特集 2011年8月26日

掃除機イルミネーションファンタジー

ほたる?流れ星?いやいや掃除機です。
ほたる?流れ星?いやいや掃除機です。
掃除ロボットの動いた軌跡を写真に収めたサイトを見つけた。本体についているパイロットランプの光りの軌跡を撮影したものなのだけれど、なにか意思を持っているというか、必然性があってその軌跡ができているように見えるのだ。

我が家にもちょうど掃除ロボットがやってきたので試してみた。
行く先々で「うちの会社にはいないタイプだよね」と言われるが、本人はそんなこともないと思っている。愛知県出身。むかない安藤。(動画インタビュー)

前の記事:タイの野良犬はお供え物を食べないのか

> 個人サイト むかない安藤 Twitter

掃除ロボットかわいい

以前ライター田村さんも記事にしていたのだけれど(こちら)、掃除ロボットははっきりいってかわいい。
我が家にやってきた掃除ロボ。名前はまだない。
我が家にやってきた掃除ロボ。名前はまだない。
予想以上にでかいし特に飾りっ気もないので一見するとどこがかわいいのかわからないだろう。僕も最初そうだった。しかしいざ使ってみると、これが確かにかわいいのだ。

順を追って説明しよう。たとえば「どんくさい子がかわいい」という理論にあてはめてみる。
夜帰ると風呂場でドアに挟まってもがいていたりする。かわいい。
夜帰ると風呂場でドアに挟まってもがいていたりする。かわいい。
あとサッシにタイヤをとられてもがいていたりする(それを興味深そうに猫がつついていたりする)。かわいい。
あとサッシにタイヤをとられてもがいていたりする(それを興味深そうに猫がつついていたりする)。かわいい。
このように、最新機器のくせにこいつ非常にどんくさいのだ。

さらに「手のかかる子ほどかわいい」の理論にもあてはまる。
作動させる前には床にできるだけ物をおかない状態にしなくてはいけない。まずこれがたいへん。
作動させる前には床にできるだけ物をおかない状態にしなくてはいけない。まずこれがたいへん。
あとこういう細いコードが苦手。近くを通るとたいていタイヤに巻き込んで止まってしまう。
あとこういう細いコードが苦手。近くを通るとたいていタイヤに巻き込んで止まってしまう。
買ったときについてきた注意書きには2回に1回くらい本体を掃除しないと壊れる、と書いてあった。掃除機を掃除しなきゃいけないのだ、たいへんだ。

あと目の前にゴミが落ちていても平気で無視してあさっての方向に向かっていったりする。へたすると普通に掃除機出してきて自分で掃除した方が楽なのではないかと思うこともある。

でも壁伝いによたよたと動く不安げな足取り、電池が切れそうになると自分でドック(充電器)まで帰って行く後ろ姿、そんなものを見ていると、なんだかいつかの自分を見ているようで(いつかっていつだ)目頭が熱くなるのだ。
最初は作動する度逃げまどっていた猫も今では当たられても無視するまでになった。家族の一員として認めたんだと思う。
最初は作動する度逃げまどっていた猫も今では当たられても無視するまでになった。家族の一員として認めたんだと思う。
いろいろ書いた後にあれだが、セットして出かけると帰ってきたときには床がピカピカになっているのはなんといっても気持ちいい。すべての不便をチャラにしてあまりある感動があるものです。

ロボットの軌跡がかっこいい

そんな掃除ロボットの動いた軌跡を撮影した写真を集めたサイトを見つけた。こちら。これがなんとも幻想的でかっこいいではないか。おそらく暗闇の中を動くロボットのパイロットランプの軌跡を長時間撮影したものなのだけれど、この軌跡がなんというか意思をもって動いているかのように美しく興味深いのだ。こんなファンタジックなことが毎日起きていたなんて。

これ、うちの子にもでるだろうか。試してみることにした。
お前にもできるのか?
お前にもできるのか?
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まず場所がない

