取材で北海道は別海町に来ていた。
広大な農場や牧場を擁する町の中心部、別海市街エリアでは旧国鉄標津線の別海駅周辺からパイロット国道と呼ばれる国道243号にかけての路地に飲食店や商店が立ち並び、生活感に溢れている。
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北海道の東端、オホーツク海に面した尾岱沼や野付半島などの自然が織りなすこの世のものとは思えぬ絶景や、そこで育まれた絶品グルメを堪能できる別海町のキャッチフレーズは「ここまでくると、べつせかい」。
しかし、別世界は雄大な自然の中だけでなく、商店街や住宅街の一角にも存在していた。
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ほのぐらい地下迷宮や城、時には誰かの家の中に置かれ、「しらべる」を押すだけで武器や防具他各種お宝をゲットできるあの魅惑の木箱がよくあるゴミ捨場を異世界に変えていた。
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これまで旅先で街を散策してはゴミの集積場、すなわちゴミステーションを観察してきた。ここ別海町にも様々な形状、置き方、そして独自の看板があり、ほほう、いいねとうなっていた。
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そんな中でこの宝箱の斬新さは比類なきものだった。地元の方に聞いたところ、宝箱は間違いなくゴミステーションで、わりかし最近に出現したとの事。
近くに住んでいるおもしろおじさんの機転か何かと思いきやここだけでなく、町のあちらこちらに置かれていた。
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一見同じに見えるがよく見るとデザインが微妙に異なっているところに現実世界ならではのリアリティを感じる。たしかにアリアハンとサマンサオサでは宝箱を発注しているメーカーも違うだろう。
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かなり開けたい衝動に駆られたが余所者が開けるのはだいぶまずいだろう。というかゴミ捨場でこれなんだから人ん家とかでがんがん箱を開けて中身を取り出す勇者のメンタルはすごいな。
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そぼ降る雨の中かざした傘は剣だ。東端の町で中年の勇者となった私は宝箱を求めて路地を曲がった。
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後日町役場に問い合わせてみたところ、2019年に町内会の企業の社長が善意でごみステーションを作り、当初は一般的なものだったが、町内の子どもたちに楽しんでもらえるようにとこのような宝箱デザインになったらしい。
そのうちひのきのぼうや各種鎧、薬草などを扱う店が現れ、「死んでしまうとは何事じゃ!」とがんばったのにキレてくる王が君臨するなど宝箱から始まる町づくりが推進されるかもしれない。
次の冒険が待ちきれない、ラリホーマ。