特集 2019年12月24日

山手線の全29駅で「ひらけている出口とそうじゃない出口」を比較した

日暮里駅も出口でこの違い

たとえば同じ駅でも、「東口はひらけているのに、西口があんまりひらけていない」ことがある。

ときにその差は「同じ駅でもなぜこんなに?」と思ってしまうほどで、その意外性になぜか惹かれてしまう。

そこでJR山手線全駅で調べると、どれほどの「ひらけている出口と、そうじゃない出口」の差を見られるのか。やってみた。

ライター、番組リサーチャー。過去に秘密のケンミンSHOWを7年担当し、ローカルネタにそこそこくわしい。「幻の○○」など、夢の跡を調べて歩くことがライフワークのひとつ。ほか卓球、カップラーメン、競馬が好き。(動画インタビュー

前の記事:情報量の多い風景【東京VS大阪】

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渋谷駅新南口を見てくれ

この旅のルールは、「出口から見たときの街の印象」で、“ひらけている方とそうじゃない方”を比べていくもの。なおその基準は完全に筆者の主観である。

なお1日で29駅を急いで回って、見つけられた範囲の出口の話になるのであしからず。

まず筆者も住んでいる渋谷から見ていこう。ここでいちばん華やかな駅の出口は間違いなくハチ公口だ。

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キング・オブ・ひらけている出口こと渋谷ハチ公口

どうだ。派手な建物と人間のスーパーコンボである。もはや日本一の迫力の景観が味わえる出口が、この渋谷駅ハチ公口なのかもしれない。

そこからやや恵比寿寄りに歩いたところにある、渋谷駅新南口はこれだ。

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「埼玉のどっかの駅」といわれても信じる

早稲田アカデミーとネットカフェとローソンと宝くじ売り場とドトールとベローチェがある、きわめて生活感のある並びだ。

これはもう埼玉のどこかのベッドタウンといわれても信じる。

ちなみに筆者が住む家の最寄りもこの渋谷駅新南口。渋谷が持つ喧噪のイメージからは一線を画すような閑静な住宅街もあり、もはやぜんぜんちがう街だ。

で、こちらを並べて見るとこうなる。

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同じ渋谷

同じJR渋谷駅の出口でもこんなにちがう。こんな感じで山手線の出口のひらけ具合のちがいを片っ端から見ていくぞ。

俺も知らない「池袋駅メトロポリタン口」

池袋駅で一番ひらけている出口と言えば、東口であろう。サンシャイン60の建つほうで、ビックカメラ池袋本店や、ヤマダ電機 LABI1日本総本店やジュンク堂書店池袋本店があるのもこちら側だ。

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池袋駅東口

ちなみに、かつてIWGP(池袋ウエストゲートパーク)にも描かれた池袋駅西口はこれ。東口よりは少し地味ながらも大きな繁華街が広がっている。

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池袋駅西口

しかしメトロポリタン口はちがう。というかその存在すら知らない人が圧倒的に多いだろう。僕も知らなかったが、これだ。

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池袋駅メトロポリタン口、ほぼ何もない

ルミネ・東武百貨店を抱えるメトロポリタンプラザの裏側に出る出口である。

たくさんの通行人が行き交う東口・西口と比べると人もまばらで、同じ池袋駅の出口でここまで差が出るのだ。

こちらも並べて見てみよう。

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東進ハイスクールの看板ぐらいしかないメトロポリタン口

 

無名の出口たちが眠る上野駅

また、上野駅もなかなかの出口によっての差がある。まずここでひらけている出口の筆頭格と言えば上野広小路口であろう。

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上野広小路口
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そびえ立つ上野マルイの下ではたくさんの人が信号待ちをする

これとは対照的に、ひっそりとしているのが正面玄関口である。

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これが上野駅正面玄関口

名前からすると文字通り上野駅の玄関口のような出口を想像するが、人影はまばらである。

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人の姿はほぼない

上野駅の喧噪とは一線を画す穴場の出口。ここには1932年に完成した三代目駅舎のことを記す碑が静かにたたずんでいた。

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建設当時は正面口が二階構造。上層は乗車口で自動車から降りて直接駅へ入れた
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並べると正面玄関口の静けさが引き立つ

ちなみに上野駅広小路口と正面玄関口は距離的にほとんど離れていない。それでも出口によってここまでの差が出るのはなかなか妙である。

ちなみに上野駅にはほかにもマニアック出口がいくつかある。通路を延々と歩いて行く入谷口がこちらだ。

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上野駅入谷口は鉄道員養成の名門校としても知られる、岩倉高校のそば

さらに上野駅の中心部から離れていないにもかかわらず、地味なのが山下口だ。そこは駅構内の料理店が立ち並ぶ間にある。

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上野駅山下口。真っ先に目に飛び込むのは迂回経路の看板
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小さな山下口は迂回経路の看板に隠される格好に

 

