拍子抜けした6月の気温⋯⋯
林:
いやー、6月は涼しかった。
増田:
そうですね。
林:
嬉しくて、グラフばっかり作ってました。5月の下旬でちょっと気温があがりそうで危なかったじゃないですか。
増田:
あ、(今年も暑いのが)また来たな⋯⋯という。
林:
今年も暑いのかなと思ったらこの後まったく気温が上がらず。今年の最高気温が2025年の最低気温よりも低い日もあったりして⋯⋯2025年よく生きてましたね、我々。
増田:
たしか、8日連続30℃以上で、一番高いところが35℃近く。そんな6月をよく生きてましたね。
林:
一方、今年の6月は平年を下回っていた。この毎月のインタビューで「平年を下回る」って話したことないですよ。
増田:
しばらくないですよね。
林:
前回、記事の最後で予想している最高気温クイズですよ。
西村:
ぼくが「6月1日の桐生の36℃が最高気温」と「だったら面白いな」ぐらいの気持ちで予想して、そんなことがあるかなあ、なんて言ってたら。
注)2026年6月の国内最高気温は6月1日に記録した桐生の36.0℃
増田:
本当にそうなった。
林:
初回の先頭打者ホームランで終わりですね。
海水温が冷えたおかげ?
増田:
先頭打者本塁打を打たれたあと、梅雨前線とオホーツク海高気圧が継投で抑えた感じになってますね。
林:
今年はしっかり梅雨前線がいて、雨を降らしました。
増田:
(ほとんど雨が降らなかった去年とは)全然違いますね。
林:
青が今年6月、最初の台風の雨がすごい。でもその後もずっと降ってますもんね。
増田:
面的に見るとすごく分かりやすい。気象庁のページに過去30日間の降水量が平年と比べてどうかという図があります。緑が平年よりも多いということで、ほとんどのところがこの6月、平年よりも多いです。東京は平年のおよそ2.6倍。
増田:
6月の雨としては、東京は60年ぶりの多さですね。面的に平年よりも雨が多いということで、やっぱり梅雨前線と3つの台風の影響でこれだけ雨が多かった。
林:
単純ですね。雨が降ったから涼しい。
増田:
日本の梅雨ってありがたい存在で、これがないと水不足もそうですけれども、本当にどんどんブレーキなしで暑くなっていくので、去年みたいに猛暑の期間が長くなってしまう。猛暑の期間が長いし、トップの気温も上がりやすくなるっていう。一回やっぱりこの梅雨によるクールダウン期間がないといけないってことですね。
林:
40℃が出る日は、しばらく雨が降らずに気温が積み重なるパターンですもんね。
増田:
あと台風が3つ来たので雨が多かったというのもあるんです。台風って海をかき混ぜるので、海水温が下がる傾向があるんですよね。台風でかき混ぜられると表面のアチアチの部分が減るということで、少し暑さがマシになる。
林:
以前、暑いときにプラス3℃ぐらいの図を見た記憶が。海水温が。
増田:
これが去年の同じ日。
全員:あー、全然。
増田:
去年はこれは暑いわってなりますね。
西村:
はいはい。
林:
台風ってあったかい海で発生するけど、発達してやってくると途中の海は冷やしちゃうんですね。
増田:
(6月に日本に近づいた)今回の台風は、先に来た台風がかき混ぜていたことに加えて、梅雨前線が停滞して日差しが少なく海水温が低かったおかげで、日本の近くに来たら形を崩してくれましたね。
林:
露天風呂でホカホカになってわーって飛び出したら「寒ッ!」っていう感じに似てますね。
増田:
ですね。もちろんこの後暑いタイミングが必ず来るんですよ。7月から8月にかけて来るんですけれども、6月に空気も海も冷めたので猛暑の期間が特に前半分は去年より確実に短くなることが確定したのが嬉しいですよね。
林:
そうか、これから暑くなるためにはまず、お湯(海)を沸かすところから始めなきゃいけないわけか。
ヨーロッパでは熱波がすごいですけど
西村:
日本と違って、ヨーロッパはものすごく暑いっていうニュースがありますけど、それはなぜなんですか?
