15階に住んでいると乾燥した
林:
西村さんから質問です。
西村:
「乾燥」がよくわからなくて。ただ東京に来て、マンション15階ぐらいに住んでた時は皮膚がガサガサになって、皮膚というか顔もひっぱられる感じがしたんです。1階と15階で湿度の差って体調でわかるぐらい差が出たりするものなのかな。
増田:
その視点はなかったですけど、おそらく乾燥の差は出てると思います。
西村:
15階ぐらいで?
増田:
その差はあるんですよ。なぜかと言ったら水って下に行くから。川も海も水気のものは基本地表にあるわけですよね。地面に近いところのほうが湿気がたくさんある。海や川だけじゃなくて、木や土の中にも水分があります。
つまり、上に行けばいくほど多くの水分から離れていくので乾燥しやすくなりますよね。
西村:
鼻がガビガビになるんですよね。なんか。
林:
乾燥に注意って火事を出すなよということだと思っていたんですけど、西村さんみたいに乾燥してることが皮膚でわかる人もいる。
増田:
いらっしゃいますよね。秋や冬に乾燥してきて困るという敏感な方が。
西村:
個人差があるんですね。
林:
おれは乾燥を感じたことがなくて。
増田:
僕はあまり感じないほうなんですけど、滋賀県から関東に出てきたときの冬。お風呂上がりに初めて背中が痒くなって、これがCMとかで言われている乾燥か!って感動がありました。
西村:
風呂あがったあと、適当に拭いて服着ずにいたりすると痒くなりますね。
増田:
日本海側、雪国ではあまりならないと思うんです。
西村:
上京して初めてなんですよ。乾燥してるって。
増田:
上京して初めてでした。背中がかゆいって
林:
日本海側は湿気が多いんですか?
増田:
冬は雪や雨の降る日が多いですし、そんなに乾燥してないんですよね。
西村:
平屋に住んでたら、湿度がわりとあるってことですよね。
小林:
地下室とかジメジメしてますよね。
シベリアからの寒気にとっては日本海は露天風呂
増田:
前に新潟県で講演をした時に、新潟は乾燥しない県で売り出すべきだと話しました。
西村:
だから肌がきれいになると。
林:
乾燥しないのは、シベリアの寒気が日本海の湿気を運んできているからなんですね。
西村:
つなげるとそうですよね。
増田:
もともと冬の空気というのは湿気が相当少ない。なんでかというと、飽和水蒸気量の話で、気温が低くなるほど含むことができる湿気が少ない。だからシベリアとかはマイナス何十度の空気のところは、湿気がかなり少ないわけですよ。
林:
もともとのキャパが少ない
増田:
しかも北極の方から来る時にシベリアとか大陸を通るので、カラカラの状態で来るわけですよね。ところが日本海を渡ってしまうので、そこで一気に水分を補給してしまうんですよ。
林:
冷たいカラカラの空気が。
西村:
質問いいですか?めちゃめちゃカラカラになった空気というのは、飽和水蒸気量が低い状態なんですよね?カラカラというのは元来含められる量さえも含んでないぐらいの空気がくるということですか?
増田:
そうです。もともと含むことができる量は少ないんですけど、それにも達してないということですね。イメージとしては、ちっちゃい箱の中が湿気いっぱいになっていたら霧か雲ができているわけなんです。できてないということは箱いっぱいに入ってない。
西村:
海の上で、そのちいちゃい箱の中に入るということですね。
増田:
日本海は露天風呂みたいなものなんです。気温マイナス30℃の空気にしてみれば。海面水温が十何度かあるので、あったかいんですよ。
注)12月の日本海の海水温は10度台。
十何度なんてマイナス30℃とかの空気にしてみればお風呂ですよ。暖かいからそこで飽和水蒸気量が増える(含むことができる量が増える)んです。一気に箱がでかくなったところにどんどん暖かい水分が補給されるから、雪雲がモクモクできちゃうんです。
西村:
飽和水蒸気量も上限が増えて
林:
しかも下から湯気で供給される
増田:
12月って日本海がまだあまり冷めてないんですよ。寒気が何回もやってくるとさすがに冷めてくるんです。
ところが12月にまだ1回とか2回しか寒気が来てない時はまだ秋のような暖かさ。もう暑い露天風呂状態で、湯気というか、雲になりやすいわけですよね。いっぱいモクモク。大量の水蒸気が供給される、だから12月の最初って意外と大雪になるんです。
林:
開店直後みたいな銭湯で熱々
西村:
温度が調節されてない
増田:
そこでたくさん水蒸気を仕入れて雪がドバっと降る
林:
日本海の土地で落として肌がきれいになる。
西村:
秋田美人の誕生
林:
そこで西村さんが乾燥を知らずに育って。山越えて東京に来て
西村:
風呂から出てかゆくなる。
西村:
からっ風ってやつですね。乾燥した強い風が吹く。
増田:
からからになったからっ風が吹いてくるから太平洋側は余計に乾燥してしまう。
増田:
しかも、東京は水分を蓄えてくれる土とか緑が他に比べて少ないですから。
西村:
さらに上に住んでたりすると、余計にということですね。
増田:
天気予報で言おう!特に高層階にお住まいの方はって乾燥しやすいって。
林:
西村さん、太平洋側・土が少ない東京・高層階と3つ揃ってる。
西村:
鳥取は環境が全然違う
林:
日本海側・緑豊か・平屋
西村:
じめじめしてますけど
佐渡ブロックがあるので新潟市内は雪が少ない
増田:
新潟は唯一県庁所在地で湿度が10%以下になったことがないんです。
西村:
しっとりしてるということですね。常に。
林:
厳しい豪雪地帯というイメージだったのですが、いいところなんだ
西村:
新潟市街にはあまり雪が降らないんですよね。
増田:
佐渡ブロックですね。
増田:
日本海から雪雲が来るじゃないですか。新潟市が佐渡の影になるのでそこで雪雲が分かれて、新潟市は意外と降らない。
林:
佐渡は山が高いんですか?
