特集 2020年9月14日

レジの透明シートはどう設置されているか

レジの透明シートの設置のしかた基本の4タイプ

コロナの流行によって一気に新しい常識となった「レジの透明シート」。お会計のときに、店員とお客さんの間の飛まつをブロックするためのものだ。

この透明シート、コロナより前には全く想定されていなかったことから、お店ごとにいろいろ工夫して設置されていて面白い。

その工夫の数々と、バリエーションの豊かさを調べたのでご紹介します。

1984年岐阜県生まれ。変な設定や工作を用意して、その中でみんなでふざけてもらえるような遊びを日々考えています。嫁が世界一周旅行中。

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透明シートの設置のしかたは4タイプ+あわせ技

レジの透明シートの設置方法がおもしろい。
そう思って以来、しばらく「レジを見てまわる」休日をすごした結果、ぜんぶで87個の事例をあつめることができた。

それらはいくつかのタイプに分類することができたので、まずはそちらからご紹介したい。

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レジの透明シートの設置方法は、「天井から吊る」「もともとの設備をいかす」「下から立てる」「卓上」の基本4タイプと、そのあわせ技に分類された。

基本の4タイプが、どれかがすごく多いということはなく同じぐらい普及しているのが面白い。

それぞれのお店の判断で自由に設置されているものが、かたよりなく4つのタイプに集約されるというのは、心理なのか自然なのか、なにかの法則にそっている感じがして興奮する。レジの透明シート学会があったら今すぐ報告したいところだ。

では、それぞれどんな設置方法があったのか。タイプごとに見ていこう。

タイプ1:天井から吊る

1つ目は、天井から吊っているタイプ。レジに透明シートを設置するとなったら、どのお店も1回は検討するであろう王道だ。

吊りフックに引っかける系

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とあるコンビニ(※今回は記事の主役が透明で分かりにくいので、黄色く囲ってご紹介します)
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天井にフックをさし、シートの端に穴をあけて直接引っかけている。
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こちらのコンビニは、
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同じくシートをフックに直接引っかけるパターン。シート側に引っかけるための穴が用意されているという進化系。

天井に直接固定系

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同じくコンビニ。さっきと似たような見た目だが、
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こちらはホチキスのような針(タッカーと呼ぶそうです)でシートを天井に直接固定。
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きれいに固定できると、天井部分がスッキリして見える。
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防犯カメラや換気扇など、レジの上にいろいろついてるとよけるのが大変そう。

タッカー以外に、画びょうやネジで固定しているものもあった。

天井にひもを固定系

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こちらはたこ糸をシートの端の穴に通し、その糸をタッカーで天井に固定。

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このコンビニは、毎年ハロウィンが近づくとすごい数の飾りを天井から吊っている。思わぬところでノウハウがいかされた。
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こちらはネジでたこ糸を固定しているパターン
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赤と白の糸を使っていてかわいい。

吊りフックとシートのつなぎ方が様々

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「天井から吊る」の分類としてここまで3つのパターンを紹介したが、その中で圧倒的に多かったのは「吊りフックに引っかける系」だった。

ただ、その吊りフックと透明シートをどうつないでいるかを見ていくと、そこには宇宙のようなバリエーションが広がっていた。

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吊りフックにクリップをぶらさげて、シートを挟むタイプ

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吊りフック→金属チェーン→S字フック→透明シート

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吊りフック→リング→フックつきクリップ→透明シート

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吊りフック→S字フック→ひも→プラスチックの棒→透明シートをテープで貼る

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吊りフック→リング→S字フック→ひも→突っ張り棒→透明シートをテープで貼る

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吊りフック・壁紙を丸めたもの・透明シートを結束バンドでくくる

天井に設置したフックを利用して透明シートを吊るという点は同じでも、そのフックとシートをどうつなぐかは店によってさまざまだった。

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都市部のバス路線図のような複雑さ

この無限のバリエーションに、それぞれのお店の人たちの奮闘を感じる。

レジの透明シートが増えたのは、おそらく緊急事態宣言があけたころ。どのお店も早く営業を再開するために、急いでシートを設置した。

「まわりのお店はどうしてるかな?」と様子をみている時間もなかったことだろう。それぞれのお店にその時いたメンバーのアイデアや、その場にあった物から決められたことがうかがえて面白い。