増田:
ヨーロッパはめちゃくちゃ強い高気圧があって、ヒートドームとか言われますけど、熱がその高気圧の下で閉じ込められて暑くなっている。
林:
あったかい空気がたまっているところが、それがこっち(日本)に来ないかなという心配があるんですけど。
増田:
そのまま来るってことはないですね。これは(高度が高いところの天気図)日本の場合は、南にバーンって高気圧があって、これがいわゆる夏の高気圧、太平洋高気圧です。
で、これが夏に日本まで張り出してきて、動かずにこの下でずっと熱せられて、どんどん熱が溜まって、あちーってなるわけですけれども、まだ今年は来てないですね。
西村:
はい。
増田:
一方でヨーロッパは、ぴょこっと出てる高気圧の下で暑くなったんですよ。
風の流れを見ると蛇行をしている。蛇行すると膨らんだ部分にある高気圧の動きが遅くなって、その下でどんどん熱が溜まりやすくなる。で、連日熱波が続く。ヨーロッパとかアメリカとかの熱波というのは、こういうことが原因で起こりやすいですね。
林:
それは日本に吹く偏西風とは違う?
増田:
偏西風です。これは偏西風が大きく蛇行しているんですね。
林:
その蛇行した部分がツツーっと東に来ることは?
増田:
そのまま来るってことはなかなかないと思います。ただ、問題になるのは、偏西風の波が小さいと波がサーッと動いていくのが、すっごく大きく蛇行すると、この波自体の動きがゆっくりになっていくんですよね。
蛇行した波の動きが遅くなると、他の地域もいろんな異常気象が起こることがあります。日本付近も蛇行が大きくなってくると、何かしらの異常なことが起こる可能性はあります。
林:
日本は蛇行したところがたまたま暑いのがきたら暑いし、そうじゃないと寒くなる。極端になると。
増田:
で、今回ヨーロッパがすごい熱波になってますが、2003年にヨーロッパで夏に熱波があったんです。あの時はまさにこういう状況になっていて。ヨーロッパの方が大きく蛇行して、固まってしまっった。
それで、日本はどうなったかというと日本の北側で固まったんです。で、ちょっと日本は複雑で、北側で高気圧ができると、オホーツク海なので、オホーツク海高気圧がやたら度々現れたという年になったんです。
林:
寒いのがきてしまう。
増田:
そうなんです。2003年は北日本と東日本を中心に冷夏になったんですね。完全にリンクしてるとまでは言えないんですけれども、今年はこういう風に波が固まって、オホーツク海高気圧が度々出て予想より気温が低くなることは、可能性としては考えられる。
オホーツク海高気圧とは?
林:
オホーツク海高気圧はずっといるやつではないんですね。
増田:
はい、出たり消えたりします。去年なんかほとんど出てなかったんじゃないですか。これがたびたび出ると冷夏になります。北日本とか東日本は。
増田:
このオホーツク海高気圧は綺麗ですね。
小林:
あ、綺麗、これは綺麗。
増田:
この等圧線の書き方は「冷たい空気が南に流れ出てますよ」という感じの曲線になっている。いいですね。
冷たい海で空気が冷やされて重くなり、その上の空気も冷やされて冷たくなるので、さらに空気が重くなる。
林:
オホーツク海の海で空気が冷えてだんだん重くなるんですか?
増田:
ハイブリッドです。西から東に来る高気圧の性格に、さらに下のほうが冷やされて、余計に冷えて重くなって、ガッチャンコして気圧が高くなる。
林:
『高気圧ガール』って山下達郎の曲ありますけど、あれは太平洋高気圧のことですよね。「オホーツク海高気圧ガール」じゃない。
小林:
冷たくてひんやりして重い。
西村:
イメージ逆ですね。
影の主役オホーツク海高気圧
林:
今年はオホーツク海高気圧もよくきた。
増田:
そうですね。オホーツク海高気圧は梅雨の影の主役なんて僕は呼んでます。
林:
これってヨーロッパの話と関係してくるんですか?