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東京駅のマニアック出口・日本橋口

ここで東京駅を見ていこう。言わずと知れた日本を代表するターミナル駅である。どこの出口も華やかだが、特に迫力ある光景が広がるのは丸の内北口だろうか。

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これぞ大都会の風景、丸の内北口
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ちなみに八重洲北口はこんな感じ。看板が目立つ

これとは打って変わって質素なのが日本橋口である。これだ。

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東京駅日本橋口は人かげもまばら

なんだか佇まいはちょっとしたオートロックマンションぐらいの感じである。ちなみに日本橋口から見た景色は下の通りで、屋根と柱が視界の大部分を占める。

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日本橋口からの風景。屋根と柱とビルの窓の三重奏
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東京駅も出口ごとにけっこうちがう

 

高田馬場駅では戸山口を味わおう

高田馬場駅も味わい深い。まず我々になじみ深い出口が早稲田口である。早稲田大学の学生など、多くの乗降客が使う出口だ。

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西武鉄道と共通で使われている早稲田口

ここから見える光景もやはりひらけて見える。「学生ローン」の看板とあざやかな青空が共演する風景がこの駅の象徴だ。

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早稲田口から見た風景

しかし高田馬場にはもう一つ戸山口というあまり知られていない出口がある。

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このこぢんまり感

ガード下に小さくたたずむ奥ゆかしさを見せる戸山口。ちなみにそこから見えるのはこの景色だ。

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庶民的すぎる

ファミリーマートと歯医者さん、そしてたばこ屋さんが並び、庶民的にもほどがある光景だ。ここには確かに生活があると確認できるのが戸山口である。

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学生街の「冷静と情熱のあいだ」

 

浜松町駅、金杉橋口のひそやかさよ

続いては浜松町駅へ。ここで華やかな出口は北口だろう。地上158mの世界貿易センタービルなど高い建物がそびえ立つ中、道の向こう側に東京タワーがきらめく。

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すごいぜ浜松町駅北口

逆に渋すぎるのが金杉橋口だ。路地の先にひっそりある。

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浜松町駅金杉橋口

その路地を抜けても、見えるのは5階建てほどの雑居ビルが立ち並ぶ庶民的な街並み。東京タワーを間近に臨む駅は、こういう出口も兼ね備えているのだ。

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雑居ビル&雑居ビル
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東京タワーから金杉橋口まであるのが浜松町駅

 

日暮里駅の東西差を見よ

続いては日暮里駅である。鉄道3社が入っている大きめの駅だ。東口はごらんの通りの発展ぶりである。

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日暮里駅東口の立派な姿を見よ

しかし西口はこれである。

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にじみ出る生活感

傍らには石焼き芋イモの販売カーが薪をくべている。向こうから苦学生が歩いてきそうな街の雰囲気だ。

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何せ出口がこのサイズだ

東口と西口で40年ぐらい時代設定が違うような感じ。これを2019年のいま、両方見られるのが日暮里駅なのだ。

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よくもまあここまでちがいが出た

 

田端駅、南口前に見えるのは

続いては田端である。山手線の駅の中では地味な扱いがされる駅だが、まずは北口から紹介しよう、こちらだ。

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田端駅北口

そして南口がこちら。駅を出て見えるのは葬儀屋さんだけである。

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あるのはセレモニーホールだけ

しかも「斎場反対」の垂れ幕がいまだ並んでいる状態だ。ここに首を突っ込むと面倒なことになりそうだし、時間もないので次を急ごう。

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「斎場反対」の垂れ幕も並ぶ
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田端駅が山手線の中でも地味なのがわかる2枚の写真

 

有楽町駅、銀座口の吉野家がいい

この調子で残りもどんどん見よう。続いては有楽町駅。特にひらけている出口のひとつが日比谷口だ。年季の入った大きなビルが立ち並ぶ。

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日比谷口には敷地面積の広い「ビックカメラ有楽町店」が

これに対して、名前に反してやたらと庶民的な風景を拝めるのが銀座口である。吉野家にルノアールにセブン―イレブンのトリプルコンボだ。

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吉野家の看板が庶民的な雰囲気を思い切り醸し出す

銀座に近い立地だが、庶民的な飲み屋も数多くある有楽町。ある意味それを象徴する出口であると味わいを感じる。

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ビジネスマンは日比谷口側から銀座口側へ

 

秋葉原、通は昭和通りへ

さらに秋葉原へ。この街といえば電気街で、それに面している電気街口(西口)がもっともひらけている。

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秋葉原駅電気街口は、ギンギラギンの日本の元気印

逆に地味なのが昭和通り口(東口)だ。この雰囲気の違いを見てもらおう。

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秋葉原駅昭和通り口はぜんぜん雰囲気がちがう
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上で総武線と首都高1号線が交差する

目の前の昭和通りは関東大震災の復興事業として、帝都を南北に走る大通りとして建設された。

以前はこの通りに都電も走っていた。いまも昔からある和菓子店などがいまも建ち並ぶ、電気街口とは一線を画すような古式ゆかしい面影のある街並みだ。

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性格のちがう2つの街が相対する

 

