11月にも夏日の可能性
林:
11月の気温はどうなるんでしょうね。去年の東京の11月の気温を見ると、ちゃんと下旬から寒くなってるんですね。
増田:
最高気温が高い日はありますが、極端ですよね。高めのベースの中で、ガクッと下がってるのは雨の日なんです。これが秋の後半から冬 の1つの特徴で、雨が降ると寒い。曇っても寒い。
林:
上がるのは晴天の日ですね。
増田:
そうですね。
林:
今年もこんなですかね。
増田:
こんなんだと思います。基本的には気温が高く、雨や冬型の気圧配置になる日はガクンと下がる。でも寒いのは一時的で、冷たい空気は抜けていく。
11月上旬から半ばにかけて、最高気温が20度を超える予想の日も結構ありますから、ちょっと上振れすれば、25度以上の夏日なんていう話が出てくるかもしれない。
林:
去年も夏日がありました。11月24日に24度。ちょっとびっくりしますね。
増田:
今まで東京で一番遅い夏日は11月16日です。1975年ですね。
林:
意外に古い。でも、去年の夏日の記録も今年、更新しちゃいますかね。
増田:
今年の10月には、真夏日(最高気温30度以上)の記録が更新されましたし、夏日(最高気温25度以上)も更新されてもおかしくない。気温のベースはおそらく高いので、何かのきっかけで 上がっちゃうことはあるかもと。
珍しい雲「ロープクラウド」が出ました
林:
11月2日、沖縄に珍しい雲が出ました。
増田:
素晴らしいですね。これ、時々出るんです。ロープのような雲、「ロープクラウド」。
岡田:
そのまんまや。
林:
これは空気の境目ですか?
増田:
はい。寒冷前線です。空気の境目で、南風と北風がここでぶつかってる。
西村:
空気の塊の端っこの形がそのまま出てるんですね。
増田:
そうなんですよ、ここでピタっとぶつかってるわけですよね。
西村:
船でこの雲の下に行ったら、ロープみたいな雲が見えたりしますかね?
増田:
うーん、幅が10~20kmはあるでしょうから、ただ曇っているだけに見えるでしょうね。雲が抜けて晴れるタイミングになると、その雲の後ろの端が見えたりはすると思います。
林:
この雲をまたぐように船で移動したら、「さむっ!」「あったかっ!」と、気温差が分かりますかね。
増田:
分かるかもしれませんね。11月2日の那覇の気象台の気温と風向を見ると、通過したタイミングが分かりそうですね。
調べてみると……朝6時まで南南西の風だったのが7時には北西の風に変わって、雨が降り始めています。気温は2度ほど下がっていますね。
この前線、6時何分に那覇の気象台を通過したんでしょうね。1分ごとの観測値、残っているかな……。おっ! 6時33分まで南風だったのが、34分ぐらいから北風に変わっていますね。6時36~37分に気温が下がって、西北西になってきてる! その瞬間を味わった人は素晴らしい!
岡田:
何の瞬間ですか?
増田:
空気が変わる瞬間! 6時36~37分にちょっと空気が変わり、急に寒くなったぞと。
気温は、6時36分に27.8度だったのが、その後3分間で1度ぐらい下がってる。
林:
エアコンみたいですね。
西村:
これは興奮ものですよね。
増田:
理科の教科書になりそう。
林:
この風向きと気温一覧を見てください。何があったんでしょうか?
増田:
「寒冷前線が通過した」
11月に台風は来ますか?
増田:
11月2日土曜日、夕方の東京はどしゃ降りでしたよね。温帯低気圧に変わった“元台風”の影響でした。11月であれだけ降るとは、台風はさすがだなと思いました。
岡田:
台風がまだ日本列島に来る可能性はありますか?
