今年は順調に冬型になっています
林:
まずは11月の振り返りから。きれいに気温が下がりましたね。
増田:
下旬になってガクッと。先月前半の時点で、誰かが11月後半寒くなるって誰かが言ってましたよね。誰だったかな~。
林:
はい、増田さんの言うとおりでした。順調に冬型になったということですか?
増田:
季節の進みが順調でした。それをコンピューターが予想していて、そのとおりになった。きれいなパターンでしたね。
林:
11月28日と30日に11月の最低気温3.8℃を記録しました。
西村:
暖かいのと寒いのを繰り返してだんだん寒くなっていくという感じでしたね。
林:例年通りの西高東低の形ですか。
注)もうこの連載も2年目なので、冬型は西高東低の形である前提で話をすすめてます。
増田:
例年通りのパターンが始まってますね。年によっては12月前半って冬型にならない、寒気がこないって騒がれることはありますけど、今年は順調に冬っぽく。
林:
増田さんのストレスもなく
増田:
イレギュラーのことが、ちょっとは起こってくれないと(笑)
気象予報士は11月に夏休みをとる
林:
11月の予報は簡単でしたか?
増田:
簡単でしたね。11月は平凡な季節というか、夏休みを10月の終わりとか11月にとる気象予報士は多いですね。
林:
何もないから?
増田:
何もないから。10月の前半まではまだ台風が来るじゃないですか。10月の終わりから11月は台風など荒天がないから、気象予報士が絶対いなければいけないというのが比較的少ない。なので、そこで取る人が。
西村:
雨がすごく降る季節でもないし、雪が降るとかでもないですし。
林:
台風が来た時って呼ばれるんですか?非番でも。
増田:
今は減りましたけど、昔は夏休みでも呼び戻されてる人もいました。自分で諦めて観念してどこかに行くのを辞めた、途中で早めに切り上げて帰ってきた人もいますね。
今は逆に、夏休みの途中で来ないでくれって言われますね。休みを切り上げさせたとみられるのが良くないんでしょうね。時代が変わってるな。
林:
「夏休みですが台風来たから来ました!」って番組に来られても困る。
増田:
昔は来てあたりまえでしょっていう感じだったけど。
林:
番組で語りたい気持ちはあるんですよね。
増田:
それはありますね。すごくあるけど。今は行けない。
20日すぎから寒気が来そう
林:
12月の展望ですが
増田:
12月20日前後からどどっと寒気が来るタイミングがきそうです。
林:
シベリアから。
西村:
強い感じですか?
増田:
けっこう強い感じです。12月20日前後から下旬にかけて。
林:
今溜まってるんですかね。
注)シベリアで寒気が溜まって溜まって漏れ出したものが日本にやってきて気温を下げます
増田:
小出しはしてるんですけど、大出しはしてないので。だんだん溜まっていくんでしょうね。その大出しのタイミングが20日前後から下旬。そうなるとどうなるか!
林:
寒くなる!
増田:
寒いですし、日本海側で大雪が起こるということが出てくるでしょう。あとは寒気で寒くなったところに低気圧が現れると、関東で雪が!太平洋側で雪が!って話も。
注)シベリアの寒気と南からの低気圧(南岸低気圧)が揃うと関東で雪になる。
林:
寒気は長期で予想できているんですけど、南岸低気圧はわからないんですか?
増田:
わからないですね。1週間前くらいならわかるんですけど、2週間先までいくとわからないです。
なんでかというと、寒気って何千キロっていう大きなスケールなんです。大きいスケールは遠くから見えるように時間的に遠くても見える(予想ができる)。
低気圧は寒気に比べると大きくないので、2週間前とかだと低気圧が見えない。
林:
南岸低気圧が来て、雪が降るかも。
増田:
その可能性はあると思うんですけど、近くになってみないとわからないですね。
温帯の天気はだいたい暖かい風と冷たい風のせめぎあい
林:
南岸低気圧はどうして発生するんですか?
