デジタルリマスター 2024年5月24日

F1になりたい(デジタルリマスター)

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審判を仰ぐ

自分達としては納得のいくものができたが、第三者の目にもちゃんとF1に見えているのだろうか。そこで、当サイトのウェブマスター、林さんに意見を伺うことにした。実は前日一緒に飲んでいた際に、F1が完成したら見せに行くという約束をしていたのだ。時間は夕方頃ならいつでもいい、近くまで来たらまた連絡くれ、と真っ直ぐな目で快諾してくれていた。

これから行くという連絡の電話がつながらなかったが、とりあえず電車に乗ってウェブマスターの最寄り駅へ向うことにした。きっと林さんもF1の造形美、そしてその官能的なエキゾーストノート(F1のエンジン音)を心待ちにしているに違いない。何にせよ日が暮れては撮影ができない、急いだほうがよい。

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日が暮れては屋外撮影は厳しい。急げ。
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自慢のF1もさすがにへばったか、睡魔が襲う
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ウェブマスター最寄り駅にて

電車にゆられて着いたのは午後5時過ぎ。屋外撮影のリミットである日暮れまで1時間弱か。あまり時間はないが、要領よく撮影すれば間に合うかもしれない。

ウェブマスター最寄り駅に着いたらさっそく電話をかける。時間がない‥‥頼む、出てくれ、林さん‥‥心拍数が高まる。

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ウェブマスター最寄り駅に到着(写真はイメージ)
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来ない

関東地方ではホスト2人がゲストにゆかりある土地を案内してもらう『ウチくる!?』というテレビ番組が放送されている。丁度ウチくるが放送されて4時間後、大北石川が勝手に林さんの地元を探るという、ゲストのいないウチくるが行われていた。撮影リミットの焦燥感と土地勘の無さから現場はほぼ無言だった。

どこを見渡しても「ここが林さんがよく利用する○○屋かー。」という気分になる。B’zの実家に押しかけるファンの気持ちはこんな感じなのだろうか。なるほどたしかに興味深くもなるが、B’zでなくて林さんだということを思い出すと少し心に影が差す。林さんがホットパンツで全国ツアーをしていれば話はもう少し違ったのかもしれない。

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中華料理屋にて

午後5時40分。林さんが電話に出ない。朝から何も食べてないので夕飯でも食べながら待つことにした。はじめての町でどこが美味い店なのかわからない。ハンバーグが食べたかったのだがどこで食べられるのかもわからない。結局一番隅にあった中華料理屋に入ることにしたのだが、「隅」という立地にそのときの心理状態がよくあられているように思う。

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電話に出ない
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特に何がどうということもあるまい

 石川F1はつけ麺と半チャーハンのセット、大北F1はサンマー麺を頼む。F1が完成したときのあの興奮が、電話が通じない焦燥感と満腹感によってみるみる削り取られていく。しかし石川F1は時折思い出したようにあの官能的なエキゾーストノートを発してF1化していた。このチャーハンを食べ終えてしまえば、おれはあのハングリーなF1の心を忘れてしまうかもしれない。そんなF1としての最後の抵抗だったのか。チャーハンを食べていても、これはF1なのだと思い知った。

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居酒屋にて

中華料理屋には1時間近く滞在したが電話はつながらなかった。日も暮れた。屋外の撮影は厳しくなったが、土地勘のある林さんならどこか明るめの場所を紹介してくれるだろう。そんな淡い期待を抱いて居酒屋でもう少し粘ることにした。普段なら撮影後には二人ともビールで大いに乾杯するのだが、この日は梅酒ロック一杯ずつ。この後のF1披露にそなえ酒量を控えたわけではない。なんとなくビールを頼む気分ではなかったのだ。

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つながらない

居酒屋には2時間近くいて、午後9時前まで粘った。電話はいまだにつながらない。あの約束はなんだったのだろうか。こういうプレイなのだろうか。

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勘定を済ます
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無言で店を出る

衝動~うなれF1吠えろF1~

勘定を済ませると2台のF1は競い合うようにして公道に飛び出した。F1に限らずナンバープレートを持たない車は公道を走れない。そのうえ飲酒運転だった。

F1の目にうっすら涙がにじむ。前がかすんでよく見えない。
夜の住宅街に響くエキゾーストノートは慟哭のようであった。


パワーハラスメント~権力vsF1~

一体あの約束はなんだったのだろうか。夢でも見ていたのだろうか。後日確かめたところ、酔っ払って忘れていたと林さんはゲラゲラ笑っていた。

僕らのF1物語は、まだ始まったばかりだ。

 

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