増田:
そんなに高くないですけど、ひまわりの雲の画像を見ているとキレイに。ここ佐渡があって、これだけあくでしょ。
西村:
ほんとだすごい。
増田:
まわりはドカ雪なのに、ここだけあいて新潟市。
林:
佐渡はガンガン雪が降ってるってことですか?
増田:
そうですね。
西村:
あと横に避けた上越とか、山古志とかあっちのほうに。
金髪女性の髪で湿度計を作っていた
西村:
具体的にどれぐらい湿度が違うのか知りたくて湿度計買ったんですけど、ずーーっと30をさしてて
林:
壊れてるんじゃないですか
西村:
ちゃんとした湿度計が欲しいな。湿度ってどうやって測ってるんですか?
増田:
今の気象庁のオフィシャルの湿度計は電気を通して、湿気によって電気がどう通るかが変わるのでそれによって湿度を割り出してますね。昔は髪の毛ですから。人間の。
西村:
髪の伸び縮みでってことですか。
小林:
金髪がいいって言ってましたね。
増田:
フランスの金髪女性の髪が一番良かったみたいですね。
小林:
ほんと??
増田:
真面目な話、金髪の女性の髪の毛が一番湿度にいい反応だったらしくて。
林:
湿度が高いと伸びるんですか?
増田:
伸びます。
西村:
乾燥するとちょっと縮む。
増田:
一説には、湿度が0%から100%に変化すると1%髪が伸びるって言われますね。10cmだと1mm伸びる。
西村:
1mとか長い人だと1cmぐらい伸び縮みする。
増田:
0〜100%の湿度変化はないですけど、気象庁でも平成の最初ぐらいまで一部で毛髪湿度計が残っていたみたいですよ。
西村:
人毛の湿度計。
増田:
新田次郎が書いた『毛髪湿度計』っていう小説があるんです。戦時中でだんだん金髪の毛が輸入できなくなって湿度計の開発者の人が困るという話で。
西村:
プロジェクトXみたいな話ですかね。
増田:
開発者は、この日本人女性の髪の毛ならいける!と、後ろをついて行ったら変質者扱いされて…という苦労話も書いてありました。
西村:
同じ新田次郎で、織田信長につかえていた天気予報のスペシャリストみたいなおっさんがいて、嫁をもらったら、天気がことごとく外れるようになったって小説もありました。
なんでかって言ったら、締めてたふんどしの湿度を感じて天気を予測していたと。
で、嫁さんがふんどしをちゃんと洗うようになったら天気が外れるようになったという。湿度ってけっこう重要なんですよね。
増田:
湿度ですよ。湿度重要なんですよ。
林:
雨が降るか降らないか
西村:
もとは湿度ですもんね。
増田:
湿気が多い季節は、雨雲が急にできたりして、どうしても予報の信頼度が低くなっちゃいます。
湿度が低くていい季節になってきましたね。って言うと乾燥で苦しんでる人に怒られそうですけど。
西村:
乾燥すると。加湿器がほんとにありがたくなる。六本木ヒルズのグーグルに言った時に感動したんですよ。でかい加湿器があって。やっぱり湿度、加湿しないとだめだなって。
今日は気温が関係ありませんでしたが12月の問題はこちらです。
2021年12月 月イチ天気
その1 気象予報士は11月に夏休みをとる (2021.12.15公開)
その2 人が活動しなくなると気温が下がる(2021.12.16公開)
その3 佐渡があるから新潟市内は雪が少ない(2021.12.17公開・この記事)