特集 2020年3月11日

ゴールテープの方から近づいてもらって優勝したい

ゴールに向かう代わりにゴールテープの方から来てもらおう

先日、東京マラソンで大迫傑選手が日本新記録でゴールテープを切る様子がテレビで流れていた。
そういえば、僕の人生においてゴールテープを切った経験がない。
ゴールテープを切る、こんなに分かりやすく達成感を得られる行為はそんなにないのではなかろうか。
ここはひとつ経験をしておきたいが、大会で優勝出来る体力を付けるのは大変だ。

いっそゴールテープの方からこちらに来てもらいたい。そうすれば誰でも簡単に優勝した気分になれるんじゃないか。

1987年兵庫生まれ。会社員のかたわら、むだなものを作る活動をしています。難しい名字のせいで、家族が偽名で飲食店の予約をするのが悩みです。(動画インタビュー

前の記事:ワイヤレスイヤホンで電話してもひとり言に見えない装置

> 個人サイト むだな ものを つくる

気軽に優勝したい

思えば陸上競技が苦手な子どもだった。50メートル走もマラソン大会も得意でなかったので、ゴールテープとはついぞ無縁の人生だった。
ゴールテープを切るというのはくす玉を割る、鏡割りをするというのと同じくらい達成感が得られそうで一度やってみたかった。

ただゴールテープは張ってもらうだけでも人手が2人も必要になる。ゴールテープを切りたいので手伝ってほしい、というのはあまりに忍びないお願いだ。

つまりこういうことが出来ればいいのではないか。

001.jpg

ポールを2本立て、その間にゴールテープを張る。そしてポールが僕の方に向かってくるようにするのだ。
これならぼんやりしていてもゴールテープが切れるという算段だ。

早速ポールの部分を作っていこう。

002.jpg
毎度おなじみタミヤのギヤボックスと、キャタピラのキットを使います。
003.jpg
ちゃっと組む。

ギヤの組み合わせによってスピードとパワーを選べるのだが、今回はスピードが出るギヤの組み合わせにした。
毎回ちょうどいい組み合わせがわからないので何度もバラす羽目になる。一発で組み合わせを見破る能力が欲しい。

004.jpg
キャタピラの上に載せるポールを作る。軽くて調整しやすそうな工作用紙を使った。
005.jpg
胸の高さまで伸ばしたら存在感がすごい。
006.jpg
土台のキャタピラの小ささに比べてポールが長すぎる。部屋にポツンと置いたらバランスが悪くて笑ってしまった。

キャタピラとポールを2組作ったら、これを同時に動かす必要がある。
今回はMaBeeeというIoT乾電池を使おう。

007.jpg
中に単4電池を入れて使う。スマホと接続して電源をコントロール出来るデバイスなのである。

プラレールやミニ四駆のスピードをコントロールするような用途で使われたりするのだが、複数のMaBeeeをスマホに接続することで同時に電源をオンにしたり出来るのも特徴の1つだ。
なので、2つのキャタピラにMaBeeeを入れることで、1台のスマホで同時に走らせることが出来るのだ。

008.jpg
キャタピラの間にゴールテープを張ったら完成だ。

だいぶゴールテープがだらんと垂れ下がっているが、あまり気にしないようにしよう。

いったん広告です

優勝してみよう

優勝の準備が整ったので、いよいよ実際に優勝してみようと思う。
といっても僕はトラックを走るわけでもなくぼんやりしているだけで良い。優勝したくなってきたらスマホのボタンを押すだけである。

実際の様子がこちらである。

009.gif
ゴールテープが来た!
010.gif
優勝だ!

キャタピラが思ったよりも遅く、ゴールテープを切る様子をスローで撮影したようになった。
ゴールテープを切った感触も無である。無のゴールテープだ。

011.jpg
ただ瞬間を切り出したら、ゴールテープが体に巻き付いてそれっぽくなった。

虚像のゴールテープである。瞬間的にはゴールテープを切ったと言い張れるのではないだろうか。

012.jpg
陸上競技場の写真に合成したらよりそれっぽい。

合成したら急に躍動感が出た。1キロくらいは走ってゴールした感じがする。
が、もちろん少しも動いていない。優勝への消費カロリーがゼロである。

013.jpg
スポーツ新聞風にする。

これはもう実質優勝だ。
誰の手を借りずにいつでも優勝することが出来るのだ。

日常生活の中でいいことがあったら、ゴールテープを切って喜ぶことが出来る。

014.jpg
カレーがうまく出来た!と思ったら、
015.jpg
スプーンをくわえたまま優勝したっていい。

洗濯物を畳めたら、トイレ掃除をしたら、仕事から帰ってきたら。色んな場面でゴールテープを切って誇って良い。
めでたさにあふれる暮らしである。


まやかしのゴールテープよ

ゴールテープの方からやって来たが、スピードは遅いし心許ない。
やはりゴールテープはもっとしっかり張られていた方が良さそうだ。
ゴールテープを張る専用ロボットの開発が必要かもしれない。ロボットが張りすぎてゴールテープに跳ね返される未来も見てみたい。

016.jpg
気を抜くとゴールテープはすぐに崩壊する。なぜならポールが紙で出来ているから…。
▽デイリーポータルZトップへ

banner.jpg

 

デイリーポータルZのTwitterをフォローすると、あなたのタイムラインに「役には立たないけどなんかいい情報」がとどきます!

→→→  ←←←

 

デイリーポータルZは、Amazonアソシエイト・プログラムに参加しています。

デイリーポータルZを

 

バックナンバー

バックナンバー

▲デイリーポータルZトップへ バックナンバーいちらんへ