餃子の王将と大阪王将の徹底比較を、将棋の対局風に行う
外食チェーン最大のライバル関係といえば、「餃子の王将VS大阪王将」だろう。
2店は親族によって発祥し、店名を巡る裁判を経て中華料理の2大チェーンとして火花を散らす。
そこで奇しくも「王将」という将棋の駒を名乗るこの2店のライバル関係を、「将棋」にするとどうなるのか?
新聞の将棋欄(観戦記)風に書いていく
新聞に載っている、あれのこと(読売新聞2019年6月8日号 池田将之氏の観戦記)
このライバル対決は、こうなるであろう展開を想定して新聞の将棋欄風に書く。
新聞を日常的に読んでいた人なら見覚えがあるはずの、囲碁欄と並んで掲載されているあれだ。
あまり見たことがない方へ説明すると、将棋の対局を見た観戦記者が「戦いの模様とこぼれ話」を書き連ねるもの。
だいたい1つの対局につき、全7回ぐらいで連載していくのだ。
ついに実現、餃子の王将VS大阪王将
それでは早速やってみよう。いよいよ「餃子の王将VS大阪王将」の因縁の対決が、将棋で実現する。
皆さんどうか字は細かいけど読んでほしい。読んでくれなきゃこの企画が成立しないから。
観戦記者はぎょうざの満洲アマ5段が務める
なんとまあ宿命のライバル関係、悪鬼の形相でにらみ合い、ひどい悪態をつきまくって立会人の加藤一二三九段を困らせる両者。
ちなみに駒は王将各店の代表的メニューに当てはめた。「歩→餃(餃子)」「香→泡(ビール)」「桂→肉」「銀→揚(揚げ物)」「金→麺」「飛→炒(炒飯)」「角→天(天津飯)」という寸法である。
王将はそのまま「王」。ちなみに厳密には先手の王将は「玉」だが、ここでは便宜上両方とも「王」とする。
ついに宿命のライバルが「将棋」で相まみえた(大阪王将はゆりばー氏撮影、餃子の王将は筆者撮影)
2歳違いの兄弟、バチバチの序盤
餃子の王将九段は1967年12月生まれの51歳、大阪王将八段は1969年9月生まれの49歳である(なお創業者は親族同士だった)。
将棋はふつう王将を金や銀などの駒で囲んでから攻め合うが、ここでは餃子や揚げ物、麺などの駒で囲う。
まさに大衆中華料理店の雄を決めるにふさわしい戦いだ。
角交換ならぬ天津飯交換が。いきなりお互いの駒がぶつかり合う
海外展開では後手後手の餃子の王将、先手を打つ
肉(回鍋肉)と揚(唐揚げ)で攻める京都王将
さすが裁判までして争ったライバル同士、逐一悪態をつきながら駒を動かしていく。
ちなみに観戦記にも書いてあるとおり、大阪王将のほうが海外進出はだいぶ進んでいるが、先に攻めるのは餃子の王将である。
50年前の味、復刻創業餃子パワーで大阪王将八段優勢
復刻創業餃子のパワーで餃子の王将九段をなぎ倒す
逆に攻め返す大阪王将八段。あの地方チェーンの雄、ホワイト餃子九段も声を上げる勝負手「☖2五餃」を放った。
ちなみに昼食タイムもやはりお互い自社のメニューを注文。お互いのメニューは一切注文しない徹底ぶりである。
コスパで戦うセット対決
冷凍食品が売れに売れる、大阪王将八段が攻める
「☖7二肉」の好手炸裂
積年の恨みが募ったか両対局者がついに扇子で殴り合うシーンも見られたものの、盤上は最近の業績のよさも反映されてか、大阪王将八段が優勢。
ニンニクの臭みを約80%おさえた大阪王将VSニンニクなしも選べる餃子の王将……の餃子対決
「王将大学」パワーで、餃子の王将九段が逆転
元祖「王将」が面目躍如だ
餃子の王将は「ジャストサイズ」なる小皿で通常のメニューが手軽な値段で出てくるサービスを行っており、これがあとちょっと食べたい人たちに好評だ。
さらに「王将大学」などの新設によってお店の味がアップして業績が上がった効果か、餃子の王将九段が攻め立てる。
小皿サイズのメニューが充実している餃子の王将と、多彩な餃子メニューが楽しい大阪王将
餃子の王将九段、劇勝
結局筆者の独断で勝敗は決めた(データは日本の外食チェーン50 2017年版、フードビジネス総合研究所より)
終盤のねじり合いを制し、見事勝利した餃子の王将九段。
しかしその理由は「餃子の王将のほうがフードの平均価格が安いために、筆者が行きやすい」というあまりにも個人的なものである。
もちろんこの対局は完全なるフィクションだが、2チェーンのビジネス戦争を将棋で見える形にすると、案外こんな感じ……なのかもしれない。
大阪王将さん、都合で負けさせてスイマセン
壮絶なほどウマい、大阪王将のふわとろ天津飯
ちなみに大阪王将は、いま行われている第69期王将戦でホントの冠スポンサーとなり、その名も「大阪王将杯王将戦」と銘打っている。それなのに、こっちの都合で負けさせちゃってゴメンなさい。
正直大阪王将にはあまり行ったことがなかったが、実にウマかった。特に「ふわとろ天津飯(480円)」は名前通りのフワトロ感ともに、強烈なコスパを誇るオススメの逸品なので筆者の罪滅ぼしにでも足を運んでほしい。
両方の王将が共存共栄であり続けることを、ファンとして願ってやまない。どっちもウマかった!
【参考文献】2019年5月15~21日 読売新聞[第32期竜王戦]4組準決勝 藤井聡太×高見泰地 鈴木宏彦氏の観戦記