特集 2020年5月12日

翌日の格好で寝る

おやすみなさい、のシーン。

少しでも長く寝たいものである。人類共通の願いだろう。

中でもその思いが振り切れた人たちは、翌日の格好で寝て、着替えの時間までも睡眠に当てると聞いたことがある。起きてすぐ行動できるので便利なのだそうだ。

この『翌日の格好で寝る』メソッド、どんな服で何をやるのが向いているのか。3種類やってみました。

1987年東京出身。会社員。ハンバーグやカレーやチキンライスなどが好物なので、舌が子供すぎやしないかと心配になるときがある。だがコーヒーはブラックでも飲める。動画インタビュー

前の記事:朝起きてすぐ一句詠む


ジャージで寝て、起きてすぐ走る

まずは一番安全そうなこちらである。

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いつもはよれよれになってきたTシャツで寝ているのだけど、
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走る格好をしてそのまま寝る。

この日はお酒を飲みたくなって缶チューハイを一缶飲んでいた。さあ寝るか、となってからヒゲを剃りジャージに着替えて、靴下と靴もすぐに履ける場所に置いた。

ジャージはこの日のために買っていて、さあ寝るか、のタイミングで初めて袖を通した。着古した服で寝ることが習慣になっていたので、この新品の着心地で布団に入ることがものすごく贅沢に感じた。摘みたてのイチゴでジャムを作る感覚である。

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では寝よう。
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寝ました。おはようございます。

しっかり5時間ほど寝た。寝心地は悪くなかった。さすがジャージである。

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起きてすぐ家の周りを走る。

寝巻きで外に飛び出したようだけど、そんなことはない。堂々と走っていいのだ。ただ寝癖だけはどうしようもなくて、格好はちゃんとしているけど頭はボサボサの人としてジョギングをした。

ジャージはもうびっくりするほど走りやすかった。これは間違いなく走るための服だ。睡眠に付き合わせてしまって申し訳なかった。そんなことを考えながら走っているうちに完全に目が覚めた。

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花の写真を撮るなどした。

やってみて気がついたが、これは朝の運動を習慣にしたい人にとてもいい。寝巻きで起きると「今日はサボっちゃおうかなー」となるところを、ジャージで起きると「まあここまでしたし…」と渋々やることになる。着替えがないことが精神的にすごく大きく感じた。

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そして即、外に出て走り、花の写真を撮る。

ジャージで寝て朝走る。『翌日の格好で寝る』の、これ以上ない最高の活用シーンだと思う。気持ちよかった。

エプロンで寝て、起きてすぐ料理

ジョギングで正解が出た気もするが、格好を変えて2日目である。

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エプロンと三角巾をして寝る。

変な写真である。合成したみたいだ。

このまま電気を消して横になった。エプロンはまだいいとして頭に布を巻いて寝る違和感はずっとあった。でも帽子のついたパジャマってあるし、慣れの問題かもしれない。

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おはようございます。

朝の写真の方はなぜか合成っぽくない。一晩で存在が馴染んだのだ。

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そしてフライパンで作れるプリンを作った。
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きれいにできた。

ジョギングと同じく起きてすぐ取りかかれたが、これはエプロンで寝るほどのことでもなかった。エプロンってすぐつけられるし、なんならつけないで作ってもいい。

ただ「料理をするぞ」という決意はやはり固めやすいので、気持ちが入りにくいシチュエーションの時にはやってみてもいいと思う。服って、すごく気持ちに影響を与えるのだ。

プリンはおいしかった。

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スーツで寝て、起きてすぐ仕事

3日目。最後だ。最後はスーツで寝よう。

夜、一日を終え、歯を磨いて戸締りの確認をして、スーツを着る。わけがわからなかった。

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俺は今、変なことをしているな、と強く感じた。
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起きてすぐ名刺交換でもしようと思い、内ポケットに名刺入れを入れる。
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寝よう。

やっぱりなんだかすごく変だ。変だよこれは。

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なんなんだ、これは。

こういうパネルを立てかけたみたいに見える。現実味がないのだ。でもこの瞬間、僕の肉体は確かにベッドにあったし、確かにこの格好のまま寝た。この写真の中の、人みたいなものはパネルではない。

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横になるが、寝れる気がしない。

上着が暑い。あとネクタイが苦しい。シワになるのが気になってゴロゴロ動くこともできない。シワになってもいいや、という古いスーツを出したのだけど、それでもシワをつけまいとする自分がいる。

本当にいいんだよ、もうグシャグシャになっちゃってもいいと思って着たんだよ、と自分に言い聞かせるが、どうしても一線を越えることができない。「スーツにシワをつけてはいけない」という倫理が、こんなにも自分の深い部分を支配しているとは思わなかった。もう呪いである。祈祷師に解いてもらうやつだ。

そんなことを考えながらずっと気をつけの姿勢のままでいる。寝れそうにない。このスーツという服は人を寝させないために考えられたんじゃないか。そういえば特別仕事しやすくもないし。

ちょっとずつネクタイを緩めたりしていたが、結局上着を脱いだら上半身を動かせるようになり寝ることができた。

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おはようございます。老けたな。

寝た気がしない。駅や電車で酔っ払って寝ちゃってる人がいるが、そんな気持ちだった。

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そうだ、すぐ名刺交換できるという、そういう話だった。
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すぐパソコンを開いて仕事ができる。

できる。物理的にはできるのだが、寝起きが悪すぎてとても仕事をする気持ちにはなれない。1秒でも早く楽な服を着て、もう一度布団の感触を確かめておきたいと思った。思ったし、実際にそうした。

寝れた方がいい

翌日の格好で寝るとすぐに最初の動作に取りかかれる。着替えなくていい分、ちょっと億劫なことも、やってみようという気持ちになるだろう。しかし、それはちゃんと寝れることが大前提だ。

そもそも少しでも長く寝たいと言って始めたことなのだ。ギリギリまで寝れたとしても寝入るまでに時間がかかっちゃったら、睡眠時間は長くならないのだ。本末転倒というやつだ。だからスーツでは寝ない方がいい。

わざわざ言うのほどのことでもないのだけど、それでも今までに何回か酔っ払ってスーツのまま寝てしまったことはあって、あれはよほど酔っていたのだな、と思った。だってあんなに寝苦しいんだもの。


うなされはしなかった

スーツは寝苦しかったが、その日見た夢は、マンガ『ONE PIECE』のキャラクターとしゃべる、というほのぼのしたものだった。怖い夢とかじゃなくてよかった。

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数時間後、ONE PIECEのキャラクターとしゃべる人。
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