特集 2024年11月2日

佐渡島にあるお大尽な大臣の別荘、山本邸から見る景色に驚いた

現代の風流人の遊び場にしたい

昼間の山本邸は何度も訪れているので、あの藤の間で日の出を待つライジングサン、そして夜空に浮かぶ(ほぼ)満月を眺めるお月見といったイベントに参加しつつ、改めて田中さんから話を伺った。

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素敵なパンフレットも完成し、無事に夏の一般公開を終えて、一息ついたところで再度インタビュー。

「今年の夏に一般公開してみたけど、たらい舟目当てで矢島・経島に来た人がみんなお金を払って山本邸に入るかといえば、そんなことは全然なかった。

観光客は山本悌二朗を知らないし、興味がないんだろうね。 外から見えるからそれで十分なのかな。 もちろん喜んでくれる人もたくさんいたけど」

ーー予備知識とか思い入れがないと、入場料を払ってまでは観ないのかも。

「まあ、それはそれ。ここには100年前から変わらない日本の景色がある。タイムスリップした感じを味わえる。こっちも観光のためだけの施設にはしたくないし」

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早朝に集合して、日の出を待つライジングサン。
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秋なので太陽が右側から登るが、夏は中央、春は左側から登るそうだ。景色は一瞬ごとに変わり、そして毎日違うご来光を拝むことができる。
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日の出をこれだけじっくり楽しんだのは、富士山頂以来だろうか。あそこは辿り着くまで大変だが、ここなら楽勝だ(そもそも佐渡島が遠いという話もあるが)。海越しに新潟県の山脈から登る日の出というのは相当レアなのでは。
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この日は茶道を学んでいる参加者が抹茶を入れてくれた。ご来光+茶道=茶来光。チャラい。なんとも贅沢な時間である。
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この瞬間にしか観られない山本邸の表情もある。
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「それよりは文化交流の拠点かな。もちろん一般公開をして、島民の人とか観光客に見てもらうことも大事だけど、茶人とか風流な遊びをしたいという人とか、おもしろい人たちに集ってもらう場所に育てていくのがいいなと。

香炉で浜香を燃やして香りを楽しんだり。そもそもは友人とのお茶会の場所によいかなと思って引き受けたんだし。目指すところは、現在の風流人の遊び小屋!」

ーーいいですね。使う側の発想次第で、すごくおもしろいことができそうです。

「私はただ山本邸を復活させただけで、別に自分の別荘とは思っていない。みんなが楽しく使える場所であればいい。その幅を広くして、みんなで100年後まで残そうというプロジェクト。

ここで芝居をしてもいいし、華道の人が生け花をしてもいいし、リラクゼーションの場所にしてもいいし。なんでもかんでも受け入れる訳にはいかないけど」

ーー波長の合う人がここに集って、楽しいことができるといいですね。海辺だけに。

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満月の一日前におこなわれたお月見イベント。LEDの提灯を持って山本邸へ。
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この古き良き夜遊び感が、静かな興奮を呼び起こす。
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この日は残念ながら雲が多く、なかなかお月様が出てくれない。虫の音を聞きながら、ただただ待つ。
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しばらく待っていると、雲の切れ間から丸いお月様が登場。焦らされたからこその興奮が藤の間に広がった。
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団子ではなく皮が玄米粉100%のたい焼きが振舞われた。なぜなら田中さんが十千万というたい焼き屋さんをやっているから。
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「そこに参加してくれる人は、ここを自分の別荘だと思ってもらって。なかなか行けないけれど、実は佐渡にすごい別荘を持っているんだぞという気持ちでいてもらえる友の会みたいなものを作って、そこで愉快な人と繋がりたい」

ーーここを自分の別荘だと自慢できる権利、欲しいです。

「人間は100年も経たずに体が無くなるけど、うまくやれば建物は残る訳だから。

ここからまた100年経って、もし200年前の建物がこうして残っていたら、それはそれでおもろいじゃん。せっかく唯一無二の場所なんだから」

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山本邸の前には石を掘った船着き場の跡が残っている。細長い和船だからこそ乗り入れられる幅だ。
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昔の絵葉書。当時は小木港からここに和船で来たのだろうか。
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今の時代に悌二朗がいたら、きっとサップ(スタンドアップパドルボード)をやっただろうということで、山本邸から出発するサップ体験イベントも開催したそうだ。写真提供:田中藍
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私もちょっとだけ体験させてもらった。怖いので立たない。
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これはとても楽しい乗り物だ。来年の夏にまたじっくりとやりたいな。

ということで、もし佐渡を訪れる機会があれば、ちょっと寄ってみてください。


これから佐渡島はオフシーズンになるため、山本邸の一般公開は来春までしばらくお休みとなるが、貸切という形での見学・利用は可能とのこと。気になる方はご相談を。 いいところですよ。

山本邸Instagram

山本邸ホームページ:二峰企画

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川島小鳥さん撮影のあのちゃん写真集に、山本邸が使われていました。
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