予想通りになった5月
増田:
曇りか雨の日が多くて、5月ってこんなに晴れないの?と話題になるとお伝えしていたんですが、その通りじゃないですか?(笑)
西村:
そうですよね
増田:
梅雨の走り以上に梅雨っぽくなるんじゃないか、と言ったけど本当に梅雨のようでしたね。
西村:
関東ってまだ梅雨も入ってないですよね
増田:
東海から西の各地は梅雨入り発表しました。けれども、ちょっとやっちゃったかな、という感じに思ってるんじゃないですかね?
林:
ちょっと早かった?
増田:
結局5月の終わりから晴れてますからね。難しいですけれども。
林:
6月は関東も梅雨入りますよね。
増田:
入ります。6月の中旬には入るんじゃないかなと思いますね。たぶん6月の10日11日ぐらいだと思うんですけども、この記事の公開のタイミング的に近いのに外してるとかっこ悪いので6月の中旬ということにさせてください。(笑)
林:
梅雨前線はどこまで来てるんですか?
増田:
梅雨前線は5月の梅雨っぽい天気だったときは本州を行ったり来たりしていて、さらに日本海まであがっていた日もあったんですよ。
いまは1回あがった梅雨前線がまだ南に下がっていって、沖縄とか奄美とか本来の位置に戻っている感じですね。サッカーで言うなら。守備陣がちょっと早めに攻め上がり過ぎたから、やばいやばいって本来のポジションに戻っていくような感じ
林:
わかりやすい。
梅雨は西と東で随分違う
林:
増田さんに事前に聞いたんですが、6月って意外に晴れる日が多いんですね。31%晴れてるという。
増田:
過去30年の6月東京のデータです。ならすと3割ぐらいは晴れているということになります。週に2日ぐらいは晴れる日がある。
林:
年間では6月がいちばん雨が多いんですかね
増田:
東京でいうと実は9月とか秋雨の方が雨は降りやすいし、雨の量も多いんですね。
林:
これは量ですけど、こんなに違うんですね。9月10月
西村:
本当だ。秋の方がよく降る
増田:
台風も絡んだりして9月10月は多くなるんですけれどもね。雨の量。
実は梅雨の東京や関東はそんなに多くの量は降らないですし、梅雨の前半、半ばぐらいまでは雨の降り方も「しとしと」が多いですよね。そして細かい粒で気温が低い日が結構ありますね。梅雨寒という言葉がありますけれども。
林:
関西は違うんですか?
増田:
西に行くと全然違う。大阪ぐらいだと6月が多いんじゃないですか
西村:
ほんとだ
林:
こんなに違うんだ
西村:
福岡は?
西村:
7月がすごい
林:
7月の福岡が多いのって台風ですか?
増田:
いやこれは梅雨です。梅雨の終盤の大雨ですね。
梅雨の印象って西と東で全然違うと思いますよ。
西村:
これめちゃめちゃ社会科で見てテストにも出ましたけど、日本のやつをこんなにじっくり比べたことなかったですね。
増田:
西のほうが量も多いし、雨粒も明らかに大きい。ざーっという降り方で、関東のしとしとっていうイメージは西にはないと思いますね。
西村:
鳥取見せてもらっていいですか。(注:西村さんは鳥取出身です)
林:
あれ?
