった
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