特集 2019年4月3日

乳酸菌が多すぎるので台帳につける

7,000億ほどがすぐに集まりました。

乳酸菌が入った飲み物やお菓子って、何十億、何百億という天文学的な菌の数を売りにしている。数が多くて愉快なのでたくさん集めて銀行台帳に記録してみた。

1987年東京出身。会社員。ハンバーグやカレーやチキンライスなどが好物なので、舌が子供すぎやしないかと心配になるときがある。だがコーヒーはブラックでも飲める。(動画インタビュー)

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1,000億が売っていた

普段の生活で関わる「数」ってどれくらいだろう。リンゴやバナナを数える時の1~3くらいがしょっちゅうあるとして、飲み会の支払いをまとめた時の20,000、30,000とかがだいたい最大なんじゃないだろうか。

そんな中、自動販売機で100,000,000,000(1,000億)を見つけた。

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100,000,000,000だ。買った。
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キリンのイミューズという清涼飲料水。

100,000,000,000が150円だった。調べたらビルゲイツの純資産がだいたい1,000億(ドル)らしい。あと銀河系にある恒星の数も1,000億(「少なくとも」1,000億個らしい)。そしてイミューズに入ってるプラズマ乳酸菌も1,000億。

「何が」とか「単位が」などと深く考えないようにすると、すごいスケールのものが手の中にある気がしてきた。だって銀河系にある恒星の数のものをゴクゴク飲めるのだ。

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グラフにするとこう。

全部足そう

乳酸菌ってこういう天文学的な数をよく売りにしている。景気が良くて楽しいので、お店を回って、見つけたら買って記録しよう。記録というか、もう全部足そう!

楽しそうなので友人を呼んだ。

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戸澤くんです。変な背景で写真撮ってごめん。

待ち合わせ場所に来た戸澤くんに説明をする。

「乳酸菌ってさあ、なんかたくさんあるじゃない? 今日はそういうのを見つけたら買って、最後に全部足そうと思うんだ。」

「はい、分かりました。」

戸澤くんは大学時代の後輩である。当時からちょっと不安になるくらい飲み込みが早かった。話が早くてありがたい。この1ラリーだけで乳酸菌を探しにいくことになった。

いや、分かっている。乳酸菌にも色々な種類があるし、人が摂取できる目安も決まっている。多けりゃいいってものでもない。しかしそれを踏まえた上で、意味もなく全部足すのだ。なんか景気がいいので。

こういう説明を用意していたが口に出す機会はなかった。

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「ドラッグストアがありましたよ」と言う戸澤くん。乳酸菌がありそうなお店を見つけるのがうまかった。

乳酸菌を探して歩く

「乳酸菌を探して散歩をしよう」と言って出発したが次々見つかるので散歩という感じでもなかった。「ここにもある、ここにもある」となるのでのんびり歩くことができない。感覚としては収穫に近かった。

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まず待ち合わせ前に入ったコンビニで15,000,000,000(150億)。

戸澤くんに「ほら、150億だよ」と言って見せる。「多いですね」と笑ってくれた。そう、多いのだ。世界の人口が75億人と言われているので、その倍の数の乳酸菌である。全世界の人間に2個ずつ配れる。

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これを全人類に2個ずつ。

更にこれ、65mlあたり150億個なのだ。1日の摂取目安量がそれくらいらしい。でもこのピルクルは500mlパックだ。つまりパックの中には、単純計算で1,154億の乳酸菌が入っていることになる。乳酸菌って「単純計算で」とか言って乱暴に掛けたり割ったりしていいものなのか分からないが、今回に限ってはよしとしよう。たくさんあると思った方がワクワクするので。

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マツモトキヨシにも100億あった。
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チョコも100億。
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これはヨーグルト。こんな風に成分表にこそっと10億とか書いてある場合もある。

戸澤くんとバンバン乳酸菌を探す。「あ、100億ありましたよ」「これは?20億?そんな大したことないね」「これも50億ですね」「さっき1,000億見たからねー」

投資家が話していると思っただろう。投資家ではない。乳酸菌を探す人たちだ。

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ダイソーで見つけたフェカリス菌1000。1000は1,000億の1000。
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フェカリス菌は球状で小さな乳酸菌。乳酸菌の形と大きさが売りになるのだ。

ダイソーでは他にも1,000億の飲料を2種類見つけた。「100円ショップに3,000億だよ!3,000億!」「3,000億ですね!」と興奮しながらレジに並んだ。3,000億である。ビルゲイツ3人いた時の純資産と同じ。

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あとこれは、おかしのまちおか(お菓子屋さん)で買ったビスコ。
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5枚で1億!

