特集 2019年4月16日

歌番組の演出は一般人がやると絶対に照れてヘラヘラする

全部ヘラヘラしました。

僕たち一般人はカラオケでマイクを持つだけで緊張してヘラヘラしてしまうが、プロのミュージシャンは歌いながらせり上がったり、2人向かい合って歌ったりする。あれはどんな気持ちなんだろう。

やってみたらもう照れに照れて楽しかった。

1987年東京出身。会社員。ハンバーグやカレーやチキンライスなどが好物なので、舌が子供すぎやしないかと心配になるときがある。だがコーヒーはブラックでも飲める。動画インタビュー

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歌番組っぽい演出を体験した

河原にみんな集まって、色々な歌番組っぽい演出を試した。「あそこをステージということにして」とか言ってカメラをセットして、100均のおもちゃのマイクを持って歌った。

まさに実写版ジャイアンリサイタルだった。ジャイアン、ずいぶん楽しいことをしていたんだなと思う。

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向かい合って歌ったり、
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階段を登りながら歌ったりした。

そして色々試した結果、一番手応えがあった演出がこちらである。

歌いながらせり上がりました。

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歌は絢香×コブクロのWINDING ROADです。
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横もよかった。こんな歌番組があってもいい。

看板の後ろからゆっくり出たり入ったりしながら歌った。横から出てくるのは、せり上がって登場する演出の応用版だ。

これがとても良かった。「なんか分かんないけど笑っちゃうねー」となったのだ。

編集部の藤原さんが「フロイトが言ういないいないばあのおもしろさですね」と言った。歌声が聞こえるのにいないという不安と、出てきてくれた快感の図式でおもしろいと感じるのだそうだ。

何が言いたいかというと、ここにはあのフロイトも認めた良さがある、ということだ。

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これが「快感」に相当する。

これがうまく行ったときは河原を行く人が立ち止まってじっと見ていた。軽い人だかりができたのだ。ショーとして成り立っている。

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いいものを見ましたね。

これが今回の成果物だ。次に、ここに至るまでの経緯を紹介します。

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向かい合って歌うとどのくらい照れるのか

きっかけは向かい合って歌うミュージシャンやアイドル達だった。

「向かい合って歌う」で画像検索するとたくさん出てくる。これ、僕がやったら照れてヘラヘラしてしまう自信がある。どのくらい照れるんだろう。確かめたくて人を集めた。

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皆さんに河原に来てもらった。この時点ではまだせり上がるという話にはなっていない。
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デイリーポータルZのウェブマスター、林さんと向かい合って歌う。
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今年一番緊張した。

近しい立場の人とやって「やっぱりヘラヘラしました」では締まりがない。しっかり検証するために緊張感のあるキャスティングをさせてもらった。

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でもすぐにヘラヘラしました。申し訳ありません。

近くで向かい合った時点で照れる気持ちがものすごい。気軽にお願いしてしまったけどこれは今すごいことが起きているな、とか思いながら「普段、人の顔をこんなに高精細で見ないね」「ほんとですね」と話した。

これ、会社で上司と向かい合ってヘラヘラ歌ったりしたらけっこう怒られるのかもな、と思う。社会的にダメな所業だ。でも社会より世界のほうが広い。これは社会じゃなくて世界の方のやつだ。

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ライターの江ノ島さんとも歌ってみた。

江ノ島さんは同じサイトのライターということで立ち位置が近く年も近い。一層ヘラヘラした。

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照れるのは距離の問題だろう、ということでちょっとずつ離れながら冷静に歌える距離を調べた。
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向かい合って歌わせてすみません!
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1m20cmがギリギリヘラヘラしない距離だった。
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こういう景色です。

1m20cmでギリギリヘラヘラしない。調べたら武道館の「せり舞台」の横幅が23mだった。2mほど離れても十分ステージを広く使える。よかった。安心した。

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でも遠かったら遠かったで笑っちゃうかもなと思った。
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もっと照れそうな演出があった

