世界遺産、の近くにある変わったパン（デジタルリマスター）

帰りたい

中村製パンさんの前のテラスでしばらく横になっていた。林さんと横山さんは町の探索に出てしまった。道行く観光客がみんな幸せそうに見える。ああ、布団で寝たい。

中村製パンさんは盛況で、気付くと行列が出来ていた。

年配グループが中村製パンさんで買ったパンを持ってテラスにやって来た。

「あなた、4つは食べ過ぎよ。ギャハハハハ」
「それとこれ取り替えっこしましょうよ。ギャハハハハ」

特に笑う所ではないと思うのだが、みなさん必ず最後に笑う。しかも、凄く大きな声で、胃に響く。

皆さんの座る場所がなくなってしまうので、寝ている訳にもいかず、仕方なくベンチに腰掛けた。この時、僕の胃痛はこの日のマックスであった。

10日後、東京

2週間後、僕は東京の総合病院で検査の結果を待っていた。取材後、痛みは治まったのだが今まで経験した事のない痛みだったので、念のため内視鏡検査を受けておいたのだ。

病院の待合室でも年配の人たちに囲まれた。石見銀山の時と違い、みんなとても静かだ。小一時間待たされて、診察室に呼ばれた。

診断の結果、島根の時は胃に穴が空く寸前だったらしく、それとは別に十二指腸に潰瘍も出来ているとの事であった。先生から禁煙を強く指示されて病院を出た。

急に禁煙は難しそうなので、横山さんが言っていた強い炭酸飲料を胃に流し込んで胃を鍛える、という作戦を実行してみようと思う。

変わったパンの話であった

世界遺産の近くに変わったパン屋さんがある、というレポートのはずであったのだが、途中から僕の胃の話になってしまった。しかし、確かに世界遺産の近くに変わったパンはあったし、林さんと横山さんは実際に食べる事も出来た。期待以上でも期待以下でもない、変わったパン。今度、石見銀山に行く機会があったら絶対に食べたい。