やっぱりまず目につくのはパン
以前「
パンがでかい」という記事で紹介したのはすこしイレギュラーな巨大フランスパンだったのだが、実は沖縄では普通にスーパーやコンビニで売られているパンもでかい。
「パンバイキング」。他県だとケーキバイキングが多いのだけれど沖縄のスーパーではパン押しである。1個97円、3個278円はちょっと考えないと得かどうかわからない設定。
別のスーパーでもやはりパンコーナーが賑やか。沖縄にはもっと肉とかうまいものがたくさんありそうなものだが、なぜパンか。
今回の滞在中、でかいパンを見つけるたびに買っていたのだけれど、なにしろでかいのでそんなにたくさん種類食べられないのだ。悔しい。もう少し長く滞在できたら、とも思ったが、そうしたらまた目がでかいパンに慣れてしまう可能性がある。人の適応力おそるべしである。
ロールパンが8個くらい入っていそうなパッケージにでかいメロンパンが1つだけ入っている商品。その大胆な発想はなかった。
こちらもでかいメロンパン。同じサイズでチョコバージョンもある。
健康パン、という名のでかいパン。パッケージの女性の髪が3Dっぽい。
メーカーごとに棚が分れているのも面白い。でかいパンに関しては「ぐしけんパン」が作っていることが多かった。
沖縄に住んでいた頃は普通に買って食べていたでかいパンだが、今思うとこれらやっぱりでかすぎる。他県の感覚でお昼にパン二つと牛乳を買うと、一つしか食べられなくて余る。そうだ、ここは沖縄だ、と思う。
駐車場もみごたえある
せっかく沖縄に行ったのにパンの話ばかりでは申し訳ない。一つ建築ネタも。沖縄の駐車場にはワイルドなものが多いのだ。どうワイルドなのかというと、こうだ。
建物の一階部分をぶち抜いて制作。箱もワイルドなら入っている車もなかなかハードに凹んでいる。
荒野のガソリンスタンドか、と見紛うワイルドさ。地面に引かれた線と管理装置の角度がまったく合っていないのも自由。
沖縄の人たちは基本的に車で移動することが多いので、町には個人経営の駐車場がたくさんある。しかし新しく作るにはお金がかかるので、なんとかして小規模な改造で駐車場を作りたいのだ。そんなわけで、いろいろ工夫がみられる物件が多い。そのどれもに微妙に手作り感が残っているのがいい。今後気にしておきたい物件である。
さてパンに戻ろうか。
パン部門、最後は極めつけのやつを紹介したい。ぐしけんパンの本気をうかがい知ることができるパンである。
なかよしパンというソフトなネーミングにつられて手を出すと
最初にカエルが現れる。
ずるずる引いても端が見えてこないのだ。
これが全貌。しなっている。驚愕のでかさである。
一度なぜ沖縄で売られているパンがでかいのか考えたことがあるのだけれど、たぶんこっちの人はパンだけとくべつでかいとは思っていないんじゃないか。つまり他の食べものも野菜も街路樹も、ナマコもタニシも全部ひとしくでかいので、パンだけ通常サイズだと小さく見えちゃうんだと思う。その証拠に規格が決まっているチェーンのハンバーガーショップに行くと、なんだか物足りなく感じる。全体のレベルが高い、ということだと思う。
ジュースもでかいぞ
考えてもらいたい。人はでかいパンを食べるとき、何が必要だろうか。加えて沖縄は暑い、となるとおのずと次に来るでかいものは予想できるだろう。
そう、水分である。水分も沖縄の日差しを浴びてのびのびとでかいまま売られている。
アイスティーというのは沖縄の定食屋などで何杯でもおかわりして飲むことができる妙に甘い紅茶のことである。初めてこれに出会うとその色あいから、なぜ麦茶が甘いのだ、とショックを受けるのだが、慣れると食事が出てくるまでに1杯、食事中に1杯、食後に2杯くらい普通に飲む。
すでによく知られた話かもしれないが、沖縄の牛乳パックは1リットルではなく946mlと中途半端な量で売られている。これは米軍の統治時代にガロンで取引されていた名残なのだとか。若者(特に中高生)は大抵この1/4ガロンサイズのパックにストロー差して持ち歩いてはがぶがぶ飲んでいる。たいてい98円。
