しっかり暑かった7月⋯⋯
林:
先月は「6月が涼しかったですね」という話をしましたが⋯⋯7月はちゃんと暑かったですね。気温のデータをみてみると、平年を綺麗に上回ってますね。
西村:
冷夏になるかな。なんて思ってましたけど、そうは問屋が卸さない。
林:
とはいえ、今日(8月5日、東京の最高気温は30.9℃でした)は涼しいですね。オホーツク海高気圧のせいでしょうか?
増田:
そうですね、涼しい空気が入ってくると、救われますよね、本当に。
林:
オホーツク海高気圧がこんなに話題になることないんじゃないか?ってぐらい話題ですね。これは流行語大賞に⋯⋯。
増田:
流行語は、あと5回ぐらいでてこないと入らないかな(笑)今年はもう、酷暑日がノミネート見えてる感じですよね。
西村:
そうなんですね。
増田:
暑さの名前つけたときジンクスありますから⋯⋯2007年、気象庁が最高気温が35℃以上の日を猛暑日にしようと夏前に決めて、一般的には「だれがそんな言葉使うんだ」なんて言っていたら、35℃以上の日が連発して、猛暑日、猛暑日で流行語大賞のトップテンに入りましたから⋯⋯。
今年の酷暑日も、こんなに連発かってぐらいでてますから、すでにもう地点数が過去最多になっているんですよね。まだ夏も折り返しぐらいですけど、これからどこまで伸びるんだろうなってぐらいですから。流行語大賞はもうノミネートなのかな。
桑名が4日連続40℃超え
林:
最近はどこも暑くて、35℃超えてなければいいじゃないですか。みたいな会話になってるのもおかしいですけどね。
増田:
それをいうと、三重県の桑名。先週仕事で行ったんですけどね。桑名は4日連続40℃超え(7月22日〜25日)だったんです。同じ場所で40℃以上の連続日数としては江川崎(高知県四万十市)と並んで首位タイの記録でなんですよ。
林:
4試合連続ホームランみたいな。
西村:
そういう切り取り方があるのか⋯⋯なるほど。
| 登場回数 | 観測地 |
| 9回 | 日田(大分) |
| 8回 | 桑名(三重)江川崎(高知)美濃(岐阜)多治見(岐阜)豊田(愛知) |
| 7回 | 太宰府(福岡) |
| 6回 | 久留米(福岡)中村(高知) |
| 5回 | 佐久間(静岡)甲府(山梨)名古屋(愛知) |
増田:
桑名が40℃連発した翌週に僕が行って。駅降りた瞬間、風が吹いてて「あ、ましだ」と思って。地元の人にも聞いたら「いやー、今日は暑さ全然。むしろこの風が涼しいですよ」って。
で、最高気温みたら36℃でした(笑)。
36℃でも「涼しいですよ」ってなるぐらいだから、もう先週は逃げ場がないという感じで。むわっじゃすまない。ムワムワ〜だったみたいな話を現地の人がされてました。
林:
桑名ってそんなに暑くなるんですか? 海の近くですよね。
西村:
かなりデカい川もありますよね。
増田:
そうなんです。これは、西風のときです。西側の鈴鹿山脈を越えて来た暑い風でフェーン現象になった。普通は日中になると伊勢湾から海風が入って涼しくなるのに、フェーン現象でやってきた風が海風をブロックしてた。でも、実は40℃を越えたのは三重県で桑名だけなんです。
林:
へー。
増田:
鈴鹿山脈からの西風が吹いてれば、条件は同じなのにって思うんですけど、一つ考えられるのは、やっぱり名古屋に近いっていうのはあるのかなと。名古屋のヒートアイランドによって、温度が下がりにくくなっていて、夜の気温が高くなっている。都市の熱の影響を少しうけているのかなと。
西村:
そうか、夜にしっかり冷えないのか。
増田:
そうです。暑さがちょっと保たれた状態で次の日になって、またどんどん気温が上がるという。ヒートアイランド+フェーン現象。
林:
こういう暑さで目立つ町って、年ごとにありますね。
増田:
ありますね。去年はそれこそ柏原や伊勢崎ですよね。おととしは太宰府でした。
小林:
太宰府なにかありましたっけ?