増田:
日本海側は雪の影響もあって冬に多くなっちゃいますからね。
西村:
冬の方が曇ってて雨や雪が降るっていうイメージがありますね
増田:
小・中学校でこれはどこの雨温図ですかって問題ありますけど、それってだいたい冬の降水量が多ければ日本海側、夏に多かったら太平洋側ですが、一歩すすめて6月、7月に多ければ西だし、9月10月に多ければ東の地域と難しめの問題も作れますね。
西村:
この図で日本のだいたいどのへんかぐらいはわかるってことですよね。すげえ。
八戸は気温が冬場は0℃近くまで下がるっていうのを含めて見れば。
林:
冬の雪が少ないから太平洋側、秋の雨が多いから東北ってことがわかる
西村:
これは面白いぞ
日本は熱帯の空気の墓場
増田:
アジアのモンスーン(季節風)という湿った風がやってきて、インドなど南アジア、東南アジアに雨季をもたらすわけです。その湿った空気が日本にも流れてきて、梅雨になるわけですね。
そう考えるとやっぱり西の方から大量の湿った空気が流れてくるので、どうしても九州とか西の方で雨の量が多くなるし、雨粒も大きくなるし。蒸し暑い。
小林さん鹿児島だから大変じゃないですか
小林:
ほんと雨がすごい降ってるイメージですね。しとしと感はあんまり記憶にない。
増田:
僕は滋賀県でしたけど、本当に梅雨って寝苦しくてしょうがなくて。冷房がなかったんで本当に寝られなくて。そしてカエルがうるさくて余計眠れない。
西村:
うるさいですよねえ。カエルねえ。
増田:
ケロケロケロ…うわーっていっぱい鳴いて、ぴたっと鳴きやむとみんな止まるよね。寝られるかなと思うとケロ…って1匹鳴くとまた広がってうるさくて…。
西村:
田舎あるあるじゃないですか。
林:
梅雨もそうなんですけど、日本って熱帯の空気が息絶えるポジションにあるんですかね。
増田:
そうですね。湿気たっぷりの熱帯の空気がたまって雨を降らせるのが梅雨前線ですけど、それが北に行くほど、つまり熱帯から遠くなると、だんだんぼやけてくる。
北海道にはっきりした梅雨がないのは、熱帯の空気が北まで行けないから。
林:
台風も日本のあたりで温帯低気圧になったりとか
増田:
熱帯の空気の墓場かもしれないですね。
西村:
絶妙な位置ですよね。だから
林:
サルも日本が北限だったりしますもんね。
Yahoo!天気の曇りマークは2種類ある
林:
Yahoo!天気ってウエザーマップさんの情報ですけど、曇りのマークが2種類あるんですよね。
小林:
そうなんですよ。
西村:
あ、ほんとだ
林:
これどこにも書いてなくないですか?
小林:
これがなかなか浸透しなくて、皆さんに知って欲しいんですけど。
林:
グレーの雲が雨の可能性もある雲、白いのが…
小林:
雨の可能性がない雲
西村:
色が濃いのがちょっと雨を含んでいる感じを出している
小林:
気づいてくれて嬉しい。
西村:
時々が1/2、一時が1/4未満。なるほど
林:
雲の色分けはオリジナルですか?
小林:
結構前からやってるんです。
うちの会社案内にですね、あの黒雲のイメージ写真がちっちゃく載ってるのでご覧いただいていいですか?(研究開発 | ウェザーマップ)
林:
黒いですね
増田:
ネットだったら凡例だったら出せますけど、テレビだと予報の横にまた凡例を書いておくっていうのができなくて。僕の場合は、曇りだけれども雨の可能性があるときは、ちっちゃい雨マークを点滅させたりとか。それでちょっと「雨あるよ~」を伝えたり。
西村:
それテレビならではですよね。
確率と行動のはざまに
林:
コンピューターは雨が降るか降らないかの予報しかしないんですよね。
増田:
確率では出るんですけどね。確率の数字をポンと渡しても、降水確率ではわかるという人もいれば、どっちやねんって思う人もいるので。
西村:
たしかに降水確率でいまだによくわかんないですもんね。
林:
確率で出されても、それで傘持っていくかどうか、確率と行動のあいだに判断があるんですよね。
増田:
その判断をお助けするというか、「このほうがいいんじゃないですかね」って言葉で伝えるのが我々の仕事なのかな、ということですね
西村:
降水確率50%ってどっちやねんって話ありますね。
林:
増田さんの仕事がいちばん重いところですね
増田:
そうですね。外れた時の責任はこちらです。目立ちやすいですからね。そこをだんだん慣れてくると怒られない言い方っていうのがだんだんできるようになってくる
