成熟した平成建築のオンパレード。さいたま新都心を歩こう
ということで、やっと街歩きだ。
ここからは画像中心で行きます。
さいたま新都心が街並みとして貴重なのは、多くの建物がちゃんと2000年の街びらきに合わせて竣工したこと。
バブルを経験した都市計画としては結構すごいことなのだ。
80~90年代に流行った過剰でダイナミックな建築の残り香がありつつも、洗練された統一感がありかっこいい。
メッセ機能とコロシアム機能をハイブリッドしたため、15000トンもの客席・構造物を動かして内部空間をトランスフォームできるらしい。すごい。
この広場が、彩の国 YOU And I プランに描かれた「新時代の様々な価値を育む『埼玉の辻』」なのだ。
パブリックアートも良い意味で街に馴染んでいる。
計画が壮大すぎて歯抜けになってしまった東京テレポート(臨海副都心) なんかに比べると、ちゃんとコンセプト通りに作り込んでいる感じがする。こなれていて、完成度が高いのだ。
さいたま YOU And I プランはこうして街づくりとして結実したのだ!…といいたいところだが、そうとも言えない後の事情がある。
1993年の「彩の国 YOU And I プラン」を最後に、言葉としては姿を消してしまう。
なぜか。
このさいたま新都心が原因なのだ。
もともとこの地区は大宮操車場といいながらも、YOU And IのうちY:与野市、O:大宮市、U:浦和市の土地が入り組んでいた。
国の行政機関が移転してくるにあたって、3市が合併・政令指定都市を目指した方がよいという流れになるのは自然だ。
そこで、A:上尾市、I:伊奈町も含めたYOU And Iで合併するか、YOUだけで合併をするかで意見が割れることになる。対等と言いつつも、新都心の影響でYOU中心の議論に変わっていく。
そこに大宮市と浦和市の主導権争いなど政治的ないざこざも絡み合い、また国の行政機関の移転スケジュールが迫っていることもあり、結局はYOU3市が先行合併し、その後2年以内に上尾市、伊奈町との合併を目指す、という話にまとまる。
が、上尾市は対等合併ではなく吸収合併となることに反発、住民投票の末、合併しないことを決める。となると、伊奈町も飛び地となるため合併できず。
こうしてYOU And I はアナタだけになってしまったのである。