向かい合って歌うことについては分かった。さあ、次である。

撮影前に調べている時、こういう動画があると他のライターの方に紹介してもらった。

絢香×コブクロのWINDING ROAD、一般人が歌番組で披露する曲の定番らしい。 

この動画、曲中の一番盛り上がるサビの部分で、3人を隔てる壁がゆっくりと開き、最高にノリノリになった状態で対面するのだ。(動画の3分40秒のあたり)

プロがやっているのでかっこよく決まっているが、これは照れるだろう。やってみよう。

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壁としてダンボールを持ってきた。
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歌いながらゆっくり下げてもらう。
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すごい威力!

こんなの照れる。ここまで割と冷静に歌えていた林さんだが、これには笑っていた。

「笑ったら失礼だぞ」と思う気持ちを易々と乗り終えてくるヘラヘラだった。もうそこら辺の小石みたいにひょいと乗り越えて喉元にヘラヘラが込み上げてくる。ヘラヘラのキャタピラがすごい。(ヘラヘラしてすみません)

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壁、すごいな。

しかしこの、有無を言わさないヘラヘラさせる威力はなんだろう。ここを考えることでせり上がるようになる。

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歌いながらゆっくり現れるところがいいんじゃないか

この気恥ずかしさは向かい合っている、という要素にあるのではなく、人が歌いながらゆっくり現れる、というところにあるのではないか。

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この説を確かめるために1人で壁からゆっくり出てくる。

これがなんか良かった。やる方も見る方もヘラヘラした。意外な結論である。「歌いながらゆっくり現れるとなんかおもしろい」

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壁が降りるのではなくて人がせり上がる。

「この演出がいい!」となり、「もう横から出てもいいんじゃないか」となって完成したのが冒頭の動画である。

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これ。

冒頭と同じですがもう一度載せておきます。

「向かい合って歌う」という話からずいぶん遠い場所に来た。しかし通行人の方が足を止めてくれたのはうれしかった。この事実が、せり上がる演出の良さを証明していると思う。

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歌番組っぽい演出集です

こういう、歌番組みたいな演出っておもしろい。いくつかやってみたので続けて紹介します。

まず「階段を登ってくる」というパターン

セットで「歌いながら階段を降りる」もやってみたが、足元を見ずに階段を降りるのは意外に怖くて、歌い手としてのプロ意識が芽生えた。

見てる皆さんから「野良感がすごい」というコメントをもらった。送ってもらった動画を見て確かに、と思った。しかし人生にいらないシーンは一つもない。

あとこれは「モノマネしていたら途中で本人が登場する」という演出。

絢香×コブクロの曲を歌っていたら絢香でもコブクロでもない江ノ島さんが悠々と出てきて、これはなんだろうと思ったけど、声を合わせて歌うのはやっぱり照れた。あと僕たちは野良なので風の「ゴー」がすごい。

最後に、後ろで手拍子してるという最高にピュアな動画

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なんてピュアな人たち…!

ピュアさがすごい。瞳が澄みきっている。ここにいる全員オレオレ詐欺に引っかかりそうだ。

あと自分の歌に合わせて手拍子してもらうのはすごく照れる。よくプロはヘラヘラせずに歌えるなと思う。

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歌い終わった後、全員に会釈をした。
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照れない力だ

プロのミュージシャンは、こういうヘラヘラしてしまう気持ちを乗り越えてステージで歌っているのだろうか。ここまでやってみてプロの、歌唱力以外のすごさが分かった。照れない力だ。

でも照れるぞ照れるぞと思いながらやってやっぱり照れるのも楽しい。これは楽しいでの環境が許す限りやった方がいい。


coccoに怒られるぞ

この日、「色々な演出をやってみよう!」となり、最後には菜の花に囲まれて絢香×コブクロを歌っていた。
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先ほどの「野良感」という言葉がすごくぴったりくる。

誰かがこの写真を見て「coccoみたいですね」と言った。coccoに怒られるぞ。

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