高いところは楽しい
スカイツリーを近くで見ると「すごい!人間はよくこんな巨大なものを!」と感動するのだけれど、同じ高さの山に登ってもやはり「自然すごい!」と思ったし、山頂にアンテナを建てたり麓に巨大な鳥居を作ったりする人間はやっぱりすごいなと思った。
ともあれ、けっきょく人は高いところに行くと感動するのだ。月を目指したくなる気持ちもわかる。
新潟にある「弥彦山(やひこやま)」という山は標高634メートルで、スカイツリーと同じ高さなのだとか。
ということは見える景色も似てるのか、どちらも登って確かめてきました。
東京にあるスカイツリーは高さ634メートルである。
数字だけ言われてもいまいちピンと来ないが、間近で見るとかなり高い。
スカイツリーは634メートルとはいえ、普通に行くことができるのは450メートルの展望回廊までである。それでも目が眩むほど高い。
一方、新潟にある弥彦山は山頂が634メートルなのだとか。
ということは山頂まで登ればスカイツリーのてっぺんからの景色を体感できるはずである。それは登りたいだろう。新潟に向かった。
弥彦山へと向かう途中、なにやら巨大な鳥居が見えてきた。
弥彦山はもちろんでかいが、この鳥居もちょっと意味がわからないくらいでかいのだ。
下を走る車がミニカーのようである。
それもそのはず、この大鳥居は両部鳥居というタイプの鳥居としては日本一の高さなのだとか。
この鳥居をくぐって突き当りにある立派な山がこれから向かう弥彦山である。あれがスカイツリーと同じ高さだとするとスカイツリーすごくないか、あんなにでかいのか。
弥彦山は麓に彌彦神社という、これまた立派な神社を擁する。
神社で手を合わせたら、神社の横から始まる登山口へと向かう。ここが弥彦山への入口である。
さすがは山。麓に着いたのは14時なのだけれど、鬱蒼と繁る森が日を遮り、山道にはすでに街灯が点っていた。
山頂までは歩くと1時間半くらいだというが、この感じだと夕暮れまでに無事に山頂までたどり着ける気がまったくしない。
というわけで迷うことなくロープウェイに乗ることにした。
ロープウェイだと山頂まで5分なのだとか。歩いて1時間半のところを5分で着いちゃうとは、文明すごすぎである。
ロープウェイは15分おきに運転されていた。
どきどきしながらゴンドラの中で待っていると、乗務員さんがドアを閉め、外にいる係の人と最終確認をする。しばらくしてから、うみひこ号は、思い出したように一気に斜面を登っていった。
加速するにつれ耳がツンとなるのはスカイツリーのエレベーターも同じである。違うのは車窓からの景色だ。ぐいぐい上昇するロープウェイからは、遠くに海が見えてきた。
ロープウェイでは同乗した乗務員さんがマイクを使って弥彦山の歴史や豆知識を教えてくれた。
「ロープウェイは時速13キロ、これは遅そうに思えますが、下りのゴンドラとすれ違う時には26キロに感じられます」。
なるほど。横をかっとんでいく下りのゴンドラに一瞬手を振る。これもスカイツリーにはない楽しみだろう。
今回はスカイツリーと同じ高さである弥彦山に登るということで、弥彦山とスカイツリーとの相違点に注目してみた。
あくまでも主観なのでご理解いただきたい。
ロープウェイを使って頂上まで一気に上がることができるのはスカイツリーと同じである。スカイツリーはロープウェイじゃなくてエレベーターだけど。
料金的にはスカイツリーが3500円、弥彦山のロープウェイが1500円。これは単純には比べられないが、弥彦山のロープウェイは景色も見えるしガイドさんの案内付きなのでお得感がある。
ロープウェイの山頂駅からあと少し階段を登ると弥彦山の山頂である。
弥彦山山頂からの景色はスカイツリーとはまったく違っていた。
見える風景はまったく違うが、高いところに来た!という感動は共通だと思う。スカイツリーの展望回廊の方が高さは低いはずなのに、山に比べて真下を見るからだろうか、怖さはスカイツリーの方が怖い。
弥彦山は山なので動物がいる。空を見上げれば鳥が飛んでいるし、木々の間からガサゴソと何かいる気配がする。
スカイツリーは観光客がたくさんいるが、動物はいない(麓に水族館はあるけど)。
電波塔であるスカイツリーと同じく、弥彦山の山頂にもテレビのアンテナが設置されていた。高さを生かした共通点である。
下りは山道を歩いて降りたのだけれど、1時間もかからずに降りてこられた。スカイツリーは普段は階段で降りることはできないが、山なら歩くのも楽しい。
スカイツリーを近くで見ると「すごい!人間はよくこんな巨大なものを!」と感動するのだけれど、同じ高さの山に登ってもやはり「自然すごい!」と思ったし、山頂にアンテナを建てたり麓に巨大な鳥居を作ったりする人間はやっぱりすごいなと思った。
ともあれ、けっきょく人は高いところに行くと感動するのだ。月を目指したくなる気持ちもわかる。
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