増田:
もしかしてつながることもあるし、2003年はそうやってつながっていた部分がありました。上空の風の蛇行が大きい状態が続いたりすると、つながってるねってなることもありますけど、今年はまだそういう状況ではない。
これもまた、夏がどうなるかわからなくて。オホーツク海高気圧が度々現れて、北日本、東日本が冷夏になる可能性もある一方で、大逆転する年も。
西村:
あるんだ。
増田:
はい。 2007年は7月の時点で、冷夏来るぞって感じの気温でそう言ってたら、8月になってガラッとモード変わった。毎日晴れて74年ぶりに40.9℃の国内最高気温を熊谷と多治見で更新したんです、7月は冷夏だって大騒ぎしたのに。
林:
そうか、じゃあ今年もまだわかんないですね。油断できない。
西村:
そんなに暑くなんないんじゃないかな?
林:
今年はエルニーニョって言われてますけど、エルニーニョは不安定になるっていうことだから、どっちに出るかわかんないってことなんですか?
増田:
ひとつ言えるのは、夏の高気圧の張り出しがいつもとは違う感じになるので、以前は張り出しが弱くて冷夏気味になることが結構あったんです。
ただ、近年は気温のベースが上がっているので、冷夏にはなりにくい。…と今は予想されています。ただ、たびたびオホーツク海高気圧が現れたら⋯⋯。
林:
みんなもっとオホーツク海高気圧のことを気にしたほうがいいですね。
増田:
したほうが良いと思います。西日本の人はあんまり気にしなくても良いかもしれませんが、エルニーニョが起こっていると夏の太平洋高気圧が元気じゃない時期があるので、そのタイミングで雨雲ができやすくなって、大雨になったりすることもある。
あとは夏の高気圧がいない、ガードがない状態での台風ですね。それも警戒しなきゃいけない。
西村:
雨や台風が多いと結局、気温は上がりにくくなると。
増田:
エルニーニョの年、統計的にはっきり出ているのは、いつもより台風の発生位置が南東側にずれるということになる。
そうすると遠くで発生することになるので、北上して日本に近づくまで時間がかかってしまう。すると、成長する時間がたっぷりあるという状態で来やすくなってしまうと。
林:
時間をかけて成長できてしまうわけですね。
増田:
ちなみに来週の後半(7月9日頃〜)に台風(9号)がまた、日本の南か日本付近に来るんですけれども、その発生場所がミクロネシアのあたりかな。だいぶ離れたところで発生するので勢力がかなり強くなりそうです。
気温クイズ! 正解発表
林:
6月のクイズの正解発表。6月1日から変わらない、を当てたかたが3人いましたね。
正解:36.0℃ 群馬県桐生市
ズバリ正解の皆さま
🥇cheee 36.0℃ 群馬(ぴったり!)
エルニーニョだし、今年は梅雨が長引いてこれ以上暑くならない…でほしい。
🥇よこぽん 36.0℃ 群馬(ぴったり!)
意外と6月後半は雨で気温が上がらないと予想 6月の最高気温は6月1日!
🥇メロポン 36.0℃ 群馬(ぴったり)
明日からしばらくの間、雨の日が続きそうです。群馬県桐生市での、今月1日の気温より高くなることは無さそうですね。
増田:
よこぽんさん「後半は雨で気温が上がらないと予想」これは読み切ってますね。完璧ですよね。メロポンさんもそうですね。すごい。
7月のクイズ
林:
今年は、あまり気温が上がらず、猛暑日の上の酷暑日なんて名前まで決めといて、それが出ないという展開も⋯⋯。
増田:
ですが、まさに2007年ですよ、猛暑日(2007年に決まった)なんて名前まで決めておいて7月はなんだこの冷夏傾向は、ワッハッハなんて言ってたら⋯⋯8月になってガラッと変わって。
西村:
ああ、そうなんだ。
増田:
そこで一気に流行語大賞まで駆け上がりましたから。
林:
今年も2007年と同じだとしたら、7月は低いままだ。
増田:
そういう考えもあるかもしれません。でももうなんとなくだんだん夏の高気圧は順調に強まってきている。一方でオホーツク海高気圧がまた7月半ば以降に現れる可能性はスパコンの計算とかを見ると十分あるのかな。もう一回クールダウンするかもしれない。
