特集 2023年7月13日

最高気温トップ20はもうすべて40度以上~気象予報士増田さんの詳しすぎ天気解説 7月

晴れと雨の理由を深掘りする詳しすぎる天気予報。
今月のトピックはこちらです。
・今年の梅雨はしっかり雨が降ってます
・まだ梅雨が明けてないの?というのも毎年恒例
・梅雨明けは高気圧と世論に押されて
・7月に高温になるかどうかは雨しだい
・台風ってなんで通り過ぎるとカラっとするんですか
・最高気温トップ20はもうすべて40度以上
(インタビュー・構成:デイリーポータルZ編集部 林)

1977年滋賀生まれ。お天気キャスター。的中率、夢の9割をめざす気象予報士です。 好きな言葉は「予報当たりましたね」。株式会社ウェザーマップ所属。
ツイッターでも気象情報やってます。(動画インタビュー)

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> 個人サイト ウェザーマップ・増田雅昭 ツイッター @MasudaMasaaki

今月のメンバー。西村さんは自動車教習のためお休み

今年の梅雨はしっかり雨が降ってます

林:
6月の東京、雨少なかったですよね。
増田:
いや、こんなものですよ。
林:
え!こんなもんですか。
増田:
だって、関東の梅雨というのはそんなに量はないんですよ。基本はしとしと雨が多いので。

いや、こんなものですよ。

林:
これが関東の梅雨ということで、いいんですかね。
増田:
僕はこれでいいじゃんと思っていたら、やたらTwitterのリプライとかで、梅雨っぽくないですよねっていうのがすごく来るんですよ。やっぱそう思います?
林:
そう思います。梅雨っぽくないっていう声も多い気がするんですよね。
増田:
なんだろうと思って。でも、東京だけで言うと、1mm以上の雨が降った日は6月で16日、つまり半分あるんですよ。ほんと1mmにも満たないちょろっとも含めると24日だったかな。

6月の東京の降水グラフ(気象庁ホームページより)

林:
じゅうぶん降ってるんですね。
増田:
けっこう降ってるんですよ。降水量的には東京だったら6月7月平年の2ヶ月分ぐらいの雨がすでに超えてますからね。ダムの貯水率も100%だったかな。
林:
実際の天気とイメージの違い、みたいな。
増田:
ひとつ考えられるのは雨が降ってる時間が夜が多かった。夜行性の梅雨みたいな感じになっちゃっていたから、みんなの印象には残らなかったのかな。

まだ梅雨が明けてないの?というのも毎年恒例

林:
6月の下旬とか7月に入ってから夏日が多くて、梅雨が明けた?みたいな話をちょいちょい聞くんですけど。
増田:
6月の下旬、終わりから7月に晴れ多くない?梅雨明けなんじゃないの?まだ?っていうのは毎年なんですよ。
林:
そういえば!
増田:
梅雨明けというのも、ここまで雨〜ここから晴れ〜とスパーンと明けるわけではなくて。曇り・雨にだんだん晴れが混ざってきて、晴れが混ざってくる割合が増えてきて、梅雨明けだよねというのが季節ですから。
なので梅雨の後半は当然晴れの日が増えてくるというのは当たり前で、毎年こういう解説をしなくちゃいけなくて。
林:
そういえば去年も同じパターンでした。
増田:
ですね。
林:
梅雨が明けてから雨が降って「梅雨が明けてないんじゃないの~」なんて言うのも。
増田:
それも毎年。晴れの割合が増えてきて、梅雨が戻ってくるのがわかっていても梅雨明け発表をせざるを得ない。去年もそうですよね。
林:
気象庁の梅雨明けって世論に押されて決めている感じもありますね。
増田:
気象庁に違うって言われるのではっきり言えないですが、世論は感じつつでしょうね。

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梅雨明けは高気圧と世論に押されて

林:
梅雨前線はどこに?
増田:
梅雨前線は、だいぶぼやってきてますね。ここまで気温が上がって暑いし晴れる日が続いてるし発表すると思いますよ。世論に押されて。

(対談収録時のひまわり衛星画像)

林:
世論と高気圧に押されて。
増田:
うまいですね。それ見出しとかやめてください。「梅雨明けは 高気圧と世論に押されて発表される」が見出しとか。まだ一応これでも気象庁に呼び出しくらってないですから。
林:
去年は梅雨明けを9月に訂正しましたが、今年はまだわからないですね。
増田:
今年はどうだろうな。ひとつ心配なのはエルニーニョが発生してるんですよ。で、エルニーニョが発生していると、不順な夏になることが多いので、そうするとそのあと梅雨明けしたはいいけれど、どっかでけっこう雨の日多いじゃん?って、そういうのが戻ってくると悩ましいですね。

高温になるかどうかは雨しだい

林:
7月は梅雨があけたらモリモリ暑くなりますか?
増田:
暑くなりそうですね。晴れれば普通に暑くなる。
林:
今年の夏はちょっと違うぞということもなく?
増田:
これが読めないですね。33℃とかは当たり前に行くんでしょうけど、今の予想よりもずっと晴れが続いてしまったら、じわじわ気温が上がっていって、東京で連日35℃以上、内陸で40℃とか、そういう可能性だってありますし、今の時点では見えないですね。
林:
うわー
増田:
ほんとに雨が戻ってくるかどうかです。戻ってこなければ、特に7月後半とか8月の頭なんかはガーンって上がっちゃいますから、適度に雨が戻ってきてくれると一回一回ブレーキをかけてくれるというか、リセットしてくれるので。
林:
雨次第?
増田:
雨次第ですね。記録的高温が出るとき、日本記録が出るときっていうのは「こんなに連日晴れが続くとは思わなかったね」ってことが多い。
高温出そうとわかるのは1週間以内になってからなんですよね。
林:
雨は何次第なんですか?
増田:
雨は夏の高気圧の強さと弱まった梅雨前線が戻ってくるかどうか。
林:
梅雨前線がまだ北にいるんですね。
増田:
梅雨明けして消えたと思っても梅雨前線の亡霊みたいなものがいて、それが夏の高気圧が弱まったタイミングでスーッと南に下りながら姿を現してくることがありますから。それが時々あるとそんなに記録的な暑さにならない。

増田:梅雨前線の亡霊みたいなものがいて、それが夏の高気圧が弱まったタイミングでスーッと南に下りながら姿を現してくる

林:
雨で温度ってわかりやすく下がるんですよね。 

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