山本邸を管理することになった経緯
こんなにも素敵すぎる山本邸だが、田中さんが受け継いだ段階では、屋根に大きな穴が開いたような状態だったとか。
ちなみに田中さんは不労所得暮らしの大金持ちとかではなく、佐渡に孫ターンしてきた働き者の主婦である。先日の記事で山菜狩りを案内してくれた友人だ。
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「私も詳しい経緯はわからないんだけれど、前の持ち主がここの維持管理が難しくなり、更地にするかもっていう話があって、たまたまこっちに声が掛かって」
ーー修復前の写真(下記参照)を見たら、更地にしたくなる気持ちもわかります。
「ここは山本悌二郎が東京から宮大工を呼んで、3年もかけて建てられたと言われている贅沢な別荘。佐渡弥彦米山国定公園という場所になったから、もうここに新しい建物は二度と建てられない。
築百年以上の建物を潰すのは惜しすぎるでしょ。じゃあ私がやらせてもらいますって。
でも引き受けた当時は、これがどんな由来の建物なのか、まったくわかっていなくて。集落の祭ごとに使う場所とか能の舞台だと思っていたんだけど。それが一昨年かな」
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「とりあえず茅葺だった屋根を降ろし、いつか復活できるようにと茅葺職人に見てもらいつつトタンを被せて。全部一気には無理だけど、直せるところから直していって、どうにか来年には一般公開をしたいのよ」
ーー理想は建てた当時の状態に戻すことなんでしょうけど、それだとお金も時間も莫大に掛かりそうですよね。
「佐渡の人も、ここがなにか知らない人が多いし、中を見たことがある人なんてほとんどいない。お母さんが子どもの頃、修学旅行でここまで歩いてきたけど、柵があって中には入れなかったと言っていたし。
最初は県や市の補助金でなんとかなるかなと思ったけれど、これが受からなくて。だからクラファンでお金を集めて、どうにかここを残せないかなと計画中なんだわ」
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山本邸、どう考えても個人で背負える規模の修復作業ではない。ここまでに掛かった金額を聞いたらドン引きした。
これが去年の夏の話で、その後に無事クラファンを実施して、どうにか改修費の一部が集まり、今年の夏に一般公開まで辿り着く。
そして秋になり、私はまたここへ訪れたのだった。