林:
台風が来てまた冷えるって可能性もあるのか。梅雨前線はもう梅雨明けですかね。
増田:
梅雨明けに向かっていくので、気温は上がりやすいでしょうが、オホーツク海高気圧が頑張っちゃって、南から夏の太平洋高気圧の南風とぶつかったら、意外と梅雨前線が間で消えないね~なんだかんだうろちょろしてるね~ってなると、ブレーキ要素にはなりますね。
林:
太平洋高気圧は順調に発達している。
増田:
順調に南からは来てます。強い年だと一気にバーンって、もうあっという間に本州、東北ぐらいまで一気に覆って梅雨明け!みたいな年もあります。なりそうなのに、北のオホーツク海高気圧が頑張っちゃったっていう年もあります。
林:
ここまで聞いといて天気予報見ちゃいますが、7月の中旬は35℃⋯⋯暑くなるのかな。
増田:
そこまで先だと一ヶ月予報の資料とかを参考にして、それを日ごとに落としこんだりしているので、高く出やすいというのはあると思います。
林:
関東なのかな。やっぱり。
増田:
世界の気象機関の7月の予想平均気温です。赤いところが平年よりも高い。これで見ると、アメリカの気象機関も、イギリスの気象機関も、ドイツの気象機関も、フランスの気象機関も高い。
増田:
ヨーロッパ中期予報センターのここ気になりますね。オホーツク海。

小林:
あー、いる!
西村:
あれ?
林:
いますね。
増田:
オホーツク海高気圧がいるぞ感がありますね。鍵はこれ、オホーツク海高気圧ですね。
林:
何もなければ、平年よりプラス2℃ぐらいだけども、オホーツク海高気圧が伏兵として。
増田:
どこまでブレーキをかけるのか⋯⋯。
林:
プラス2℃ぐらいだから、大したことないのかな。
西村:
40℃ぜんぜん届かないか。
増田:
でも、プラス2℃と言っても、平均の平均ですから、最高気温はギザギザの一番高いところを当てなきゃいけないんですよ。
林:
平年が32℃だから2℃足して34℃。そんな単純な足し算じゃないのか。
増田:
まあ、7月ですから、場合によっては国内最高気温を更新してもおかしくない時期ではありますからね。
林:
でもね、(40℃まで)行かないですよ。いかない。37℃ぐらいじゃないですか? 37℃。
西村:
ぼくは⋯⋯40℃とか行ったりするんじゃないですか? いや、40℃だと国内最高気温とかになるのか。いや、でも行ったら面白いから。40℃。
増田:
初酷暑日になると。
西村:
あそうか、40℃越えるから、酷暑日ということになるのか。
増田:
いやー、あの「6月は涼しい」なんて言ってたのは夢だったね、みたいになるのかな。(笑)
小林:
2007年パターンだ。
西村:
だってもう、来週、再来週、ぐらいの話ですもんね。
増田:
オホーツク海高気圧待ち。オホ高待ち。場合によっては、オホーツク海高気圧が現れて、東や北は気温にブレーキかかってるのに、西はお構いなしでガンガン上がってるっていう可能性もありますから。
林:
今年は関東の強豪校がダメな可能性があるんだ(注)。ということはオーソドックスな南の方が強いかも。6月の最高気温は⋯⋯桐生か。他は三重。三重意外だったな。
注:夏の最高気温を出しがちな地点を高校野球の強豪校にたとえてます。
西村:
それこそ、去年は7月最高気温は兵庫(柏原)でしたもんね。
林:
どこが出るかわからないですよね。でもまあ、内陸。かな。そう思うと。
増田:
ただ、伊勢崎とかは本当にオホーツク海高気圧が現れちゃったら、あっという間にヒューです。
西村:
一回冷えちゃうとまた熱くなるのに時間かかってしまう。
林:
今回は低めに攻めるということで、37.6℃、ちょっと熱があるぐらいの温度で埼玉
西村:
私は高い方で攻めましょうかね⋯⋯岐阜で40.5℃とか。
増田:
40.5℃、出るかな〜。でも、ヒートアップするんじゃないですか、今回は。国内最高気温を当てに行くようなものですからね。「五年遡って読んでます」っていう人が。5年! 渡辺さん、ありがとうございます!
林:
5年、12かけたら60本! すごい。
増田:
これはありがたいな。