小林:
結局のことばの問題
増田:
傘を持っていったほうがいいんじゃないですかねー?みたいなふわーっと(笑)
きょう怪しいな、あんまりアクセル踏むとまずいなというときはふわっと。これはコンピューターにできないことです。
天気予報に信頼度が出てます
林:
天気予報の信頼度が出てるんですよね。
増田:
16日先まで予報を出してよくなったんですけど、ただ11日目以降って、まだそんな技術がずばり確立させされているわけではないので、やっぱりちょっとエクスキューズというか幅を持たせて伝えましょうねということで。
小林:
気温も幅持ってますよね。
林:
こんな保険のかけかたしてたんですか。
増田:
これはかけてるんじゃなくて、かけさせられるんですよ。
小林:
こう言わされている。
林:
気象庁からですね。
信頼度は自信がないわけじゃない、湿気が近くにいるかどうか
林:
3日後の土曜日、こんなに近いのに信頼度Eなんですね。
西村:
むしろその先6日後、来週火曜はAですね。
増田:
これは雨が降るか降らないかがが大きくて。来週の火曜日あたりで梅雨前線が東京から離れるんですよね。
土曜日は金曜日に梅雨前線が雨を降らせて、それがまだ離れきってない。
どこまで離れるか、もしかしたら特に土曜日の最初のほうは雨が残るかも、微妙だよなってところでどうしてもこうなります。
西村:
雨の予想が難しいんですね。だって雨のところは信頼度、かなり低いですよ。でも、晴れのやつはAだったりとか。
増田:
そう、近くに雨雲が近くにあるかどうかが大きいので。梅雨前線が遠いときはAになりやすいです。
林:
この連載でわかったのは湿気が多いと、とにかく予報が難しい。
増田:
そうです。来週の前半は、梅雨前線が南にはなれる。梅雨前線が南に離れるってことは湿気もあまりなくなるので。そうすると予報が楽になります。
逆に梅雨前線が北にあがってきちゃうと湿気に覆われた状態になるので急にふわっと雲が湧いたりする。そうするとまた難しくなる。
林:
信頼度っていうと、自信がない予報みたいになりますけど、湿気がいるかどうかということですね。
増田:
こういう解説をつけると、あ、そうだよな。そういうことか、だから信頼度がEなのかじゃあしょうがない。許してあげようっていうようにね。
西村:
許してあげようって(笑)
増田:
信頼度がEが続いていたら、そんなもの使えるかい!ってなっちゃうでしょ。
でも、違うんです。これは梅雨前線がすごく近くにいるから、そんなにすっきり晴れない。でもちょっと急に雨は降るかもしれない。そういう意味なんです。
って言えばEでもしょうがないんだなって。
自分で言っててもあれですが(笑)
湿気が多いと突然雨雲が現れる
西村:
雨雲レーダーやアメッシュとか見てると雨雲ができませんか?急にもこもこもこって。
増田:
できますね。
西村:
普通に雨雲が流れてるのであれば30分後ぐらいに雨が降るのかな、みたいな予想がつくんですけど、夏場とか急に雲がモコモコってできて急に雨がぶわーって降り始めるから、難しいしいですよね
増田:
まさにおっしゃるとおりで、西からやってくる低気圧とか、大きい雨雲で順に動いてるのは簡単なんですよね。それはもう昔からやってるし、現象もはっきりわかっている。
いま言われたように本当に何もないところがパッと湧いてくるのは非常に手強い。
これが多くなるのがやっぱ湿気が多い時期ですよね。
湿気がなければ上昇気流が起こっても、多少雲ができても雨雲までは成長しないわけですよ。
大量に水蒸気があると、風がぶつかりました→上昇気流が起こります→5分前はと何もなかったところに急に大きい積乱雲とかできちゃったりとか。そこでザーッと降ったりするわけですから。
あとはすごく地上が熱くなってて空気が軽くなって上昇気流が起こるとか。
どこで上昇気流が起こるか、そこに大量の湿気が加わると急に雨が降り出すので、湿気が多い時期は予報が難しい。
林:
海じゃないのに湿気で雲ができることってあるんですね
増田:
日本の場合は海に囲まれてるのもありますし、海と陸で空気の壁があるわけじゃないので遠慮なくどんどん湿気は来てしまうわけですよね。
林:
海から来た湿気がたまたま東京とか都会の上で上昇気流に乗って雲になるとか。
増田:
もっと内陸まで行って、そこで雨として落ちる場合もありますし。
西村:
天気って湿気の話なんですよね。
増田:
本当、湿気なんですよ。だから嫌いなんです、梅雨。
林:
海がない内陸というか、モンゴルみたいなところはそういう要素ないですもんね。
増田:
少ないですよね。なので大陸の真ん中の方で、湿気の少ないところは予報がそんなに難しくはないですよね。
西村:
日本の内陸って言いますけどたかが知れてる感じですよねえ。
増田:
そうですよね。大陸に比べれば。モンゴルとかに比べれば、全然海の近くではあるんですよね。
林:
そうですね。たかがしれてる(笑)
増田:
そうですね。もう湿気が充満した状態ですからね。だからどこで急にぱーっと降ってもおかしくないわけですね。
5月のクイズ「東京の最高気温」、小数点以下1桁までぴったりあてた人がいました
増田:
5月のクイズ、どんぴしゃの方がいらっしゃいましたね。
答え:28.9℃
理由:雨が多く、さほど上がらなさそう
西村:
すごい。ぽこぺんさん。
林:
あんまり上がらなかったですね。僕ら30℃なんて予想しましたが。
増田:
今日、最初に5月は梅雨の走り以上に梅雨っぽいでしょ?当たったでしょって言いながら、実はもう1個言ってたんですよね。「暑くなる」って、それ外してましたからね。
西村:
ははは
増田:
みなさん30℃超えとか予想してくださったんですけど。ごめんなさい。
やっぱり雨が降りすぎましたね。
空気も大地も冷めてしまって気温が上がるベースがちょっと下がってしまうほど。
林:
熱くなるって、上空の空気のほかに現地の状況もあるんですね。
増田:
ここまで雨や曇りが続いて5月の半ばぐらいから全然晴れなければ、なかなかね。簡単には気温が上がらなくなります。
増田:
ぽこぺんさんすごいですよ。理由が「雨が多く、さほど上がらなさそう」
おっしゃるとおり。このさき1ヶ月は神と崇めます
(注:このクイズの景品が「増田さんが1ヶ月神と崇める」になりつつあります)
6月の東京の最高気温をあててください
林:
6月も最高気温にしましょう
増田:
6月は今のところ半ばから雨が多くなってくるので難しいなあ。5月と同じように雨が多くて上がらないのかな。
林:
じゃあ6月の最高気温は梅雨入り前がチャンスですか?
増田:
そこはひとつのチャンスですね。そうは言っても梅雨でも3割ぐらいは晴れることを考えると、6月の後半に梅雨の晴れ間で上がるタイミングもあるんじゃないかなと思いますね。
林:
梅雨の晴れ間が1日だけあったとしても、そこでは上がりきらないんですよね
増田:
1日だけだとちょっと厳しいと思います
林:
何日ぐらいあると上がりますか
増田:
2~3日はやっぱり必要だと思います。
大逆転というか、いまはまだ見えないですが台風が日本の近くまで来て暑い空気を運んできたり、夏の高気圧が一時的に来ると簡単に30℃を超える可能性もあります
増田:
6月の今までの東京の最高気温はですね…(調べる)…あらびっくり。36.2度
西村:
それいつの記録ですか?
増田:
2005年6月28日ですね
林:
2005年は、梅雨はあけていたんですか
増田:
2005年があけたのは7月18日ですからあけてないですね。平年とそんなに大きく変わらない。
林:
梅雨明けなくても暑くなるチャンスはある。
増田:
これは難しいなあ。ちなみに2020年6月の最高気温は東京32.6℃。2019年32.3℃、2018年32.9℃、2017年30.6℃
林:
なるほど、わかんないですね
西村:
32℃ぐらいじゃないですか、今年も。
でもそんなに暑くならないような気もする。
増田:
そうですね。雨の日が多くなったら。
増田:
2005年6月、やっぱり梅雨前線が日本海まで上がってますね。
林:
日本海まで上がると…
西村:
南の暖かい空気が通り過ぎちゃって暑くなると。
増田:
1回こう、梅雨前線がストレートに南から北に上がっていくわけではなくて、行ったり来たりしながらだんだん上がっていくので、その1回上がったタイミングがたまたま6月の後半とかだとポーンと高温が出てしまうかもしれない。
ああ、このクイズ楽しい!
西村:31.5℃
林:33.6℃
増田:
うん、いい線行ってるじゃないですか
みなさんも6月の東京の最高気温を予想してください。
正解者されたかたを増田さんがひと月、神と崇めます。