特集 2025年6月18日

概念変える梅雨がやってきた~気象予報士増田さんに聞く

毎朝テレビでも天気予報を伝えている気象予報士、増田さんに話を聞く月1連載。
今年の梅雨について聞いたところ、「今年の梅雨は次元が違う」「梅雨の概念を変えてしまう」「こんな6月はいままでなかった」「2シーズン制になる」とパワーワード続出のインタビューになりました。
(構成とここの文章・林雄司)

1977年滋賀生まれ。お天気キャスター。的中率、夢の9割をめざす気象予報士です。 好きな言葉は「予報当たりましたね」。株式会社ウェザーマップ所属。
ツイッターでも気象情報やってます。(動画インタビュー)

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> 個人サイト >ウェザーマップ・増田雅昭 >ツイッター @MasudaMasaaki >ライターwiki

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今月もこのメンバーで話します
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梅雨の予報がガラッと変わった

林:
今年の梅雨は雨が多いとNHKのニュースで見たんですが、本当ですか?(“ことしの梅雨は雨が多い傾向” 背景は? NHK 2025年6月8日)

増田:
違うというよりも、ガラッと変わってきました。

西村:
え?

林:
ガラッと変わるというのは予報がですか?

増田:
スパコンが計算した予報資料では、ちょっと前まで確かに雨が多くなりそうみたいな傾向が出てたのですが、この前入ってきた最新の予報は全然ガラッと変わってて、雨少ないぞっていうことに。

林:
それは気象庁の資料で?

増田:
はい。ちょっと前までのことは一旦忘れようか、みたいな。

一旦忘れようか

林:
ニュースはもう変わっちゃった?

増田:
このニュースは6月8日ですよね。そう、5月の終わりとか6月の初めの時点では、今年の梅雨は雨多くなりそうですよ、だったんです。でも、先週入ってきた資料ではなんじゃこりゃっていうぐらい。

林:
質問の前提が崩れた。

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梅雨のずる休み

増田:
ウェザーマップの天気予報を東京で見ていただくと、 

梅雨なのに晴れ続き(ウェザーマップ天気予報・2025年6月17日時点  最新の予報はこちらでチェックしてください

林:
全く雨の予報がない。

西村:
先週見たときはわりと雨があったのに。

増田:
以前の予報では、6月中頃に多少晴れ間があっても梅雨の中休みってあるよね、ぐらいだったのが、梅雨の長休み、梅雨のずる休みみたいな感じになっちゃって。

西村:
梅雨のずる休み(笑)

林:
これ、梅雨明けちゃうんですか?

増田:
それは聞かれると本当に悩ましいというか。梅雨の概念が変わってしまうんじゃないか。
そんな6月になりそうなんですよ。

西村:
梅雨の概念が変わる! 

概念が!
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梅雨明けと言っていいのか悩ましい

増田:
来週、関東から西は晴れて真夏の暑さがずっと続くので、梅雨明けの判断をと言われると気象庁の人たちも相当議論になるんじゃないかなと思います。

林:
7月入ったらまた雨があるかもしれない。

増田:
おそらく戻ってくると思います。
7月に入ると、梅雨前線が関東から西の各地にも戻ってきて、雨の日は出てくると思うんですけれども。

増田:
2022年にも6月下旬に群馬県で40度が出るなどして、もうこれは完全に夏だからって6月の終わりに梅雨明けを発表したんです。でもやっぱりそのあと梅雨空が戻ってきて、結局確定値では梅雨明けは後になりました。
注)6月~7月に発表される梅雨入り・梅雨明け発表はあくまで速報で、9月に発表される確定値で変更されることがあります
ただ、そうは言っても2週間も晴れて暑いと、このあと梅雨空が戻ってきたとしても、それは梅雨なのかという議論になる。

林:
2週間の晴れ続きのあいだ、梅雨明けを発表しないでいられるか。

増田:
発表するんだったら明日(収録が6/16なので6/17)ですよ。でも、いつか梅雨前線が戻ってくるから発表できないと思うし。

西村:
天気予報見る限り、7月までもうずっと晴れですよ。

増田:
そうなんですよ。9月に入って見直しになるんですけれども、これは相当な議論になるんじゃないですかね。

西村:
そもそも梅雨入り、梅雨明けを発表する意義があるのか。

増田:
これまでもそういう話はありました。季節にうまく線が引けない年もあったんですが、今回はちょっと次元が違う。

今年の梅雨は次元が違う
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今年の梅雨は2シーズン制になりました

林:
梅雨って1か月ぐらいまとまった雨が降るものだったのが、分散しちゃってるんですね。

増田:
5月の下旬に雨が降っていた。次に仮に7月にまた梅雨空っぽいものが戻ってくるとして…じゃあ6月ってどういう扱いなんだ?

林:
本来の梅雨の6月を避けている。2部制になっちゃった。

増田:
これまでの梅雨は1シーズン制だったんですけどね。

林:
2部制になりました、っていう発表だったらおかしいですね。

増田:
梅雨シーズン1、シーズン2がありまして、シーズン1はここ、シーズン2はここみたいな。

スケジュールはあくまでイメージです

林:
ネットフリックスのドラマみたいな。

増田:
そうですよね。

AIに書いてもらった梅雨Season2の予告画像  

林:
ドラマはシーズンを重ねると派手になりますが、梅雨の新シーズンもそうですか?

増田:
この時期はシーズンが後ろに行くほど、気温も雨も亜熱帯化していくので、シーズン3ぐらいまで行くと相当で。

林:
でかいモンスターが出てくる。

林:
話を元に戻すと、「今年の梅雨は違う」は信じていい。

増田:
今年の梅雨は違います。これまでの梅雨の概念に当てはまらない可能性がある。
すごく短い、もしくは2シーズン制、1シーズン制だけど梅雨の中休みが3週間ほどありしかも高温でしたとか。本当に今までにないような梅雨になる。

林:
ハーフタイムショーがすごく長いみたいな。

増田:
ゲームは前半、後半、10分、10分なのにハーフタイムショーが1時間。

西村:
ずっと晴れているのは太平洋の高気圧がぐっと上がってきてるからですか?

増田:
そうです。ひまわりの画像で見ると梅雨前線が北にあります。 

太平洋高気圧が梅雨前線をおしあげている

林:
じゃあ北日本は雨が降る。

増田:
そうなんです。一か月予報だと雨が少ないのは西日本、東日本、関東から西の各地なんですが、北日本は雨の量が平年よりも多いと出てるんです。 

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