特集 2020年5月7日

取り壊しが決まった淡路島の世界平和大観音へ

淡路島にそびえたつ巨大な観音像。

界隈では有名な淡路島のB級スポットだったが、このたび取り壊されることになった。

この機会に行ってみよう。もう見えなくなるのだから。

1984年生まれ岡山のど田舎在住。技術的な事を探求するのが趣味。お皿を作って売っていたりもする。思い付いた事はやってみないと気がすまない性格。(動画インタビュー)

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まずは世界平和大観音についておさらいしておく。

世界平和大観音とは、とある実業家が1977年に出身地の淡路島に建設した。故郷に錦ではなく巨大観音像を飾ったのだ。

しかし、2006年以降は閉館、廃墟となり剥落したコンクリートが周辺に落下するなどのトラブルが相次いでいる。

そして相続する人がいなかったため国の所有になり、先日、解体されることが発表された。

淡路島へ向かう

そんな世界平和大観音、以前から気になっていたものの足が向くことはなかった。行こうと思えばいつでも行けるという思いがあったかもしれない。

しかし、今見ておかないといずれ見えなくなる、その思いが僕を淡路島へと駆り立てた。

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高速道路で一路、淡路島をめざす。

淡路島には鉄道が通っていない。おのずと自動車で行くことになる。およそ2時間のみちのりだ。

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高速道路における楽しみといえばサービスエリア。

途中、休憩のためサービスエリアに寄る。

僕は高速道路のサービスエリアやパーキングエリアの雰囲気が好きだ。サービスエリアの魅力は高速道路に乗らなければ行けないところにある。つまり日常と隔絶された世界だ。

 

しかしこの時、緊急事態宣言こそでていなかったものの、すでにコロナの影響が言われ始めた頃だったので建物内には寄らず、車内で休憩だけにした。

 

巨大吊り橋、明石海峡大橋。

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まっすぐ行けば大阪、左に入れば淡路島。

そうしてふたたび車を走らせると淡路島への看板が見えてきた。淡路島方面は交通量がぐっと少なくなる。 

 

長いトンネルを抜けると海と空が視界いっぱいに広がる。もう一つ楽しみにしていた巨大なアレが現れた。

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明石海峡大橋だ。

この世界最大のつり橋は海面からかなり高く、海を見渡すような高さだ。

なんかもう最高に気持ちがいい。もしかすると僕は大きなものが好きなのかもしれない。

 

淡路島は巨大サービスエリアである。 

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淡路島についた。

わずか5分ほどで明石海峡大橋を渡り終え、淡路島へ入る。

淡路島は島といえども瀬戸内海最大の大きさを誇る。面積は592.55平方キロメートルで、東京23区(619平方キロメートル)とほとんど変わらない。

 

淡路島へのフェリーもあるが明石海峡大橋の開通後に大幅に縮小されてしまった。2020/05/07 16:00追記 淡路島ご在住の読者の方からご連絡をいただきました。現在淡路島へのフェリーは原付までしか乗れない高速艇(淡路ジェノバライン)のみ運行されており、車を乗せるものはないそうです。情報ありがとうございました!

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淡路島へいく主なルートはこの二つ。赤い丸は今回の目的地。

従って淡路島へ行く手段は、基本的に本州側の明石海峡大橋と四国側の鳴門大橋の2つしかない。

いずれも高速道路なので、基本的に淡路島へは高速道路に乗らないと行くことができない。淡路島もひとつの巨大なサービスエリアだ。

大観音、登場。

高速道路から一般道に下り、ナビが示す到着時間まで10分を切る。巨大な観音像は遠くからでも見えるはず。どのように現れるのか?どんな場所に立っているのか?と想像を巡らせる。

もういつ見えてもおかしくない。…というか、もう見えているんじゃないか?

 

そう思って周りを見渡しながら進むと、

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…あった。

真っ白い人の姿がチラっと視界の端に映る。燃え尽きちまったぜくらい白い。

 

人をかたどったものは不思議と目線が吸い寄せられる。

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どーん。

あまりに大きく遠近感がおかしい。予想以上に大きな物を見ると人はただ笑ってしまう。

ここまでおよそ2時間かかっている。往復で4時間だ。

正直、ここまで3回くらい「僕は一体、なにしてるんだっけ?」という疑問が浮かんでは消えていたが、そんな疑問は吹き飛んだ。

大きいだけで面白いのだ。ずるい。

 

