ウチダザリガニワイルド釣り大会
増えすぎてしまったウチダザリガニを釣って食べて駆除しようという意義あるイベントは、裏磐梯観光協会が主催する、ウチダザリガニワイルド釣り大会(
詳しくはこちら)。
大会名でワイルドと名乗りつつも、基本的には子供向けの自由研究お手伝い企画のようだが、そんなの大人だって参加したいじゃないかということで、友人達と8人の大所帯でエントリーだ。
ウチダザリガニは夜行性。試合は昼間におこなわれるのだが、大会が成り立つほど簡単に釣れるのだろうか。
受付のバケツにウチダザリガニが入れられていた。これこれ、こいつ。久しぶりにみたけど、やっぱりインパクトあるわ。
この大会は7~9月に毎週末開催され、シーズンを通してのチャンピオンを決めるという本格的なもの。
数少ない(はずの)ウチダザリガニ釣りの経験者として、おとなげなく優勝をかっさらってやろうと、本気で考えてのエントリー。チャンピオンの肩書、欲しいもの。
ザリガニ釣りの公式釣り具は、棒と紐のシンプルな構成。小学生以下は網の使用も可。
餌はスルメが支給される。ザリガニ釣りにはスルメって、いつどこで結びついた常識なんだろ。
なんやかんやの腐れ縁、Hくん(写真右)をパートナーに参戦。後ろに写っている自転車で来た訳ではないよ。
ザリガニ釣り大会のフィールドはそこらじゅう
大会のルールは、ペアで一時間に何匹釣ったかを競うというもの。開始の合図と共に、ウチダザリガニがいそうな場所を探し歩くことになるのだが、優勝を目指すのであれば、早めにきてポイントの目星くらいはつけておくべきだったと、いきなり反省することになった。
主催者のアナウンスによると、このあたりは水のあるところなら、川でも沼でもどこにでもヤツはいるそうなのだが、やはり多い場所と少ない場所というものはある。
こんな小川にも潜んでいる。ウチダザリガニ、増え過ぎ。
地元の爺さんが池でフナでも釣っているような写真だが、彼らも大会参加者だよ。
このエリアはどこも水深が浅いため、基本的には目で見てウチダザリガニの姿を探し、そいつの目の前にスルメを垂らして釣り上げるというサイトフィッシングスタイル。ただ水中にスルメを入れて待っていても、なかなか釣れないのだ。
というのを理解するまで、しばらく時間を要してしまった。
「ちょっと、きてきて!ほら、ここ!」 お、先にパートナーのH君に釣られちゃったかな。
「見て、トンボが止まっている!」 ええと、忘れていたが彼は釣りとかにまるで興味がないんだった。
そのためキノコ狩りなどと同じく、ザリガニに出会う機会の多い先行者が有利となる。土地勘のない我々は、人が集まっているところを回っていったため、すでに釣りきられた場所で落ち穂拾いのような苦戦を強いられることとなった。
というのを理解したのは、この原稿を書いている今だったりする。
前回のザリガニ釣りに付き合ってもらった友人が先に釣り、ちょっとしたUMAのような姿でピースサイン。
全力を出し切りました
ウチダザリガニ、昼間でもよく見ればいることはいるのだけれど、食べるにはちょっと小さい小指サイズばかりで釣る気にならない。
食べ頃サイズをなかなか見つけられないまま時間を無駄にしたのだが、これは大きさの勝負ではなく、数を競うものなのですよね。
ということで、今更ではあるが、ここは勝負に徹するため、岩の陰から頭を出していた小物に勝負を挑んでみる。
目の前にスルメを落とすと、すぐに挟んできた。「見えている魚は釣れない」というけれど、ウチダザリガニは見えていても釣れるみたい。
しっかりと挟んだのを見定めて、そーっとスルメを持ちあげる。ビンビンビンと水中で引っ張られた!楽しい!
釣れた!小さい!でも嬉しい!
