地下25mにジャングルジム!
まあとにかくどんなだったかをご覧いただこう。どーん!
うひょー!
すごいすごいすごい!
あらららら!
鉄筋祭り開催中!
土留め祭り開催中!
どうだろうか。すてきよねえ。
こどもの頃、遊具の中でジャングルジムにはあまり興味がなかったぼくだが、このジャングルジムならめいっぱい遊びたい。遊べないけど。
というか、今思えばジャングルジムってどうやってあそぶことを想定しているんだろう?登っておしまい?それだけ?まあ遊具ってそういうものか。
夜に撮ったほうが面白くない?
なんのはなしだっけ。
そうそう、このジャングルジム、なんなのかというと、「土留め」を支える「支保工」というもの。トンネルなどを作るために、地面を掘る。掘るとその両側が崩れてくる。これを食い止めるのって、すごくたいへんで、「土留め」といって鉄の板で壁作って必死に止めるのだ。
その壁を支えるいわば梁と柱の群れがこのジャングルジムの正体というわけだ。以前、
新横浜のシールドマシン発進立坑を見に行ったときのあれといっしょだ。
左下「4 掘削工・土留支保工」とあるところの赤い横梁がジャングルジム。(東京都都市整備局再開発事務所・東京都建設局第一建設事務所「環状第二号線新橋・虎ノ門地区 市街地再開発事業 / 道路事業 事業概要2010」より【→
PDF】)
こういう土留め壁をぐっと押さえているわけです!ご苦労様です!
さて、なんでこんなすてきなジャングルジムが新橋のど真ん中にあるのか?
マッカーサー道路はトンネルに
この工事は前ページ冒頭に書いた通り、環状2号線をつくっている現場なのだが、この環状2号線とはなにか。
これはすでに外堀通りとして知られている道路に、虎ノ門から先の有明までがつながって完成する環状道路。文字通り内側から2番目だ。でもあらためて見るとあんまり環状じゃないなー。
こういう道路が完成予定。(前ページと同じ「環状第二号線新橋・虎ノ門地区 市街地再開発事業 / 道路事業 事業概要2010」より【→
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で、その虎ノ門から豊洲までの間が工事中。さらに、虎ノ門から築地までは地下トンネルになるのだ。
きけば環状2号線作るよ!って決まったのはなんと1946年。当初は幅100m(!)の予定だったのが、40mに変更され、さらに近年トンネルになった。だからジャングルジムのような土留めが必要になるわけだ。
ちなみに築地から先は、例の築地市場移転に伴って、トンネルから地上に変更になったそうだ。
この部分が道路になる。(ぼくがてきとうに描いたものなので正確性に欠けますのでご注意)(
大きな地図で表示)
じつはここ、通称「マッカーサー道路」と呼ばれているもの。そう、2007年に「
壁とマッカーサー」と題した記事でたずねた場所なのだ。なつかしいなあ。
当時、壁鑑賞の第一人者と訪れたこの場所。あのときはまだぽつぽつと家が建っていたのだが、ちょっと見ない間にこんなジャングルジムってたとは!
こういう感じで取り残された家が建ってた。
こういう感じだった。右が汐留方向、左が虎ノ門方向。
デイリーポータルのライターやっててよかった!
さて、前回の上記記事では、ただのひとりの男として新橋の街を歩き回っただけだったが、今回はちがう。東京都建設局第一建設事務所の方に案内していただいたのだ。やった!
越えられぬ現場の壁。しかし今回はちがう!
指をくわえて見ていたあこがれの現場へ!
はいっちゃうもんね!
下っちゃうもんね!
ひゃー!
ひょー!
ほえー!
こういう貴重な機会をいただけたのは、こうやってしつこく「現場かっこいい!」ってデイリーで記事にしてきたからだと思う。大山連れて行ったらよろこぶぞ、って思ってくれる方がいたのだ。ありがとうございます。みんなも工事現場見たかったらデイリーのライターになるといいと思う。
東京で2番目に高いビルが建つ
前ページ地図で、国道1号線(桜田通り)とその東、愛宕通りの間だけ用地が広くなっている。ここには、森ビルが52階建て、高さ247mの超高層ビルを建てるのだそうだ。完成すれば東京で2番目に高いビルになるとか。都庁より少しだけ高いんだって!びっくり。虎ノ門にねえ。
そのビルのイメージ図。(前出と同じ「環状第二号線新橋・虎ノ門地区 市街地再開発事業 / 道路事業 事業概要2010」より【→
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正直、道路など「ザ・ドボク」なものには惹かれるけど(免許もないくせに)、高いビルとかにはそれほどないぼくとしては(森ビルごめん)、その横にある換気塔のほうに興味津々なのだ。
で、冒頭のすごいジャングルジム、地下25mの場所は、実はこの換気設備がおさめられるスペースなのだった。
だからすごく深いのだった。怖いけど、のぞき込んじゃう。
いやー、ほんとかっこいいな!