あと意外だったのは、茨城県の牛久大仏のように、もっとだだっ広い場所を想像していたが、意外にも幹線道路のすぐ近くだ。

港町では異物感がすごい。

場所がわかったので今度は車を止める場所を探す。

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漁船がたくさん。

世界平和大観音のおひざ元は海沿いの町だ。

海沿いの街では斜面に家々が肩を寄せ合うように立ち並ぶ。経験上、こういう場所では車を止める場所がなかなか見つからない。

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潮のにほひを微かに含んだ風が吹き抜ける。

ぐるぐると回った挙句、車をとめて戻ってきた。

周囲に人影はなく、白い人だけ。

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誰もいない砂浜にたたずむ大観音像。

観音像の目線の先には大阪湾。なんかもう凄い光景である。

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透き通る海。

…というか、めちゃくちゃ海きれいだな。

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家々の見守るように立つ大観音。

庭先で畑仕事に精を出す人たちがいたが、その人たちは大観音像をまったく気にしていなかった。

明らかにおかしな建造物があるのに。まるで僕以外には見えていない様だ。

少しのっぺりとした観音さま。

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小高い丘の上に土台の建物ががあり、その上に立つ。

遠くにあるとちょっと面白いくらいだが、近づいていくに従い徐々に両目で立体的にとらえると、大きさがあらわになっていく。

 

大きさ比較用に横にセブンスターを置こうかとも思ったが、たぶん手前の家と比べるほうが分かりやすいだろう。

改めてその大きさは圧巻だ。

それもそのはず、世界平和大観音は国内では牛久大仏に次ぐ大きさで、仙台の観音像と並び100メートルもある。建造当時は世界最大の像だった。

 

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造形としてはちょっと“やっつけ仕事感”が否めない。。

ただ牛久大仏や仙台の大観音像と比べると凹凸が少なくのっぺりとした印象だ。夏休みの宿題で8月30日に急いで観音像を作ったらこんな感じになりそうだ。

首に巻かれたマフラーの様な部分はかつての展望台で、老朽化のため、どてっ腹には風穴が開いている。

あんなに高い場所から建材が落ちてきたら本当に危ない。解体も致し方無いのだ。

立ち入れないがかなり近づけてしまう

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「国有地につき関係者以外立ち入ることを禁止します」。

かつては観音像のなかの展望台があり、登ることができたり中に博物館があったりしたそうだが、現在はもちろん立ち入る事はできない。

敷地への入り口は閉ざされ危険立入禁止の注意書きが貼られている。

 

しかし観音像のほぼ横には、地元の人たちが行き来する生活道路が通っている。

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見上げるとひっくり返りそうな至近距離だ。

立ち入り禁止の敷地に入らなくても、横の道を通るだけかなり近くまで行ける。

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外階段もさびて乗ったら抜けるそうなほどにボロボロだ。海から近いのでさびやすいのかもしれない。

建物のガラスも割られているし、近くで見るとよりいっそうボロボロだ。

部材が剥がれ落ちる可能性もあるそうで、ここまで近いと身の危険を感じるほどだ。早めに移動する。

 

観音様の周辺をうろうろしていると、他にもうろうろしている人がいた。

廃墟にいるのはだいたいヤンキーと相場が決まっているが、意外にも年配の夫婦だ。名残を惜しみにきたのか。

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観音様の横には立派な十重の塔もあるが、 
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こちらもよく見るとボロボロだ。

一番上の屋根なんかはほとんどシースルーに近い。

解体されるより先に倒壊してしまうんじゃないかと心配になるくらい観音像も塔もボロボロだ。

見晴らしが良い背中側

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高台から見るとまた違ったおもむきがある。

観音様の後ろは斜面になっていて正面側から見るより見晴らしがよい。そしてあまり傷みが気にならない。

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住宅地から見る。

手前に住宅地の日常感と、奥に大観音の非日常感。怪獣映画の手法だ。 

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山より高い。すごく変な感じ。

手前の畑にはネコ車やコンテナがあって、つい先ほどまで誰かがいた形跡はあるが人はいない。

怪獣映画だったら非難した後だろう。

 

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大きすぎて脳が処理しきれない。

巨大な観音像を見ていると首のあたりがゾワゾワしてくる。少し怖いような不思議な感覚だ。たまらない。

ただビルのような四角い建物の場合はどんなに巨大でもあまりそういう感覚になることはない。やはり人の形ならではだろう。

そんなゾワゾワを実感できたし記録もできた。解体前にもう一度見たいけど、うーん、どうかな。


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大きな建物も良いけどこういうちょっとした空間も良い。
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