謎の達成感
いいものができた。手元にもっと素材を用意しておけば時間をずらしたり、別の場所で伏線になるできごとが置きていたり物語の世界を広げることができる。
実は若者が見ているスマホで見てる映像でした~とメタに持っていくこともできる。
今回は二人のリレーだったが、複数人でやってもよい。やろう。
リレー小説、連歌、往復書簡、人と創作をつなげていくのはおもしろい。
動画はどうだろう。
短い動画を編集して人に渡す、その人がまた編集を加えて戻す、それをまた編集して渡す…これを繰り返してひとつの動画を変化させていくのだ。
伝言ゲームのように思いもしないものになるだろう。
さあやってみよう。
参加するのは林とプープーテレビでも活躍中の映像ディレクター西垣さんだ。
Zoomでつなぎ、互いに編集しているところを見せながら映像を加工してゆく。
編集が終わったら映像ファイルを書き出し、それをまた取り込んで編集する。これを繰り返す。図にするとこうなる。
外に出られないからリモートで行ったが、対面しても同じ部屋でそれぞれパソコンに向かっているだけなのでリモートにあっている企画だった。
最初の素材はこれ。
さあこれをどんどん編集していこう。
編集しあって動画ができてゆくようすを1本の動画にまとめました。記事じゃなくて動画で見たい人はこちらをどうぞ。
文字で読みたい人は以下をどうぞ。
スポーツニュース風オープニングのテンプレートがあったのでまずそれを冒頭にいれた。それから映像を「色あせた映画」というエフェクトがあったので適用。スポーツニュースと映画がぜんぜん合ってない。
林がはねている映像を3つ並べた。フリッパーズ・ギターのカメラカメラカメラのPVってこんな感じだったはず!渋谷系だね!などと話しているが後で調べたらなんというか、全然違った。
そしてこうなった。luteというメディアっぽいねなどと互いに褒めあっている。
走っているところを寄りにしてスローにした。感動的になると思ったのだが、解像度を無視して無理やり拡大したのでUMAのようになってしまった。
しかし色を淡くしたらBunkamuraで上映している映画のようになった(個人の感想です)。
このような動画になった。
ここで西垣さんが技を見せた。僕がBunkamura気分に浸っているあいだにNHKクリエイティブライブラリーから素材をダウンロードしていた。
僕はかつて犬だったのか、それとも記憶の残っている犬を追いかけているのか。いきなり物語性が出た。
走っているところを短く繰り返しにした。かつての芸能人水泳大会で芸能人がウレタンのボードから落ちるときに落ちたり上がったり落ちたり上がったり繰り返すように編集されていたが、それだ。
かなりの蛇足である。その前の西垣さんの犬のモンタージュが台なしになった。Bunkamuraが遠ざかっていく。
ここでまた西垣さんが見せた。画面を止めてナレーションを追加したのだ。
このナレーションで時間軸がうまれた。このシーンは壮大なお話が始まる前のエピソードだったのだ。
時間と来たら空間である。空間を広げる映像を挿入することにした。
Google Earth Studioというウェブサイトで衛星写真のアニメーションが作れるので、砧公園から宇宙にズームアウトする素材を作った。
そしてこうなった。
宇宙に飛び出したこの話、西垣さんはまた時間軸を動かした。
つまり、2400年前にも同じ風景が繰り広げられていたということである。一体どういうことなのか、最初の犬はなんなのか。伏線だけが広がった。当然、作っている我々も知らない。
2020年と紀元前400年、そのふたつの景色を並べて重ねることにした。完全に一致、というやつである。オーパーツのようだが、同じ映像を色変えて並べているので一致して当然である。
重なった部分には謎がとけた風のSEを入れた。むかしの刑事ドラマで手がかりを聞くと「キラーン」みたいな音がするようなものだ。
しかしひとつも謎は解けていない。
もうそろそろ終わりに近づけたい。
西垣さんが目をつけたのははしゃぐ林の後ろにいる男。実際は別の撮影のために呼ばれていたライター井上さんなのだが、この人物をアップにして鍵を握っていることを匂わせた。
相当とっちらかった。伏線しかなくて一切回収されていない。どうする?
むかしドキュメンタリー番組を作っている人が「エンディングテーマが流れるとなんとかなります」と言っていたことを思い出した。それだ。
おきなりのオイディプスコンプレックス的な展開だ。スターウォーズから美味しんぼまでこれである。
テロップに岩井俊二と入れる案もあったが、よく考えたらまったく関係ないので見送った。
そしてできた完成品がこれである。
いいものができた。手元にもっと素材を用意しておけば時間をずらしたり、別の場所で伏線になるできごとが置きていたり物語の世界を広げることができる。
実は若者が見ているスマホで見てる映像でした~とメタに持っていくこともできる。
今回は二人のリレーだったが、複数人でやってもよい。やろう。
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