関ヶ原は日本列島の細いところだから風の通り道になる
林:
今さらですけど天気図って暖かい空気・冷たい空気は見えないんですよね
増田:
なかなか見えないです。冬の場合、分かりやすさで言うと縦縞の冬型で冷たい空気の流れが分かる。2005年12月は縦縞ばかりです。
林:
おー
増田:
翌月にかけて平成18年豪雪と言われた冬で。このときに書いた記事のタイトルに「歴史的豪雪」って書いたんですよ。次々とまさに千本ノックのように寒気が来て。
林:
この縦縞のあいだで空気が流れるんですね
増田:
こういう感じになるんです
林:
まっすぐではなくてちょっと曲がる
小林:
ひまわりで見ると分かりやすいかな
増田:
高気圧のところに雲がないです。そこから風が低気圧の方にふぅーっと吹き出している。
林:
この曇は風向きと思っていいですか?
増田:
そうです上空1000mから3000m、4000mくらいの風向きがまさにこうなっているという感じですね
林:
海峡のところから出ているのは理由があるんですか?
増田:
もちろん。海の上で発生するタイプの雲なので海の上を渡っている間にどんどん水蒸気をゲットして、どんどん雲ができていくということですね。
西村:
分かりやすい
増田:
なのでこういう海や陸の細いところを抜けていくんです。よく「関ヶ原付近の大雪の影響で東海道新幹線に遅れが出ております」とかいうのがありますけど、関ヶ原というのは若狭湾から伊勢湾にかけて陸が細くなっているので、そこを雪雲がちょうど抜けていくんですよね。
その最中に関ヶ原周辺がある。なのでそこでどかどかと雪が積もってしまう。
増田:
あとは関門海峡です。普通太平洋側って晴れることが多いですけれども、愛媛とか高知の西部とかは雪雲が抜けてきて雪が積もることがあるんです
林:
海が近いと雪雲が入ってきちゃうんだ
高層天気図なら空気の温度がわかるけど、むずかしい
林:
高層天気図を見れば冷たい空気ってわかるんですか
注)上空の気象状態を示す天気図。気象庁のサイトで見られます。DPZ読者だったら好きなはず。
増田:
高層天気図で上空の1500m付近の天気図を見ると、上空1500mぐらいで-6℃っていうのが地上で雪になる目安、とかよく天気予報で言ったりするんですけれど。1500mっていうのは850hPa。
林:
さっぱりわからない
増田:
気象予報士試験に挑戦するとき、実技試験でこれが出てくるんですよ。
林:
そもそも日本列島はどこだ?
西村:
うっすら書いてある?
増田:
見慣れないと大変ですよね。試験勉強を始めた時は何が何かわからない。
上空5000mぐらいで-30℃ぐらいの寒気がやってくると、雪が降る。-36℃ぐらいだと大雪が降る。
林:
この線は何mの高さになるんですか?
増田:
5000m付近のと3000m付近のが重なってるんですよ。なかなか頭の体操でしょ
西村:
これはむずいですね
林:
これ、レイヤーに分かれているんだ。今5000mくらいから見下ろしているイメージで。近い方が線が濃いんだ
西村:
しかも気圧じゃなくて温度の線ですね
増田:
温度と湿りの線。なかなかでしょう
西村:
気象予報士はわかるんですね
増田:
わからないと試験に合格できないから
太い線が上空5000mくらいの気温。縞模様が上空約3000mの湿っている所で白い部分が乾いている所。
西村:
よくわかりますね
増田:
最初見慣れないとですけど、パッと見た瞬間にこの辺天気悪いんだなと分かっちゃう。これを見てどういう現象か、こういうとき何が起こるかを言葉にまとめるのが気象予報士の仕事ですね