撮影をするにあたって一番困ったのは場所だった。前述の通り、作動させるたびに物を机の上にあわてて避難させるような手狭な稚宅である。できれば自由に動き回ることのできるスペースで我が子のポテンシャルを最大にひきだしてやりたいところだがすまぬ、俺の稼ぎではこれが限界だ。

なんの話だったか。そうだ、撮影場所だ。いろいろ悩んだすえ寝室に決めた。
初めての場所にとまどうわが子。
初めての場所にとまどうわが子。
外からの光りが入ると撮影できないので暗くなるのを待っての撮影は現在午前1時。

想像してもらいたい。家族のある家庭で午前1時に寝室を占領するというのはかなりの暴挙である。今回、ロボットが寝室を掃除するところを撮影するから、と妻と子どもには泊まりがけで出かけてもらった。苦労をかける。
詳しくは書かないがいろいろたいへんだった。部屋の中のものをどかしてむりやりスペースをこじあける。
詳しくは書かないがいろいろたいへんだった。部屋の中のものをどかしてむりやりスペースをこじあける。
空いたスペースに掃除ロボット投入。もちろん撮影機材も。
空いたスペースに掃除ロボット投入。もちろん撮影機材も。
ちょっとした音がでかく聞こえる時間帯である。
ちょっとした音がでかく聞こえる時間帯である。
段取りがたいへんすぎてとりあえずここまでたどり着いた時には笑えた。
段取りがたいへんすぎてとりあえずここまでたどり着いた時には笑えた。
もう一度言おう、午前1時である。

掃除ロボットは普通の掃除機に比べれば音が小さいとはいえ、やはり一般的に夜中に作動させることなど考慮されていない。電源を押したと同時に鳴る「ぴぽーぱぽー」という脳天気な電子音すら夜の町に響いている気がする。夜中に掃除機まわして寝室の写真を撮るということは、なかなかに反社会的な活動なのだということを実感した。

というわけで家中のドアというドア、全ての窓を閉め切って撮影することにした。

撮影方法は手探りだが、たぶんバルブ(ボタンを押している間、ずっとシャッターが開いている設定)で撮ったらいいんだろう?
シャッター速度は「バルブ」にセット。
シャッター速度は「バルブ」にセット。
押している間シャッターが開いているので、シャッターボタンはガムテープで固定。
押している間シャッターが開いているので、シャッターボタンはガムテープで固定。
撮影の準備が整ったらカメラを三脚にセットして、掃除ロボットを起動させる。

「ぴぽーぱぽー」

初めての場所を何も知らずにうれしそうに走り回るわが子。いつもより若干広い空間に興奮気味である(僕が)。

部屋の灯りを消して、いざ撮影開始だ。
撮影中はこんな様子。なにも見えません。
撮影中はこんな様子。なにも見えません。

どうなの、撮影結果

最初なのでてきとうに5分間シャッターを開けておいた。その間にロボットが動いた道跡がパイロットランプの軌跡として写っているはずである。

撮ったあとに分かったことだが、5分くらい撮影すると、カメラが画像処理してSDカードに保存するまでに同じくらいの時間がかかるのだな。撮影5分、保存に5分。その間僕は汗をだらだら流しながらただ部屋でじっと待っていた。

さあ出来上がった写真はどんだけファンタジックなのか。見てみようじゃないか。
ファンタジック!
ファンタジック!
じゃなーい。
じゃなーい。
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ページをまたいだすきに一度アイスを食べて気持ちをリセットしました。
ページをまたいだすきに一度アイスを食べて気持ちをリセットしました。

少しずつ条件を変えていく

ファンタジックな光りの軌跡どころか、あの世の扉を開けてしまったたかのような写真が写っているではないか。どこ掃除してきたんだねキミは。

まあ最初だから仕方がないだろう。思いつく設定をさまざまに変えていき(いろいろ変えすぎてわけがわからなくなったので詳細は省きます)、なんとか軌跡らしきものが写るようになってきた。
こんな感じである。
こんな感じである。
メモ程度に、条件としては、ISO感度400、絞りF8、シャッターはバルブ(開放)である。しかしこれはカメラにもよるようで、同じ設定にしてもまったく何も写らないカメラや、ノイズでジャギジャギになって軌跡どころじゃないカメラもあった。おそらく普通のカメラは暗闇の中で掃除機を長時間撮るようには設定されていないのだ。