増田:
普通の温帯低気圧なので北側の冷たい空気と南側にあったかい空気があって、その間で混ざって発生します。
林:
「暖かい風と冷たい風が混ざって風が強くなって低気圧ができる」って話、毎回登場しますね。
増田:
温帯ってそれなんです。暖かい空気と冷たい空気は、温度差を解消するために混ざらないといけない。そうやってかき混ぜられることが風の流れであり、渦であり、低気圧であるっていう。
西村:
雲もできる
増田:
これが天気の基本の形。
ラニーニャで日本が寒くなるわけ
林:
先月の気温当てクイズで「ラニーニャだから」と低い温度を予想している人がたくさんいました。
西村:
ラニーニャが発生すると寒くなる。
林:
ラニーニャというのは海水温が下がることですよね?
増田:
そうです。下がる。太平洋の東の方で。
林:
下がるとどうなるんですか?
増田:
上昇気流が起こる場所が太平洋上で変わってくるんです。太平洋の東側が海水温が下がって、太平洋の西側で上がりやすくなる。
増田:
ラニーニャ現象が発生すると、インドネシアのほうで上昇気流が起こりやすく、もくもくと積乱雲がたくさん発生します。それに伴い、インドネシアの北の方で暖かい空気が拡大していきます。
日本付近は上空を偏西風が流れていますね。偏西風って何かというと、暖かい空気と冷たい空気の境に吹く風なんです。
南の暖かい空気が拡大していくと、ほぼまっすぐに流れている偏西風が、暖気に押されるようにこうなる(蛇行のゼスチャー)わけですね。
西村:
蛇行が大きくなる。
増田:
波なのでこっちが盛り上がっちゃったら、こっちが下がらないといけない。
西村:
下がったところに寒い空気が。
増田:
すべり台のようにスーーーっと寒気が。
西村:
スポって入っちゃう感じですね。
林:
それで寒くなる。ラニーニャが日本の天気につながった。
増田:
数日か1週間ぐらいだと、たいして影響がないけど、この流れが2〜3週間つづくと大雪になったりして、インパクトありますから。
林:
へえええ。いま僕は驚いてますが、この予想を送ってくる読者はみんな知ってるんですよね。読者のレベルの高さ。
先月の問題「東京の最低気温」をズバリ当てた人がいます
林:
先に先月のクイズの答え。正解は3.8℃だったんですけど。
西村:
ズバリが!
回答:3.8℃
ラニーニャ現象が発生したとの発表があったので、少し低めに。
林:
トマトさん!
増田:
11月の下旬は平年で6〜7℃ぐらいですが。
林:
トマトさんおめでとうございます
増田:
すばらしい。みんなのレベルが上ってきてる気がします。
増田:
先月のお二人の答えってどうだったんですか?西村さん3.5℃。すごいじゃないですか。
西村:
もう0.3℃。ヘヘヘ。
増田:
林さんは2.4℃。
林:
極端な数字を言いがちですね。
12月も東京の最低気温を予想してください
林:
12月も最低気温にしましょうか。12月はまだ一番寒い時期ではないですよね。
増田:
1月〜2月の初めぐらいですね。
西村:
雪が降るぐらいかもしれないっていうのもあるので、わからないですね。
増田:ここ数年の12月の最低気温ですが
2020年 -0.6℃ (12月20日)
2019年 2.2℃(12月29日,12月8日)
2018年 -0.7℃(12月29日)
2017年 -0.2℃(12月18日)
2016年 0℃(12月17日)
西村:
けっこう幅がありますね。
林:
2019年の2.2℃が高いほかはだいたい0℃ちょっと。
林:
僕はマイナス1℃にします。
西村:
じゃあ。1℃。1℃だと雪降らないですか?
増田:
雪が降ったらさすがに氷点下ですね。みぞれでも初雪扱いなんですけど、それぐらいの雪だったらプラスの気温のまま終わる可能性も。雪が積もったとなると、さすがに氷点下になりますね。
西村:
1℃にします。
あしたは社会の活動が気温の変化に影響を及ぼすという話なので、それを読んでから回答するのがおすすめです。
2021年12月の月イチ天気
その1 気象予報士は11月に夏休みをとる (2021.12.15公開・この記事)
その2 人が活動しなくなると気温が下がる(2021.12.16公開)
その3 佐渡があるから新潟市内は雪が少ない(2021.12.17公開)