特集 2024年2月9日

東京都最西端のバス停から東京23区最東端のバス停まで バスだけを乗り継いで行くとどれぐらいかかるのか?

空白の3キロ

今回、東京の最西端と最東端のバス停をすべてバスで乗り継ぐと偉そうに言っているわけだけれど、実はここから先にバス路線が途切れる場所がある。

『東京都内乗合バス・ルートあんない』の路線図を辿って、バス路線図を確認してみると、奥多摩町の川井駅から、御嶽駅までの3キロほど、バス路線が繋がっていない。

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川井駅と御嶽駅をつなぐバス路線はない。『東京都内乗合バスルートあんない』JTBパブリッシングより

この空白の3キロをどうするか。

バスだけを乗り継ぐ……ということであれば、いさぎよく川井駅から御嶽駅まで歩くということになるだろう。これはもう、仕方がない。

そんなことをごちゃごちゃ思案するうちに、12時35分、バスは川井駅前に到着。

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川井駅に到着

同行してくれていた妻には、電車で一足早く御嶽駅に向かってもらい、ぼくは歩いて御嶽駅に向かう。

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川井駅からは御嶽駅までは多摩川を2回渡るよう指示される

電車で行けば4分でつく距離だが、歩くと34分かかるという。現在時刻は12時35分。御嶽駅前から次に乗るバスの時刻は13時25分。よほどゆっくり歩かなければなんとか間に合うだろう。

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奥多摩大橋
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意外と交通量が多い山道をひたすら歩く
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神路橋
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神路橋からの多摩川のながめ

多摩川というと、川幅の広い、二子玉川あたりの風景を思い出しがちだが、もちろんこういった渓流のような多摩川も上流には存在している。

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都バス最長路線に乗る

川から道路に行くための急坂をヒイヒイ言いながら上り、御嶽駅前に13時8分に到着。

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御嶽駅前のバス停

電車で先に到着していた妻と合流し、13時25分発のバスを待つ……のだが、バス停の向かいにある「のしこん」の店が気になって仕方がない。

「のしこん」とはなにか、こんにゃくとはなにがどう違うのか。今行ってのしこんを買うべきかどうか……悩むうちに時刻がジリジリ迫る……。

バスの時間まで残り5分を切ったとき、意を決して行くことにする。とりあえず「のしこん」を買って帰ろうと、店に向かい、店内をぐるりと見回す。

目についた、のしこん、豆腐こんにゃく、こんにゃくのジャーキーのようなものを慌てて見繕い、店のおばちゃんに「これください!」と会計に出すと、店のおばちゃんは、親切にもこんにゃくの試食をしていけという……。

あ、時間ないので……と断るわけにもいかず、あわあわしながら試食のこんにゃくを口に入れる。

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ふわふわでうまいこんにゃくです

だし醤油のかかったのしこんは、ふわふわでうまい。おばちゃんに美味しいですねーなどと感想を言っているうちに、バス停で待っている妻からバスが到着したと電話がかかってきた。

うろたえながら会計を済ませて店を飛び出しバスに乗り込む……なんとか間に合った。セーフだ。

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都営バス梅01、なんとか間に合った……。もちろん、あわてて乗ったのでバスの写真はない

こんにゃくのせいで、このバスに乗り遅れたら、次のバスは1時間後である。これからのバスの予定が全部狂うことになってしまう。
田舎のバスが1日数本みたいなところに住んでいたので、この手の乗り遅れに対する警戒心が異常にある。

御嶽駅13時25分発の都営バス梅01で青梅駅前に13時50分に到着。

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青梅駅、30年ぐらい東京にいるけれど、はじめて来たな

青梅駅からは、都営バス最長路線である梅70に乗り、花小金井駅北口まで向かう。

バスが出発する14時54分まで、1時間ほど時間があったので、青梅駅前をすこし歩いてみる。レトロな町並みやレトロな映画看板があるという話を聞いていたけれど、じっくり回っている時間はない。

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駅前にあったレトロな町並みのイメージ壁画

とりあえず、昭和レトロ商品博物館に行って、昭和のレトロ商品を鑑賞。

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館内は私用以外の撮影は禁止だったので写真無しです

昭和レトロな商品の懐かしさもよかったが、興味深かったのは、小泉八雲の『雪女』が、青梅が舞台だったという展示だ。たしかに、青空文庫で見てみると、冒頭ではっきり「武蔵国のある村に」と書いてある。

青梅の人たちがそれに気づいて色々と調査を行い、今はでは「雪おんな縁の碑」まで建立されたらしい。(時間がないので見に行けなかったが)

さて、博物館を見物しているうちに、バスの発車時刻が迫ってきた、急いで駅に戻る。次のバスは1時間半以上途中下車できないので、事前にトイレに行っておく。

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都バス最長路線、梅70

梅70は以前、当サイトでウェブマスターの林さんが、乗車して記事にしている。

今回は途中下車するわけにいかないので、ただひたすら、流れ行く車窓の風景を眺めるしかない。

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「人生はマラソン」と宣言する信用金庫

信用金庫の「人生はマラソン」という横断幕をぼんやりと眺める。たしかに、青梅マラソンが近い(2024年2月18日)ためか、町の至る所で、ランナーがジョギングを行っていた。

