特集 2020年4月13日

キリン研究者と巡る 自宅でアフリカの動物鑑賞

アフリカの動物公園をストリートビューで歩ける理由

北向:肉食動物は見あたらないですね。
郡司:なかなかいないですね、ライオンとか見つけたいんですけど…
林:警戒心があるからですか?
郡司:それもありますし、夜行性の動物は(昼間にストリートビューを撮影するので)見つけづらいのと、草葉の陰に隠れているので見逃しているのかもしれません。

存在感抜群のアフリカゾウ

郡司:もともとアフリカの国立公園にGoogleマップが対応したきっかけがこのアフリカゾウで…象牙の裏取引のために密猟されゾウの数が減っていることが問題になっているんです。

遠いアフリカの問題はどうしても身近に考えづらい。そこでGoogleとコラボして世界中のひとびとにとって考えるきっかけとなるように、とのことでこのストリートビューの試みが始まったそうだ。

その試みのきっかけとなったサンバル国立公園のゾウたちもすごい

新しい発見を求めて大移動(自宅で)

さてここまでは郡司さんが今まで見つけた動物たち。せっかくなので新しい場所を歩いてみよう。何か発見があるかも!

…とのことで、一行は先ほどのサンバル公園へ移動し歩き始めたわけだけど、やっぱりそう簡単に見つかるわけでもない。
道中でケニアの現地の方々を見かけたくらい。鮮やかな衣装が格好良く、これはこれでとても興味深いのだけど。

どこの部族の方だろう。ヨシダナギさんならわかるかな

場所を変えて南アフリカのクルーガー国立公園も歩くが、草木が茂っており見通しが悪い。南に行くほど(植物が多くなるため)難しくなる、とのこと。
そういったわけで、はじめに探検したマサイマラの、まだ歩いていなかった道を歩くことに。

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道の果てに見つけた弱肉強食のドラマ

郡司:あ、これはヌーですね。
林:ヌー!へー!

やっぱりマサイマラは見晴らしが良くて動物散歩向きだ

郡司:ヌーは、よく大群で川を渡ってワニとかに食べられている。
北向
林:NHKのドキュメンタリーとかでよく食べられている動物って気になりますよね。
郡司:そうですね、食べられているところしか我々はあまり知らないので…どうしてもライオンとかが主役で、食べ物として登場しがちで。
郡司:でもこうしてGoogleで見てると普段「食べ物系」の動物がイキイキとしてしているんです。
林:あ〜それはいいですね。

食べ物系の動物、って言葉すごい強いな。確かに、普段スポットの当たらない動物たちをまじまじ眺められるとてもいい機会だなと思う。

そんな食べる食べられるの話をしていたら、最後に印象的なスポットに巡り合った。

突如現れた、飛び立つトリの群れ

「首元が白いのでハゲワシでは?」と話しながら元を辿るとそこに現れたのが、

ヌーの死骸をついばむハゲワシの姿!これはえらいもん見た…!

郡司:すごい、これを食べてたんだ…!
水を飲みにきたヌーが何かに襲われて、それを食べている、という状況が想像されますね。

北向:すごい…!
郡司:これは私もはじめて見ましたね〜。

ついさっき「食べ物系の動物がイキイキとした主役になっているのが良い」という話をしたばかりで恐縮だが、この突然目の前に現れた食物連鎖の様子は、生々しく恐ろしくもあり、美しくもあり、とにかく圧倒的だったのだ。

郡司:Googleカーの行き止まりでこんなドラマが…すごいなぁ。
最後にいいものを見せられてよかったです笑

いるかわからないものを探し回る楽しさ

郡司:建物を巡る、というのもストリートビューの楽しみ方のひとつですが、建物は確実に”そこに在る”じゃないですか。動物はどこにいるかがわからないので、うろうろ探して…というのが楽しいです。
世界中いろんなところに対応しているのでいろんなひとにやってみてほしいですね。

Googleストリートビューでの動物散歩は魅力的だった。予定調和でないものを自分で探しまわるワクワクが心をくすぐるのだ。どれだけ探し回っても疲れないし。

郡司さんがはじめたTwitterの「#Googleサファリ」というハッシュタグで、世界中のマップで見つかった動物の様子も見られるのでよかったら検索してみてほしい。
 

南極半島にはペンギンもいるよ


終わりに

折しも、ここ最近の情勢で多くの動物園が臨時休業をしている。そもそも自宅からもなかなか出られないような状況だ。

この記事の企画が通ったのが今年の1月。郡司さんの所属するつくばの科学博物館まで赴く予定だったのでそれが叶わず残念な気持ちではいたのだけど、こうしてリモートで自宅にいながらみんなでアフリカを鑑賞できるなんて、この「Googleストリートビューで気軽に動物鑑賞」の究極体だな、と3人でマサイマラを歩きながら思った。


•おまけ1:動物園でストリートビューをするなら、横浜の金沢動物園などは檻がなく見やすいのでおすすめ。
•おまけ2:気軽に巡るならGoogleマップに点在する、小さい丸(一般人が360度カメラで撮影した箇所)を辿るのも手。”撮影したいもの”があって撮ったはずなので、何かしら写っている可能性が高い。
・おまけ3:郡司さんが集めている動物マップを共有していただけたのでよかったら気軽にサファリツアー!こちら

また気軽に実際の動物園を歩ける日が来ますよう!

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