朝エッセイ 2026年3月26日

消える前に消えていた(2026.3.26 朝エッセイと更新情報)

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伊藤です。
私が使う駅は各停のみが停まる小さめの駅で、駅前の道も狭く街並みもこじんまりとしています。立ち並ぶ店やアパートは古びて昭和の味わいを漂わせていましたが、ところどころ開発が進み、古い建物が取り壊されて立派なマンションやコインパーキングになったりと、様相が変貌してきています。

この秋に、駅前通り沿いに建っていた薄っぺらくて横に長い雑居ビルが、上から下までシルバーの囲いで包まれました。

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2週間ほどして囲いが外されると、ビルは跡形もなく姿を消し、いびつな形の空き地が残りました。

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何年もずっと当たり前の風景として存在していたものが突然囲まれてパッとなくなる。プリンセステンコーのイリュージョンみたいだなあとか思っていたのですが、よくよく思い返すと、この1年ぐらい前に1階のラーメン屋さんが閉店していました。

あまり入ったことがなかったのですが、激細の敷地にカウンターと椅子が並び、食べている人の後ろをカニ歩きで通るのが大変だったのをおぼえています。
コロナ禍の時に箱でマスクを販売していたのが、おおやってるな、という感じで印象的でした。

その何ヶ月か後に隣の不動産屋のショーウィンドウにヒビが入っていると思ったら営業を終了しており、さらには急角度のうす暗い階段を登った先にある2階の床屋さんも、いつの間にか人の気配がなくなっていたのでした。

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ビルは突然消えたけれど、消える前に消えていたものが確かにありました。

消えてしまってはじめて、そこにあった時間の流れに気づきました。さびしさや無力感とはまた違った、何ともいえない感じが心に残りました。

記事の紹介でございます。

記事の紹介でございます。

短髪で生きてきた與座さんの長髪体験。ただウィッグをかぶっただけなのにがらりと変わる日常の一挙手一投足を面白がる様子が最高です。そして長髪になったことの違和感の先に繰り出される長髪ほめがまたすばらしい。

ススキナオさんは奄美群島の秘境、加計呂麻島で幻のような角打ちに出会い、とりこになりました。ガジュマルやデイゴ、そして奄美らしいスコールを呼ぶ分厚い雲の下、時々開く小さな店に集まり、ゆるっと酒を楽しむ。読めばほろ酔い必至の名文です。

記事を読んだら花見の準備ですね!

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