増田:
台風は発生はすると思いますが、冷たい空気にはばまれて、北に行けない状態。日本列島には基本的に来ないと思います。
ただ過去の歴史を紐解くと、1990年11月30日に台風が和歌山に上陸し、そのまま本州を突っ切ったことがありました。今は30年前より11月の気温が高くなっているので、そういうことが起こってもおかしくない状況にはあるんですよね。
岡田:
“元台風”みたいな。さっきのやつは結構まだ来る。
増田:
それはあると思います。豪雨もそうですね。あと、風が強まったりとか。
2004年の12月4日・5日は、台風が沖縄のすぐ近くで熱帯低気圧に変わり、それが別の低気圧に取り込まれて、爆弾低気圧と言われるほど急発達しました。その時は大雨と風が相当吹いていて、気温の変化もすごかったです。
気圧が低いと、スピードスケートで記録が出る
増田:
その日は夜勤で、覚えてるんですよね。 2004年の12月5日の朝4時まで東京は気温が8度ぐらいだったのが、朝5時に21.6度になってます。すごい。忘れられないですね。
林:
すごい。低気圧の気圧968hPaって、めちゃくちゃ低いですね。台風並み。
増田:
この日、スピードスケートのワールドカップが長野で開かれていて、新記録が連発したのですが、男子500mで優勝した清水宏保選手が、その後のインタビューで「記録が出ると思ってました」っておっしゃったんです。「発達した低気圧が来て気圧が下がるのがわかってたので、レース前から良い記録を予想していた 」と。
気圧が低いということは空気が薄い。つまり空気抵抗が少ないので、それだけスピードが出やすくなるという緻密な世界らしいんですよ。びっくりしましたね。
さすがだなと思いました。
岡田:
いま調べたら、自転車競技の選手も気圧を意識しながら戦っているみたいです。
林:
スポーツ選手、天気をすごく気にしてますね、
10月のクイズの回答
正解:11.5度
林:
ピッタリの人がいました。ぎがんちゅさん、素晴らしい!
ぎがんちゅ | 11.5度 | 例年より高い日が続いているので、せめて1日くらい平年を下回ってほしい! |
akko | 11.4度 | 昨年と同じ位かなと思いました。ずっと暑かったぶん11度でも寒ーく感じそう。 |
マンゴープリン | 11.4度 | まだ暑い日があるのでそんなに気温は下がらないと思います。なので昨年とピッタリ同じと予想しました。 |
増田:
すごいですね。私のヒントの出し方が良かったのかな。
林:
11.4度の方も。みんな、微妙な数字で当ててきて、すごいですね。
11月のクイズ
回答はこちらから
林:
11月は暑くなりそうですね。
増田:
気温は基本的に高めですが、雨が降る日は要注意。
林:
10度を切ったらコートですよね。
増田:
はい。覚えて頂いてありがとうございます。
西村:
あれ? 何でしたっけ? 冬……
増田:
「冬コー父ちゃん」です。10度を切ったら冬コートの出番、という。「半袖兄さん」(23度が長袖と半袖の境目)より語呂がいまいちで……微調整が必要ですね。
最初「冬コー父さん」にしてたんですけど、10度じゃなくて13度と勘違いされやすいねと。
西村:
なるほど。面白くすればいいだけじゃないと。
増田:
参考までに、去年の11月は気温が高かった。でも、最低気温は5.3度まで下がっていますね。 2022は7.7度、2021年は3.8度、2020は5.2度、2019年は1.6度。
林:
2019年の低さがすごい!
増田:
平年で言うと、11月最終日の平年の最低気温は6.4度です。
岡田:
去年は平年より低いんですね。
増田:
今年の11月のコンピューターによる気温予想をざっくりお伝えしておきますと、 平年よりだいぶ高そうです。
林:
いいグラフですねこれ。
岡田:
何が?
林:
いや、この……なんかこれいいですね。いっぱい書いてあるの、いいです。
岡田:
コンピューターってどれぐらい賢いんですか。
増田:
相当賢いですよ。
岡田:
予測数値を外す可能性はどれぐらいあります?
増田:
一発逆転はあります。雨が降ったらガーンと気温が下がったり、極端なケースだと、2016年11月24日は東京で雪が積もり、この日は0.9度まで下がりましたね。
岡田:
コンピューターはそういう予想は苦手なんですか?
増田:
そこまでは無理ですね。前日なら分かりますが、何週間も前に、この日に低気圧が来て雪が降る……までは予想できません。コンピューターは、上空の主に1500mぐらいの気温から予想しているので。
林:
11月の最低気温、きっと高いですよ。 平年が6.4度で、コンピューターがそんなに外さないってなら、平年よりプラス2~3度ぐらいじゃないですか。でも明日あさって(11月7,8日)の予想最低気温が8~9度だから……7.8度! 2022年が7.7度で、「そこまでは冷えなかったな」ってなる。
岡田:
私は6.5度で。9月の最高気温を当てた人が平年プラス0.1度でした。それを見て、10月の最低気温も平年プラス0.1度(11.8度)にしてみたら、かなり近かったので、その手法を続けていきます。ちょっと自信があります!
西村:
私は4.3度ぐらいとしておきましょう。
増田:
おおっ、結構グイっと来ましたね! 根拠的なものは。
西村 全くの勘です。
増田:
西村さんのカンピューターで。
岡田:
カンピューター! 昭和ですね。
でも、そこまで寒くなってほしくないんだよな。11月、秋だし。
増田:
秋を楽しめたらいいですよね。