特集 2011年8月24日

しゃべるパペットで歌舞伎の牛を作った

コウライヤ!
コウライヤ!
去年に引き続き、「妄想歌舞伎」というイベントに先日参加させていただいた。自著「妄想工作」にちなんでの召集だが、私への任務は「妄想歌舞伎工作を作ってください」というものである。

妄想歌舞伎工作って、いったい何だろう。ハタと立ち止まって考えた。
ああ、歌舞伎を妄想して工作にする、ということか。そのまんまだ。

歌舞伎初心者なりにいろいろ考えた結果、パペットを作ることにした。歌舞伎に出てくる動物で、口をあけると「高麗屋!」と掛け声を発するという、どこからどう見ても「妄想歌舞伎工作」である。
1970年群馬県生まれ。工作をしがちなため、各種素材や工具や作品で家が手狭になってきた。一生手狭なんだろう。出したものを片付けないからでもある。性格も雑だ。もう一生こうなんだろう。(動画インタビュー)

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> 個人サイト 妄想工作所

頼もしきブレインの参加

市川染五郎氏と文筆家君野倫子氏による「妄想歌舞伎」。昨年は、染五郎氏発案の「五右衛門危機一発」を作らせていただいた。あのマスターピース「黒ひげ危機一発」を、歌舞伎に登場する石川五右衛門に改造するというものだ。
風呂釜に刀ぶっ刺すという斬新さ。
風呂釜に刀ぶっ刺すという斬新さ。
昨年は工作、なら今年は手芸方面で行ってみようか。イベントは女性客が圧倒的に多いし、手芸なら親和性が高いと踏んだ。その上、今年も何かアクションめいたものを付けて…と考え、「しゃべるパペット」作りに挑戦したのである。

だが当方、電子工作は、まったくやらないということはないが、おっかないし、よくわからない。オームの法則って何それ、ああちょっと私を一人にしといてくれ!という腰の引けっぷりなので、頼もしい助っ人にアドバイスを求めることにした。当サイトの記事でも過去に「電子工作で顔芸をしたい」(さくらいさん記事)でお手伝いいただいた、メカロボショップ店長、岩崎修さんである。
某カフェにて電子部品の説明(お姿を撮り忘れたため、本人に顔写真を提供いただいてワイプに。卒アル撮影を欠席、みたいになってすみません!)
某カフェにて電子部品の説明(お姿を撮り忘れたため、本人に顔写真を提供いただいてワイプに。卒アル撮影を欠席、みたいになってすみません!)
詳しく聞く、とはいうものの、実はそんなに複雑な工作ではない。要件としては、

・パペット大のものに組み込める大きさ・重さ
・パカッと口をあけるとそのタイミングで音声を発する
・音声はひとまず「高麗屋!」の1種類でよい(染五郎氏の屋号)
・音量は室内で聞こえる程度

これを満たせばよいのだから、たぶん簡単なもののはずだが、Webや書籍を読んでも私に応用できそうな気はしない。初めの一歩がなかなか踏み出せない感じだ。その一歩を、岩崎さんにお手伝いいただきたい。
MicroSD対応の部品もあったが、ちょっと大きい。
MicroSD対応の部品もあったが、ちょっと大きい。
こういう音声録再キットがある!
こういう音声録再キットがある!
初心者たる私にも非常にわかりやすく、丁寧に教えてくださる。あらゆる疑問がほろほろと解けていき、相談事は進んだ。

結果、右上写真のようなキットが組み込みやすそうだということになった。が、元からキットとして売られているこういうものをそのまま使うのもいいが、「何かを改造する」ほうが愉快だということに落ち着き、後日岩崎さんがなおも探してくださったのがこちらだ。
お祝いなどに使われる、音声付メッセージカードのキット。
お祝いなどに使われる、音声付メッセージカードのキット。
中身を簡単に取り出せる。
中身を簡単に取り出せる。
これもかなり単純な仕組みだ。2つの録音用ボタンを同時に押して声など録音、もうひとつのボタンを押したら再生。録音は15秒までで、何度でも可。これなら、多少の改造くらい自分でできそうだ。もうここまで来たらできたも同然だ(こういう姿勢が、後で毎回地獄を見ることになる)。

ラフを描いても手探り

肝心の「どんな動物を作るか」だが、染五郎氏に打診してみたところ、「自分は丑年なので、牛ではどうですか」とのお返事。牛、はいガッテンです、承知しましたーと資料を探し始めたのはいいが、意外と「歌舞伎に出てくる牛」はおろか、「歌舞伎に出てくる動物」についての画像が少なくて難渋した。主役は人間だ、仕方なし。

同じく出演者の君野さんにも問い合わせ、なんとか牛の全容がおぼろげにわかる画像を揃えた。
傑作という「菅原伝授手習鑑」に、牛の出てくるシーンが。出典「一冊でわかる歌舞伎名作ガイド50選」(成美堂出版)。
傑作という「菅原伝授手習鑑」に、牛の出てくるシーンが。出典「一冊でわかる歌舞伎名作ガイド50選」(成美堂出版)。
これらの資料をもとに、ラフを描く。絵の心得のなさを実感する瞬間である。
最高にひどい。何も捉えてない。
最高にひどい。何も捉えてない。
描き直したがまったく参考にならないラフ。
描き直したがまったく参考にならないラフ。
自分でもよくわからない絵のため、電子部品をどう組み込むか見当がつけられない。困ったものだ。

基本的にはこうなるといいな、と描いてみたのがこの図だ。
口をあけると、蝶番部分で接点が触れて、電気が通る(つまり音が鳴る)。
口をあけると、蝶番部分で接点が触れて、電気が通る(つまり音が鳴る)。
まあとにかく、こんな感じのところにだんだんと向かって作っていこうではないか。漠然とした工作がスタートした。
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