正直なところ、冷静にみると「このパーツはなくてもいいのでは?」と思うものもある。

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たとえばこの場合、リングはなくても良さそう

でもそれは、それぞれのお店が必死に急いで対応したことの証。余分なパーツこそ愛おしく見える。

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レジではないのでノーカウントにしたが、駅ナカのそば屋さんのカウンター下も良かった。
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天井に磁石を貼って、そこにちょうつがい式の金具をくっつける。家の収納がきれいにおさまった時のような、ピタッとはまる気持ちよさがある。
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タイプ2:もともとの設備をいかす

つづいては、もともとレジのまわりにあった設備をいかしてシートを設置しているタイプ。

レジ上の飾りをいかす

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レジ上のおしゃれな壁の裏側にテープで貼っている。透明シートを設置するのがいちばん簡単なレジの形。
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こちらもちょうどいい飾りと壁があるので、テープで貼るだけ。
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リボンで吊るとグッとおしゃれに

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レジ上の照明用レールをいかす

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レジ上に照明用としてついているレールからも吊ることができる
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こちらはシートの端にリングを通し、照明レールについていたフックに引っかけている。

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レジの上に何かがあれば、天井にフックを設けなくてもシートを吊ることができる。さらにそれがテープで貼るだけで済むともなれば、お店を設計した人への感謝すら生まれそうだ。

このタイプのお店は、レジに透明シートを設置することにおける勝ち組といえる。

レジ上の看板をいかす

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もともと吊ってあった看板にシートをかぶせてクリップでとめる(※写真が撮れなかったレジはイラストでご紹介します)

レジ上の照明をいかす

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レジ上の照明に、クリップや園芸用の支柱をうまく使って設置。ゼロから考えるのは難易度が高そうだけど、ちゃんといかせているのがすごい。

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事情を知らない人が見たらなにかの風習のよう。

いかせるのはレジ上だけじゃない

ここまではレジの上にあるものをいかしてきたが、いかせるのは上だけではない。

レジ横をいかす

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ドラッグストアで見られたパターン。レジの真横でグミや飴などを売っているラックを糸でつないで、シートを吊っている。
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こちらもドラッグストア。レジ横の飾りを糸でつなぐ。

レジの柱をいかす

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レジの片側だけもともと天井とつながる柱があったパターン。反対側にも突っ張り棒で柱を設けることで、床と並行な棒を設置できるようにしている。
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タイプ3:下から立てる

L字型スタンド2本系

3つめは下から立てるタイプ。

このタイプで多く見られたのは、スーパーなどでチラシを掲示するためのL字型スタンドを2本使い、大きなシートを両側で固定するやり方だ。

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スタンドについているクリップを使ってシートをはさむ。

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スタンドが倒れないよう、足をレジでおさえているか、テープでしっかり床に貼っているのが共通点。

L字型スタンド1本系

一方で、スタンド1本で対応しているところもあった。

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製本の背表紙に使うようなプラスチックを使って横棒を長くすることで、スタンド1本でもシートが張れる面積を広くしている。

これぞ知恵!というやり方に興奮し、思わず心のなかでライブ会場のように拳をつきあげた。

このお店では、各レジに2本ずつL字スタンドを置くには数が足りなかったのかもしれない。
どうしよう…?となっている中、このアイデアを思いついた人はきっとヒーローになったことだろう。臨時ボーナスをあげてほしい。

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こちらは、シートの裏に薄い発泡スチロールを貼って、スタンドの横幅より長いシートでもピシッとはさめるようにしている。