青梅駅出発したバスは、そこそこの乗客が乗っており、さすがにぼくらのように乗り通す人はいなかったものの、終点までガラガラになったりすることはなかった。

梅70は、かつては花小金井駅よりも東にある西武柳沢駅まで走っていたものの、2015年に花小金井駅北口までに短縮されて、総延長28.2キロとなっているが、それでも都バス路線の中ではいちばん長い。ただし、昭和の終わり頃までは荻窪駅まで走っていたという。

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青梅街道をひた走る梅70
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西武の電車の踏切を何回も超える。ここは完全に西武の領土だ

青梅街道を1時間ほどゴリゴリ進むと、花小金井駅北口に到着。時刻は16時36分。

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花小金井駅に到着しました

小金井と付く駅名には、小金井駅の他に、武蔵小金井駅、新小金井駅、東小金井駅などがある。駅につきがちな冠称として旧国名、方角、新旧などはわかるが、花が付くのはいったい全体どういう了見でつけたのか気になる所である。(※近くに桜の名所があったため花がついたらしい、いわゆる和歌や俳句でいうところの桜=花というやつだろう)

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ついに23区内に入る

そんなことを考えているうちに次のバスがやってきた。西武バス吉64だ。

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西武バス吉64。LEDの行き先表示がきちんと撮れた! 都バスと点滅のスピードが違うのだろうか

この吉64も結構長いバス路線だ。といっても40分ほどだが。

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かっこいいガスタンク

吉64は、花小金井駅を出ると、先程の梅70と入れ違うように、青梅街道にでて、東に向かって走る。保谷のガスタンクが見える辺りまでは快調に走るものの、吉祥寺に近づくにつれ、だんだんと交通量が多くなり、バスの速度もゆっくりになってくる。

次のサンロード入口での乗り継ぎ時間は、11分しかなく、バスはすでに5分ほど遅れている。次に乗る関東バスのバス停がどこにあるのかよくわからないので、そこまで数分で行けるのだろうか。

と、勝手に焦るわたくし。

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一生懸命バス停を検索する

スマホで事前にバス停の位置を検索し、頭に叩き込む。といっても、グーグルマップのバス停の位置はいい加減なところもあるので、過信は禁物だけれど。

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サンロード入口に到着。日はすでに暮れ、辺りは薄暗い

17時25分、サンロード入口にバスが到着。続いて乗るのは17時30分発の関東バス、中36中野駅行き。だが、バス停がわからない。

さっき見たスマホの地図を思い出し、当てずっぽうで進むと……。

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はい来た正解!
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ほぼ待たずに次の関東バス中36中野駅行きがやってきた
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西荻の住宅街の中を東に進む

杉並の片側一車線の道を、ひたすら中野方面に進む。すでに、杉並区に入り東京23区エリアまでやってきた。

30分ほど走って、東高円寺駅前に到着。時刻は18時9分。次に乗車予定の都営バス王78は、東高円寺駅18時15分発。都バスのバス停まで急いで移動。

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はい、間に合った!
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都営バス王78、23区を走る都バスでは最長路線

しばらく待つと、都営バス王78がやってきた。王78は、新宿から王子までを環七を経由して走る路線で、23区を走る都バス路線では最長を誇る。しかしながら、今回は東高円寺から新宿駅西口までのちょっとしか乗らない。

バスは新宿の高層ビル街を抜けて新宿駅の西口ターミナルに到着。時刻は18時32分。

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ついに新宿駅までやってきたぞ!

続いて乗るのは、予定では18時55分発の都バス白61練馬車庫行きだが、一本前の18時42分発の練馬駅行きバスに乗れそうなので、そっちに乗ることにする。

ここまで来ると、せわしない。せわしないが、東西をうまく突き抜けるバス路線がないので、都内はどうしても短い区間で何度も乗り換えすることになる。

そもそも、路線バスはこういった珍妙な乗り方を想定して設定されていないので、路線が途中で途切れたり、大回りしたりとなかなかすんなりと移動させてくれない。

東京の都心を東西に貫く路線として、20年ほど前までは、新宿駅西口から晴海埠頭まで一本で行ける都03という便利な系統があった。しかし、これは大江戸線ができた年に新宿から四谷までが廃止されてしまった。

余談が長くなってしまった。

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1本早いバス、都営バス白61練馬駅行きに乗る

さて、ここで一本早いバスに乗ったとしても、最後のバスの時間にうまく接続しないので、到着時刻は変えがたいのだが、新宿駅あたりが混雑するので、早めのバスに乗って次の乗り換えに余裕を持たせて心にも余裕を持たせたい。

⏩ 細かく乗り継いで錦糸町に向かう

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