中に入ると別世界
一歩足を踏み入れると別世界が広がっている。
店内は広くて壁一面に調味料や食材、お菓子なんかが整然と置かれていた。店内で撮った写真だけ見て、これが日本だと当てられる人がどれだけいるだろうか。
品数の多さから、アジア食材屋さんがメインなのかと思わされるが、食事に来たんですと告げるとお茶を持ってきてくれた。ベトナムのはす茶である。
席に置かれた分厚い写真アルバムのようなメニューを開くと、見たことも聞いたこともない料理が次々と現れた。
写真と解説だけではよくわからなかったので、店員さんが勧めてくれた「フーティウナムバン」を素直に注文。
一緒に行った友だちは別のを注文したのだが、店員さんから「こっちの方が美味しいから」と言われて変更していた。それでいいのだ、僕たちは郷に従いに来たのだから。
常連のお客さんいわく、ここでのおすすめは「ホビロン」なのだとか。ずっと前にデイリーで読んだやつである(記事)。ベトナムまで行かなくてもここで食べられるとは。
常連さんは「すごく美味しい」と言っていたが、これについては正体を知っているだけに勧められるままに注文することはなかった。いつかチャレンジしてみたい。
美味しそうなの来た!
まるでアジアの市場みたいにガヤガヤと話をしていると、僕が注文した料理がやってきた。すでに名前は忘れてしまっているが美味しそうである。
ラーメンのどんぶりくらいある器に、透き通ったスープがたっぷりである。ニラともやしは別皿でも出てきたので自由にトッピングせよということだろうか。こういうどう食べたらいいのか、何味なのか、何もわからない食事って興奮しますよね。
これが驚きの美味しさだった。
メニューには「塩味のスープに海老、挽肉、うずらの卵にゴマとセロリのさっぱりライスヌードル」と書いてあったのだがちょっと待て、この猛烈に美味い「塩味のスープ」はいったいなんなのか。
この感動を大切にしたいのであえて調べていないのだけれど、食べた感じからすると日本の鶏ガラスープのラーメンスープに近い。あれにニンニクや生姜など、いくつかスパイスを加えて、あっさりだけどしっかり美味い、ぜんぜん別の食べ物になっている。
大量のもやしの下に隠れているライスヌードルとも相性ばっちりだった。麺を食べた後にご飯を追加できたら最高だなと思ったのだけれど、よく考えたらライスヌードルも米だ。
もう一つすごいの来た!
しばらくして友人の元にも店員さんのおすすめのメニューが届いた。え!なにそれ!
お店の人に勧められるまま注文したので、これがメニューに載ってるどれなのかがわからなかった。友人いわくたぶん「ブンティットチャージョー」ではないか、とのこと。
汁なしのライスヌードルの上にこれでもかと乗っているのは揚げ春巻き(カリっと揚っていてうまそう)と豚肉(赤く味付けされていてうまそう)、それから野菜。そして一緒についてきたスープらしきものはなんなのか。
その汁なんだった?
「わからん。わからんけど、甘い」
甘い?そんなことあるだろうか。僕もすこし舐めさせてもらったら、確かに甘かった。どうすんのこれ、かけたら甘くなるよな。
ライスヌードルが汁なしの状態だったので、友人はジャパニーズそうめんのようにこの甘いタレに麺を付けながら食べるのだろうと理解していた。結果、美味かったからたぶん正解(友人談)。
こうやって手探りで、笑い合いながら食べる食事ってなんて楽しいんだろう。海外旅行に行った気分で満腹になって帰ってきたのでした。
タンハー、また行きます
買い物に来ていた若者が「これおいしいですよ!」と教えてくれたお菓子を買って帰ってきた。
確かに美味しかった。だけど完全に日本では食べたことがない味である。はじめて食べるのに頭が疑問よりも先に「美味しい」と判断するのっておもしろいなと思った。
タンハーのメニューはまだ9割9分手つかずなので、これから先が楽しみである。
〒245-0018
神奈川県横浜市泉区上飯田町3050 アジア食材タンハー
電話045-803-2597
さらなるこの店の良さ
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