4回表:早稲田「メロディーすり鉢」
つづいては清水彩夏さんの作品。
「私は『未知の道具』という課題に取り組みました。モチーフにしたはメロディーロードです」
メロディーロードは、道路に細かい溝を切ることで、通過するタイヤがメロディーを奏でるようにして、ドライバーの眠気覚ましにするというやつだ。
「溝の間隔が音階に、溝の幅が音量に関係しています」
そこで、これをすり鉢に応用した。すり鉢にはもともと溝が切ってあるが、その間隔と幅を調整する。
具体的には、溝の幅と間隔を少しづつ変えて切るようにする。そのうえでゴマを擦るのが大事で、するとゴマが大きい溝から順に埋まっていくので、次第に音量は小さく、音階は低くなっていく。
つまりメロディーロードのようにメロディーを鳴らすのが目的なのではなくて、胡麻をする過程で音が変わっていくのを楽しむ、また擦り終わりの目安とするということのようだ。なるほどー。
「ただ、いまプロトタイプなので・・」
実際に胡麻を擦って音が変わるところまでは行っていないようだ。
以下、コメント:
・達人になるとこれで音楽が鳴らせるかもしれない。胡麻すりの歌。
ゴマの大きさとか煎り具合によっても音が変わるかもしれない。あとは、擦る場所によって溝が違うわけだから、やっぱり演奏もできそうだと思ってしまう。やっていくうちに音がしなくなるというのが楽器としては新鮮。
4回裏:慶応「けしふで」
慶応の滑川寛さんは「けしふで」というものを作った。
「いっぱい書いて真っ黒になったような紙に対して・・」
手に持っているのが「けしふで」だ。
「こんなふうに・・」
「文字を書ける鉛筆になってます」
役に立たない機械、と書いてあるのが見えるだろうか。鉛筆の見た目をしているが、芯は消しゴムでできているということだ。
「鉛筆って、反対側の消しゴムが使われてないなというところから発想しました」
以下コメント:
・どうやって作ったの?
→ふつうの鉛筆を半分に割って中に消しゴムを詰めました
・よく書ける!
・反対側が逆に鉛筆になってる。それは書くなのか消すなのか難しい。
5回表:早稲田「おしゃれヘルメット」
つづいて早稲田の浜名秀聡さん。
頭にかぶっているのが作品だ。
頭にかぶるものは、頭を守る、とかファッションとして表現するとかいろんなコンテクストがあるという。この作品は、
「それらが進化していった流れのどこにも位置しないものです」 (会場笑)
「頭を守ることもできないし、地位を示すわけでもない。なんでもなくてただ頭にかぶるものです。」
ぼくもかぶらせてもらった。こんな感じのものだ。
以下講評:
・かぶっても何の感激もないが、気持ちはいい
・最終的にすごいなと思ったのは人間の髪の毛はこれだということ
・色が白いのもいい
たしかに、かぶるものにはカツラを含めて必ず機能がある。何の意味もなく純粋にかぶるこの道具は、トマソンでいう純粋階段(登った先に何もない階段)のようなものかもしれない。
5回裏:慶応「匂い~ジャストフォーユー~」
「食事は匂いも楽しみの一つですが、匂いを嗅ぐことに特化したものがないと思ったので作りました」と櫻井琴さん。
食べ物の匂いが広がらず、独り占めできるという。
「たとえばハンバーグランチセットだったら最初にサラダが来ると思うので・・」
「機械にセットして嗅ぐわけです」
「ここにボタンがついてるので、風を強くして匂いを嗅ぐことができます」(会場笑)
サラダを嗅いだら、取り出してハンバーグをセットする。
「サラダに匂いを十分に楽しんだら、今度はハンバーグの匂いを存分に嗅ぎます」
さらにハンバーグを取り出してプリンをセットし、同様に嗅いでいた。
以下、コメント:
・(機械でサラダの匂いを嗅いで)ハンバーグの匂いがする!
・(同じくプリンの匂いを嗅いで)ハンバーグの匂いがする。ハンバーグ強いな。
・もう一つ穴を開けると風通しがよくなって、(前の食べ物の)匂いがこもらなくなると思う。
実際に嗅がせてもらって、眼鏡や補聴器にも似ているかもしれないと思った。将来、匂いが分からなくなった時にこれを使うところを想像してしまった。
6回表:早稲田「deco-letter」
早稲田の岩田朗さんの作品は「deco-letter」。
このハンコ的なやつだ。
「フランスの文字だとÇ のように文字の下に「セディーユ」という符号がついていたり、â のように山形の符号がついていたりします」
この符号の部分だけを切り出してハンコにしてある。
それを、ふつうのアルファベットが書かれた文書や日本語の文書にいっぱい押してみる、というものだ。
ひらがなに西洋のダイアクリティカルマークが押されていて面白い。
以下コメント:
・日本語に合わせるというのがおしゃれ
(→試しに押してみたら綺麗だった)
・レ点とかも押して見たい
タイトルは「デコレータ」と「デコれた」の両方に通じる気がする。ハンコがあればデコれる。
6回裏:慶応「Galaxy S24」
つづいて慶応、藤田叶子さんの作品。
「これは、Galaxy S24 です」(会場笑)
サムスンのスマホの名前だ。思わず笑ってしまった。
「スチール缶とバネで糸電話を作りました。両耳で聞くことができます」
耳についているのは糸電話だったのだ。だからそのタイトルということか。
「喋った声にエコーがかかったような宇宙にいるような音が聞こえます。」
聞いて見た先生の感想:
・声は全然聞こえない、バネが伸びるのが怖い
・(バネが伸びて)あ、聞こえる、3光年くらいのところから
「聞こえた?」
「なんか、何か言っているというのは分かりました」(会場爆笑)
以下、コメント:
・トータルコーディネートが完成度が高くて尊敬する
・普段着?(会場笑)
(← 「違います」)
・特に足元がいい