増田:
太宰府は、おととし年間で35℃以上の日が62日あった、つまり、1年のうち2ヶ月分が猛暑日だったんですよ。今年はまず東海地方で暑さがきましたけど、今、九州に行ってますよね、暑さの中心が。
林:
九州って気温40℃が出たことなかったんですね。
増田:
そう、意外ですけれども。大分県の日田で27日に初めて40℃になって、その後は各地で。熊本は130年以上ずっと観測が続く中で初めて40℃を超えた、つまり一番暑かったタイミングっていうのが、まさに先週とか今週だったわけですよね。本当によりによってよくないタイミングできてしまった。
暑い場所は年によって変わる
西村:
今年は、東西で暑さが全然違う気がします。
増田:
暑さのピークっていうのが、年によってずれるのかなっていうふうには思います。ごくごく単純に言うと、去年は関東で東だったし、一昨年は太宰府とか西だったし、今年はどちらかというと東海より西。
林:
暑さも日本全部を暑くするほどの力はないというか。これが日田で40℃を超えた日の天気図ですが。
増田:
やっぱり(九州西の海上の)高気圧の中心がある下で、温度が上がりやすいっていうのはありますね。高気圧の中心っていうことは、それだけ下降気流が強い。空高いところから空気を下に下におろしてぎゅっと圧縮して、圧縮すればするほど、空気は温度が上がるという性質があるので。
かつての厄介者が人気者に、オホーツク海高気圧
林:
北海道東の海上にある高気圧は、涼しいところの高気圧ですか?
増田:
そうですね、猛暑時はみんな大好きオホーツク海高気圧ですね。
西村:
オホーツク海高気圧は、元々のベースが冷たい空気だから、圧縮されても温度がそんなに上がらない?
増田:
そうですね、この高気圧は、すごい上空から降りてきてるわけでもないのと、あとはなんといっても一番下、地面や海面に近いところがとにかく冷たい。だからそこから風が吹き出てくると、やっぱり冷たくなってしまうということですね。
林:
オホーツク海高気圧は、下降気流よりも、下が冷えて、だんだん重くなって高気圧になる? ボトムアップ式で、トップダウンじゃない。現場主義の高気圧。
増田:
もちろん、下降気流もあるんですが、地面・海面付近で風が冷やされるので。冷たい風が吹く。これがいわゆる「やませ」ですよね。今はこれだけ暑いと、みんな大好き天然のクーラーとかいい扱いされますけど。昔はもう冷夏の元凶みたいな、超厄介者でしたからね。
林:
クーラー呼ばわり。
増田:
都合がいいですよね。これが度々現れると冷夏になって、で、飢饉になってたくさんの被害者が出る。それを何とかしたいという思いで、この冷夏を予想できないかっていうのが、明治時代に始まって、宮沢賢治の先生の関豊太郎からスタートしてるんです。
林:
冷害で米が不作というのは最近はあるんでしょうか?
増田:
冷害というよりも⋯⋯去年まで米の価格がものすごく上がりましたけど、実はそれより前、2023年に新潟とかの米どころで、猛暑の影響で品質のいいお米の収穫が少なくなったんですよね。米の価格高騰はそれがきっかけの一つになったとも言われてますね。
林:
じゃあ、寒くなるような冷害が減って、よかったなんて話にはならないんですね。
西村:
そうか、温度が高すぎるのもダメか。もともと稲は暑い地方の作物で、新潟とか東北でも育つような、寒さに強い稲を作ってきたのに。
増田:
ササニシキが冷害に弱いから、寒さに強い品種改良で、ひとめぼれを作ったりしたんですが、気候の方が暑くなってきてしまった。高温に強い品種も開発はされてるみたいですが、お米に限らずですが、なにか先に手を打っていた人がチャンピオンになるんでしょうね。
林:
マンゴーとか育てるといいかもしれない。
西村:
コーヒー豆とかも植えられるようになるのかな⋯⋯。