グリコは一粒300メートルだが、ビスコは5枚で乳酸菌1億個だ。3パック入っているので3億個だ。どうだ。どうだと言われても困るかもしれないが。

3億…、3億である。アメリカの人口が3億2,000万人ほど。だいたい同じくらいだ。

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アメリカの人口がここに入っていたら、と思いながら箱を見返す。
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その直後に行ったドン・キホーテ。迫り来るアメリカの人口。
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途中、ミスタードーナツでお昼を食べた。乳酸菌は0個。

銀行台帳に記入する

目についた乳酸菌を買っていたら荷物がかさばってきた。

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何千億も持っているのだからしかたない。

ここで一度、見つけた乳酸菌を記録してみることにする。

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これに記録する。
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銀行台帳である。
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桁の多い数字を書きやすそうなので。

Amazonで銀行台帳を買っておいた。大学ノートのタイプもあったのだが、ハードカバーのタイプを買った。これに何千億とか書けると思うとワクワクする。

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まずは戸澤くんに書いてもらった。

どこに何を書くか決めて、書いてもらう。「メーカー名のところ、『株式会社』は書きますか?」「乳酸菌が何種類かあった場合は行を分けていいですか?」と細かいところを確認してくれる。真面目だ。

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真ん中あたりにある横に長い数字が乳酸菌です。

「おおお…」と声を漏らしながら乳酸菌を記録していく。

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途中で交代した。

すごい桁の数字を銀行台帳に書いている。心地よい緊張感と達成感があった。事務処理欲みたいなものを満たしてくれてすごくよかった。

書きながら、当時の友人たちが今何をしているのか、とかそういう話をした。手ではウソみたいな数字を書きながら、口の方はこれ以上ないほど現実の話をしている。あまりに異質なものがすぐ近くにあって時空が歪むんじゃないかと思った。

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こんな感じで12品分書いた。

全部足したら685,834,615,000(6,858億)だった。

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「おーー」

今日買った乳酸菌、全部足したら6,858億。「おーー」だ。だって「おーー」以外なんと言えばいいのだ。

「もっといくかと思ったけどこんなもんだったね」「そうですね、1兆いくかと思ってました」拍手のあとでこういうやりとりがあった。乳酸菌の感覚がインフレしているのだ。

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「6,000億持ってそうな写真を撮ろうよ」と考えたが、銀行の前でポーズをとることしかできなかった。
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6,000億の集合写真

なくなった乳酸菌のことも書こう

しかしこれで終わりではない。せっかく銀行台帳を用意したのだ。「預入」の欄しか使わないのはもったいない。「引出」、つまり失った乳酸菌の数も書いていこう。

僕の手に持っている乳酸菌を資産として考えているので、戸澤くんにあげたり、食べたり飲んだりした乳酸菌が失われた分である。

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右側に書いてある数字が失われた乳酸菌。
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1,000億をゴクゴク飲んだ。
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遠目に見るとすごく桁の多いそれっぽい台帳になった。
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色んな欄を堪能したところで残高をまとめる。4,598億残った。

2,000億くらい飲み食いしたのだ。思ったよりいったな…!

バランスシートにしよう

得た乳酸菌と出ていった乳酸菌がある。それぞれ数千億ある。最後にこれを貸借対照表(バランスシート)みたいにしてみよう。

できたものがこちらである。

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やっぱり桁が多くて愉快である。バランスシートっぽい。でも乳酸菌のことが書いてある。「負債」って本来食べちゃった分の数字じゃないし、「純資産」もこれから食べる分のことじゃない。それっぽさがあるだけで全然バランスシートではないのだが、とにかく巨大な数字を足したり引いたりする喜びがあった。

しかしこれ、全部食べ物なのでいずれ食べることになる。6,858億をだ。6,858億、全部食べる。昨年末に日立製作所がスイスの会社を買収すると発表したが、その金額が7,000億。原稿を書いている今、だいたい5,000億くらいは食べたが全部おいしかったです。


本を借りた

バランスシートを作るぞと意気込んで図書館で本を借りた。経理に少しは詳しくなったと思うのだけど、この原稿にはあまり活かされなかった。
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3冊借りた。
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あと、ビスコに「乳酸菌くん」がいた。シンプルでかわいい。

 

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