大人になったアメリカザリガニよりも小さいけれど、とりあえずウチダザリガニを一匹ゲット。どんな釣りでもそうだけど、やっぱり一匹目っていうのは特別うれしい。
これまでの最高記録が50匹らしいので、いまから30秒に一匹とかのペースで釣らないと優勝は難しいようだが、とりあえずいけるところまで行ってみようと思う。
とりあえずパートナーを挟ませる。 「やめてください。そういうところ、ぶれないですよね」
しかし、ザリガニ釣りは難しい。なかなかペースはあがらずにモヤモヤしていたら、地元民と思われる子供達がやってきた。
後ろから我々のさびしげなバケツを覗くと、「これはハンデがいるな!」「ハンデだね!」といって、大物のウチダザリガニを入れて去って行った。
なんだ、いまのは。
お礼もいわせずに走り去っていく子供たち。どうやら主催者側の子供たちだったらしい。ザリガニ義賊か。
バケツには大物二匹が追加されていた。ありがとう。しかし、俺が釣ったのは小さいなー。
大きなザリガニをもらってうれしいのだけれど、大人としては、やっぱりちょっと切ないかな。
しかし彼らのあの姿、アメリカザリガニ釣りでブイブイいわせていた小学生の頃の自分を見るようだ。
僕はいつからザリガニをもらう側になったのだろうね。なんだか悔しいなー。
小さいザリガニも掴みやすいように、スルメを細かく裂いてみた。もうなりふり構わない。
水面の反射を防ぐ偏光グラスを装着。かなり卑怯だけれど、これでザリガニは丸見えだ。
終了時間の10分前には雨が降り出してしまったが、それでも時間一杯まで戦い抜いた。
見えているザリガニを釣るというスタイルが斬新で、なんだか思った以上に夢中になってしまった。
驚きの結果発表
試合終了後、ザリガニを数える方法は、運動会の玉入れ方式。懐かしい。
司会の声にあわせて、一匹、二匹と、バケツにザリガニを入れていく。
優勝は無理だとしても、せめてこの中で半分より上くらいではあってほしい。
七匹、八匹、九匹。
最初にザリガニが切れたのは、我々のチームだった。
ギャー!
しかも、そのうち二匹はハンデだ。
見事な完敗である。
すっかり優勝するものだと思っていたので、張り切ってチーム名を「DPZ(当サイトの略名)」にしたのが恥ずかしい。
主催者である観光協会の方の話だと、前日から急激に気温が下がったため、ザリガニの活性が悪くなってしまったそうだが、それでもトップは25匹。やっぱり釣る人は釣るようだ。
裏磐梯のマスコットキャラクター、バンダイくんから記念品の授与。
さすが裏磐梯。マントの裏に、裏って書いてあったぞ。
「ちょっとおとなげなかったですね」との勝利者コメントだが、我々も十分おとなげない戦法を取った上でのビリなんだよね。
なんとなく連れてこられた友人達にも負けたのが切ないが、みんな楽しんでくれたようでなにより。
ウチダザリガニはおいしいよ
さてすっかり忘れていたのだが、この大会の趣旨は、食べることで増えすぎてしまったウチダザリガニを駆除するというものだった。
釣ったザリガニは、その場で塩茹でにしてもらい、参加者全員でおいしくいただく。さらに事前に用意していただいた茹でザリガニもたっぷり出てきた。
茹でられて真っ赤になった大量のウチダザリガニ。
二年ぶりに食べるウチダザリガニはやっぱりおいしく、自分が釣った分の何倍も食べさせてていただいた。
殻をむいて背ワタを取って食べる。ちょっと面倒だけれど、やっぱりうまい。
この顔にピンときたら、11…7番。時間がわかるよ。
マヨ醤油が最高に合うのだ。これが入ったおにぎりが食べたいとの声多数。裏磐梯の新名物にどうでしょう。
爪の肉がまたうまい。食べずに捨てようとした子供から奪ってでも食べたい味。
いやー、しかしまさか本気でやってビリとは。自分で自分にびっくりした。
でもまあ、楽しかったからいいか。
うん、いいことにしよう。
もしかしたらもう一丁!
大会に参加した友人達が、このウチダザリガニ釣りをいたく気にいってくれたらしく、近いうちにここでキャンプをしようといいだしている。
ザリガニ釣り大会は9月いっぱいまでやっているので、もしかしたら、そのときはこの日のリベンジに挑んでいるかもしれない。