ジャンボミッキーはチューブ入りのジュースである。似たようなものが他県にもあると思う。凍らすと子どもが好きなあれだ。しかし信じられないのはこのサイズの袋に4本しか入っていないとこだ。
一本がこんなでかい。ラジエーター液かと思う。お土産に買って帰ったのだが、これを見た子どもも立ちつくしていた。
もちろん自動販売機でもでかいジュースが売られている。
基本500mlである。
ここで注目してもらいたいのはミルクティー含む紅茶類までもがすべて500mlであること。なかなかがぶ飲みするイメージのないものまででかいまま売られている。
でかかろうがすべて100円という潔さ。チェリオの自動販売機がやけに多いのも沖縄の特徴である。
大人気の琉神マブヤー(沖縄のローカルヒーロー)飲料は「乳性ウォーターたんかん味」という県外の人からするとわけのわからない味付けだった。たんかんとは沖縄の柑橘類である。うまいから買うべき。
でかい以外の沖縄ネタも一つ
沖縄のスーパーは夜遅くまで開いていることが多いのだけれど、なかでも独自路線により多くの県民の支持を集めているのが「ユニオン」である。24時間365日、いつでの開いているので期待を裏切ることがない。台風の中でも浸水しながら営業していたのを見たことがある。
深夜でも衰えない存在感。それがユニオン(午前2時撮影)。
夜中でも普通に活気がある。節電とか自粛とかどこ吹く風である。
店内はいつ行ってもお祭りっぽさをキープ。
充実の沖縄そばコーナーは夜中なのでちょっと売り切れ気味でした。
沖縄県内で引っ越す時には近所にユニオンがあるかどうかをまず調べるだろう。ユニオンがあればとりあえず生きるのに困らないのだ。僕は沖縄から引っ越してから懐かしくなって店内放送のCDを買った。
食べ物以外もやっぱりでかい
ここまでパンと飲み物を主に取り上げてきたが、食べ物以外もやはり全体的にでかいので見てもらいたい。
街路樹は、まああたりまえにでかいのだけれど。
その木から落ちる豆がまたでかいのだ。
これは以前も「
豆がでかい」として紹介したことがあるのだが、改めてみるとちょっと怖いくらいにでかい。
がんばって剥くと(かなり硬い)
こんな豆が入っている。
さやには豆がぎっしり入っている。どう見ても地球上の植物の実とは思えないのだが、沖縄では街路樹だ。
もう、怖い、私。
植物といえばその育ち方はやはり生命力満載だ。たとえばこちら、塀にポットをかけて育てていた植物が暴走した例である。
手が付けられなくなっている。
とにかく日差しが強いので、植物たちは隙あらば養分を蓄えて全力をもって前に出てくる。僕が以前住んでいたアパートも、ベランダからニョキニョキとワケのわからない多肉植物みたいなのが生えてきてサボテン公園みたいになってしまった。怖くて近づけなかったので冬が来るのを待ったが枯れずに育ち続けた。
おれがおれが、の勢いで前に出てくる。
ちょっと道をはずれるとジャングルがあるのも沖縄。
短期の滞在だとでかいものにばかり目がいって、看板でもなんでもでかいような気がしてくる。目がでかい確変モードに入るのだ。
こんなもんだろうか。いや、やっぱりでかいな。
沖縄名物横断幕は最近ちょっと数が減ったようだ
マダラトカゲモドキ。いる、こういうトカゲ沖縄に。
ちなみに隣はイボイモリだった。動物として珍しすぎてでかいのかどうか不明。
久しぶりに沖縄に行くとやっぱりでかいものばかりが目についた。小さな島である。なのに乗っかっているものがことごとくでかいのはなぜか。沖縄の人たちの過剰なまでのサービス精神のルーツを見たような気がしました。
ぜんざい(かき氷)もでかい。中には豆がどさどさ入っている。250円。
でかいことはいいことだ
久しぶりに訪れた沖縄は、やはりでかいものが多かった。そしてでかいものに囲まれているととても落ち着いた。パンがでかければそれを奪い合ってケンカすることもないのではないか。半分あげたらいいのだ。沖縄の人たちがみんなおおらかで殺伐としていないのは、物がでかいからなんじゃないかと本気で思ったのでした。