牛丼太郎があった代々木駅東口

さらに代々木駅へ。富士そばの親会社の本社があることでもひそかに知られるここも、東西出口の差が味わい深い。まず一番ひらけている西口がこちらだ。

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代々木駅西口。代々木ゼミナールのビルなど、高いビルが立ち並ぶ

その逆側である、東口がこちら。低めの雑居ビルにファミマやアパマンショップなど、庶民的な店が建ち並ぶ。

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これでもかと庶民的な街並み

ちなみに一時期牛丼を200円で提供していた激安牛丼チェーン「牛丼太郎」もこの代々木駅東口にあった。筆者もよく通ってキムチ納豆丼をかっ食らっていたのがなつかしい。

牛丼太郎代々木店はその後経営会社の都合で「丼太郎」となっても営業を続けた貴重な店舗で、2015年3月31日を持って閉店した。それがあるのも頷けるような生活感のある出口である。

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西口に疲れたら東口へ

 

恵比寿は光と影の街

筆者のもう一つの最寄り駅でもある恵比寿駅。ここも東口と西口のコントラストがある。西口は恵比寿駅前商店街やピーコックストア、アトレなどの商業施設が集中している華やかな出口だ。

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キラキラ感のある西口

ひるがえって東口はこれである。

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明らかに光が少ない

もう光量からしてちがう。人かげもまばらで、サイゼリヤが目立つぐらいだ。オシャレタウンのイメージがある恵比寿だが、こんなにちがうのである。

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光と影の恵比寿

と、ここまで特に差が出た12駅を見てきた。

山手線の駅といえばてっきりほとんど駅の出口が繁華街だったり、高いビルが立ち並ぶのかと思ってしまうが、そういうわけでもなく生活感が漂い、ときに地味な光景が広がる出口もたくさんあるのだ。

そんな訳知り顔で言う筆者も、ここまで違うことをぜんぜん知らなかった。

実は改札口が一カ所な駅も多い

天下の山手線。てっきり出口が2カ所以上の駅ばかりなのかと思ったら、実は意外と1カ所しかない駅も多かった。

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新大久保駅より

今回は新大久保駅や巣鴨駅、目白駅、西日暮里駅の4駅はJR線の出口が1つだけであった。というわけでこのへんは今回除外させていただいた。 

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あまり差が出なかった13駅

残りの13駅は筆者が見た範囲で、ひらけている出口とそうじゃない出口の差があまり出なかった駅だ。

そのへんの駅をストローク長く見せてもしょうがないので、一枚絵で一気にガンガン見せてしまおう。

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新宿駅はどの出口も割と発展していた
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原宿駅。やはり竹下口のほうが栄えているが表参道口も人が多く、工事中のアットコスメ東京ができたら華やかになりそう
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新橋駅。SL広場のある日比谷口がいちばんにぎわう。銀座口は駅前になぜかドラッグストアが目立つ
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大塚駅もそこまで差は出ない
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駒込駅は南口のほうがにぎやかに見える
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鶯谷駅は庶民の街らしい結果に。北口には大衆食堂、南口には小さめのタクシー乗り場と専門学校が
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神田駅はガード下の出口が多い。周りにはサラリーマンに愛されそうなお店がたくさん
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大崎駅。西口目の前にあるニュー大崎ビルがいい味を出している
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御徒町駅。北口はアメ横、南口はパルコの目の前だ
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五反田駅。強いて言えば東急ストアなどがある東口がひらけているか
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品川駅はどちらかというと高輪口が地味か。しかしターミナル駅の割には全体的に商業施設が手薄である
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目黒駅は東西口ともに普段づかいしやすいお店が建ち並ぶ
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田町駅はどちらの出口もあまり変わらない印象

本当は「なぜ出口によってひらけているほうとそうではないほうがあるのか」を街ごとに調べるのが筋であろう。

しかし各所の〆切に追われるこの年末の折では、そこまで調べられなかった。言い訳でこの記事を終わらせて恐縮だが、次回(があれば)の宿題とさせていただきたい。

その罪滅ぼしに、特に差が大きかった12駅のGIFアニメを作ったので最後に見てもらおう。

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出口でぜんぜんちがう表情をする駅前の街

高輪ゲートウェイ駅の出口も比べたい

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小さめの一軒家みたいでかわいい、田端駅南口の駅舎

東京の近くの松戸市に生まれ育ち、東京に1人暮らしして久しい筆者でも、思った以上に意外な駅の出口たちを見つけることができた。

ときにはその街の持っているイメージを覆す出口もあった。街のマニアックな出口を見つけていくことは、その街の持つ奥行きを味わうきっかけになるのかもしれない。

ともあれ山手線の30駅目、高輪ゲートウェイ駅の見る楽しみがこれでひとつ増えた。

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