こういう足場を歩かせてもらって、
で、地下いちばん底は鉄筋を組んでいるところだった。見上げた空は虎ノ門。
お疲れさまです!ご安全に!
この日はほんとうに暑い日で、現場は気温も湿度もとても高かった。
このとき気がついたのだ。世間では節電で冷房を控えるとか言ってるけど、もともとエアコンなんて関係ない職場もあるんだよね、って。しかも体守るために作業服、ヘルメットはきっちり着なきゃいけないし。クールビズどころじゃない。命に関わる。
毎回現場を見せてもらうたびに思うのは、けっきょくこういう「たいへんだなあ!」ってこと。ほんと、たいへんだ。
新橋ランプのところはだいたい形になってる!
さて、この虎ノ門ジャングルジムから新橋方面にちょっと行った部分は、すでにトンネルができあがっているのだ。そこも見せてもらった。
おおー!開通前のトンネルってすてき!
土留め際から本線へ!むはー!
第一京浜のちょっと西のところで、トンネルから地上に出るランプがつくられる。そこから本線に入れてもらった。
夏の新橋。空の下にぽっかりと口を開けたランプ。
近づくといきなり土留め壁で行き止まり!ん?
ふり返ると、こんな。
近づいていって…
ふり返ると、こんな。
で、やおらその行き止まりの土留め壁の隙間へ!おお!
横へくぐり抜けた先には、こんなすてきな出来たてほやほやトンネルが!
むちゅう!
ちょうどランプと本線が合流する手前のところまでできあがっていて、上の土留め壁の向こうはまだ掘ってる最中。
それにしても路面アスファルトもひいてないつるっつるのコンクリートの箱って、なんでこんなにすてきなのかしら。
山手トンネルや
大井の開通前トンネルも見せてもらったけど、毎回大興奮だ。開通前のトンネルを見ると脈が上がる。これをトンネル効果と呼びたい。
興奮さめやらぬうちにも、「おや?」と気がついたことがあった。上の品川線の記事のタイトルを「
すごく掘るのがたいへんそうなトンネル」などとしたが、この環状2号線もまたたいへんなのだった。
それはなにか。新橋なんていう都心ど真ん中ならではの苦労があったのだ。
右手、汐留方向に向かってやんわりと上り坂になっているのがわかるだろうか?
地下鉄よける!
それは「上見てみてください」と言われてまず気がついた。
天井にH鋼を切断した跡があるのだ。
点々と灰色の四角いものが並んでいる。よく見るとH鋼の断面。
「これは、支保工の柱の跡なんですよ」と説明いただいた。
なるほど、前出のジャングルジムは、ここのようにトンネルの箱が完成した暁にはもういらないわけで、そうなると、柱は切るしかないのだ。ほー!
最終的に、これら柱は切らないとならない。
で、この説明の後、汐留方向に進んだところでへんな向きにこのH鋼の跡が並んでいる部分があるのに気がついた。
H鋼跡がトンネルに対して斜めに。なんでだ?
「これ、なんで斜めだかわかりますか?」
「うーん…?」
ちなみに、この地点がやんわり上り坂の頂上付近。
ふと、横を見ると!
「都営浅草線 ここから2.0m下」の文字が!うおおお!そういうことかっ!
この足の下、わずか2mに!
浅草線の上は第一京浜。つまり、上の斜めのH鋼は第一京浜に沿った斜めなのだ。
そしてやんわり上り坂なのは、地下鉄浅草線を避けるため!
つまりこういうことだ!見える!ぼくには見えるよ!(汐留方向から虎ノ門方面を見たところ。向こうが下がっている)
「下2mってすごくぎりぎりですね!上の地上までってどれぐらいですか?」
「そうですねー、1mぐらいですかね」
いちめーとる!びっくり。すれすれだ。
もうなんかたいへん!
いま都心で何かを作るというのはこういうことなんだな、とあらためて思った。すでにいろいろなものがみっちりぎゅうぎゅう詰まってて、地上にしろ地下にしろ間を縫うようにしていかなくてはならないのだ。
壁にこんなものが貼ってあった。設計で高さ5m20cmのものが、できて測ったら12mm大きかった、ということ。0.2%かー。すごいなあ。そうだよなあ、じゃないと浅草線にぶつかっちゃうもんなあ。
みんなと一緒に見に行きたい!
今回は、都のみなさんに特別にご招待いただきました。ほんとうにありがとうございました。
「ぼくの他にももっと見たい人たくさんいるんですが…」とお願いしてみたところ「検討してみます」とのことでしたよ!実現するといいな。
第一京浜渡った汐留側の地上には、今回の工事のために移転した神社が。境内からふり返ると、鳥居の向こうに、まるで参道のように環状2号線が。