朝エッセイ 2025年9月12日

方丈記はこういう人が書くのか(2025.9.12 朝エッセイ/伊藤健史)

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伊藤です。
今年の3月、春のハブを探しに奄美大島を訪れました。この季節の奄美大島にはサシバという小さなタカが渡ってきていて、「ピックイー」とキャッチーな声で鳴きながら飛び回っています。この鳥の魅力にハマり、ハブの出ない昼間はサシバを探して島を巡っていました。

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ピックイー

とある漁港近くでサシバが旋回しているのが見えて近づいてみると、桟橋の傍にそびえる低山のふもとにこじんまりとした門があり、「ごじゆうにどうぞ」と書かれていました。


どう見ても普通の民家のようで、ちょっと躊躇しましたが、まあどうぞ言うとるしなと門をくぐると、さまざまな草花が植えられた庭が広がり、デニムシャツにジーンズ姿のご老人が立っていました。
背が高く、均整の取れた体に白髪をきっちりと整えた若々しい姿で、突然もそっと入って来た私を見て驚く様子もなく、「私はここで蝶が集まるように食草を育てているんですよ」と言うと、「コーヒーでも飲んでいきますか」と私を邸内に招き入れてくれました。

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ピックイー

素朴だが上品でセンスの良いインテリアでコーヒーをいただきながら、カフェでもやられているのですか?と聞くと「いや、なんもしてない」とのこと。
御年81歳、九州で飲食店を数店経営していたが、「あくせくと働いて金を稼ぐのがばからしくなった」と事業を整理すると、10年以上交渉を続けてこの土地を譲り受け、庭を整地し、廃墟のような家をDIYでリフォームしたそうです。

今では日がな庭に集まるチョウを眺めながら暮らしているとのことでした。愛用していたミノルタで撮った愛犬や奥様の写真も見せてくれましたがおそろしく素晴らしいクオリティでした。なんというかすごい教養と野性味を兼ね備えたご老人で、こういう人が令和の方丈記を書き上げるに違いないと思いました。

思わず長居してしまい、飛行機に遅れるとおいとました私の背後ではさっきのサシバがピックイーと鳴いていました。

本日の記事です。ピックイー

愛が爆発!とはよく使うクリシェですが、今回の地主さんは横浜の定番みやげ「ハーバー」愛が暴走しています。ついに乗船料78万円の豪華客船のウェルカムスイーツに採用されている「贅沢ハーバー」を324円で買い、客船に乗ったのと同じだと言い始めて....帰ってこないよ!すばらしい暴走だ!


「ジェッソ」、知らなかった。なんという魅惑の語感でしょう。ジェットと言いたくなる気持ちをおさえながら「ジェッソ」と声に出すとたまらないですね。
そんな絵描き御用達の下地材をとりもちさんが紹介してくれます。語源や素材を深堀りして、さらには1枚イラストまで描いてしまう、サービス精神に頭が下がって地面にめり込みます。

えっと、私週末また奄美に行くんですよね。ピックイー!

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