トライアンドエラーを繰り返しながら、開始から1時間半。ようやく長時間の軌跡らしきものをとらえた写真が下である。
掃除機、3分間の軌跡
掃除機、3分間の軌跡

撮れるは撮れた。しかしなにかイメージと違う

写真中、いくつか光りの○が写っていると思うが、これはロボットが停止して方向を変えている時に同じ場所にとどまっているところをとらえた部分である。動いていないのでしっかり写っているのだ。

しかし追いたかったのは軌跡の方だったはずだろう。こんな未来の貝塚みたいな景色じゃない。
軌跡(線の部分)はほんのうっすらだ。
軌跡(線の部分)はほんのうっすらだ。
私事で恐縮だが先日受けた人間ドックで胃に軽度の異常が見つかってからというもの、お酒を飲むのを控えている。しかし酒を飲まないと夜ヒマなので、アイスばかり食べてしまうのだ暑いし。この撮影中も失敗するごとにふててアイスを食べ、今かるくお腹痛い。

しかしこうなったら気に入った写真が撮れるまで続けるのみだ。

撮影機材と設定をさらにごそっと一新して次の撮影に臨んだ。いま3時過ぎである。窓を閉め切っているので部屋の中がラグビー部の部室みたいなにおいになっている。
撮影機材をぜんぶ取り替えた。設定も変えた。
撮影機材をぜんぶ取り替えた。設定も変えた。
まずレリーズ(シャッターを固定できる道具)で押すことに。これで長い撮影がかなり楽になる。
まずレリーズ(シャッターを固定できる道具)で押すことに。これで長い撮影がかなり楽になる。
絞りF8、距離2メートル、ISO感度400、ノイズリダクション(長時間撮影するとノイズが発生するのでそれをキャンセルする)ON。
絞りF8、距離2メートル、ISO感度400、ノイズリダクション(長時間撮影するとノイズが発生するのでそれをキャンセルする)ON。
これまで斜め横方向から撮っていたのだけれど、三脚を部屋の中心にセットしてできるだけ真上付近から撮影できるようにした。この方が光りを直接とらえやすいだろうという考慮だ。あとエアコン入れた(なんで今までガマンしていたのかわからない)。
これでダメなら暗闇で僕が電飾付けて転げ回る。
これでダメなら暗闇で僕が電飾付けて転げ回る。
こい!
来た!
来た!
じっくりと時間をかけて保存された後に、カメラのプレビューを見て「来た!」と思った。かつてサイトで見たようなファンタジックな軌跡にはまだ届いていないが、ロボットの動きがちゃんと一筋の光りとして記録されているではないか。

時間をのばしてもう一度撮影してみた。
これまた芸術的な。
これまた芸術的な。
アンモナイトのようなみごとな螺旋。
アンモナイトのようなみごとな螺旋。
掃除ロボットは障害物があるとその周りをくるくる周りながら掃除をしていくのだが、その習性をぜひ写真に収めたかった。そこで部屋中に障害物として置いておいたのだ。それがよかった。
猫は別。
猫は別。
下は障害物の周りをぶつかりながら周回している様子。ロボットの迷いみたいなものが感じられようか。
あきらめずに3周回っているのがわかる。
あきらめずに3周回っているのがわかる。
まだまだ改善の余地があるが、空が明るくなってきたのでこの辺でおしまいにしたいと思います。

かなり修行が必要

掃除機ロボットの軌跡を撮影することには成功したのだけれど、海外のサイトに投稿されているようなファンタジックなイメージに撮影するにはこれからさらなる修練が必要だということがわかりました。アングル、機材、設定、暑さ、家族、近所の目などなど。たくさんの軌跡を一気に撮影しているのはきっと掃除ロボットを同時に何台も動かしているんですよね。いつか光りの軌跡でメッセージが書けるくらいになりたいです。
おかげで床はピカピカになりました。
おかげで床はピカピカになりました。
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