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レジに固定系

下から立てるタイプでもう1つ多かったのは、オリジナルのスタンドがレジに固定されているパターン。

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塩ビパイプでつくったスタンドをネジでレジに固定
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こちらは金属でできたスタンド。既製品っぽいスタイリッシュさ。
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と思いきや、よく見ると透明なテープで補強していた。急に人の手を感じられて愛おしい。
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こちらは、のぼりを立てる棒を全てテープでレジに固定
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近所のホームセンター。レジのまわりにしっかりした木枠を設置。
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木枠はレジの台にネジでがっちり固定
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脚もL字の金具とネジで床に固定。さすがホームセンター!というDIY。
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きっと材料も店内で調達
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タイプ4:卓上

チラシスタンド複数系

4つめはレジの卓上に設置されているタイプ。

ここでは、複数の卓上チラシスタンドで大きなシート1枚をはさむパターンがいちばん多かった。

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ちゃんと工場でつくった系(既製品)

次に多かったのは、既製品のようなきちんと作られたものをレジ台に置くタイプ。

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机の幅ぴったりで気持ちいい。オーダーメイドかもしれない。
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メタリックなフレームがレジの雰囲気にあっている。

さすがは既製品。お金はかかっていると思うが、サイズや雰囲気がマッチしていて、そのレジの一部としてとけこんでいる。

ほんとはこういうのがいいなぁと思っている店長さんは多そうだ。

自作の卓上フレーム系

ならばと、既製品を買うのではなく卓上のフレームを自作しているお店もあった。

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組み立て式のパイプを組みあわせている

つっぱり棒系

つっぱり棒を使ってレジと天井の間に支柱を設けるパターンもあった。

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つっぱり棒でつくった支柱に、園芸用の支柱を結束バンドで固定

このあわせ技がすごい!

ここまで、基本の4つのタイプを見てきたが、それらを組みあわせて設置しているのが「あわせ技」タイプ。

これまで以上に工夫やそのお店の事情がつまっていて、レジの透明フィルム観察のいちばんの見どころだ!

天井から吊る+下から立てる

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ギフト用のタオル屋さん
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レジの右側は下から立てているが、
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左側は天井のフックから吊っている。ななめ上のかなり離れたフックから吊っていることと、大きなS字フックが目立つことから、ダイナミックで見ごたえがある。

もともとの設備をいかす+下から立てる①

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こちらのレジは3段がまえ。まず、正面の部分はレジ上のかざりをいかして吊られている(A)
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一方でレジの側面は、L字型スタンド2本のパターン(B)
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そして、その間の部分はシートをAとBにテープで貼ることで埋めている。
同じレジの中で、場所によってシートの設置方法がまったく違うのがおもしろい。

もともとの設備をいかす+下から立てる②

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こちらは家電量販店の大きなレジ。レジの左右にL字型のスタンドを置くパターンがベースになっているのだが、それだけでは支えきれないほど透明シートが大きい。
そこで、もとから吊ってあったレジの看板にもクリップではさむことでサポートしている。

映画などで、主人公が地上で苦戦しているときに空から助けがやってくるというのは盛りあがる展開だ。このレジも、要素としてはあのシーンと同じだからだろうか。見ていると高まるものがある。

天井から吊る+卓上

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シートの左右の端を上からヒモで吊っていて、それだけで設置できているように思うが、横につっぱり棒も立っている。
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そしてよく見ると、シートとつっぱり棒はテープで固定されている。
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まわりを見ると、外に出る扉が近くにあり、風でシートがヒラヒラしないためのつっぱり棒とテープだった。あとから気づいてつけ足されたものかもしれないと思うと、ここにも人の営みを感じる。

天井から吊る+もともとの設備をいかす+卓上

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いちばん多くの設置方法が同時に見られたのはこちら。コンビニだけど、透明シートの設置に関しては技のデパートだった。
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以前タバコを入れていたという什器にはテープで貼り、
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ホットスナックの保温ケースの上には卓上のアクリル板。
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中華まんの保温ケースの上は天井から吊るシートで守り、いちばん左のスペースはつっぱり棒を使っての対応。
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少しのすき間も許さないという強い意思を感じる。

今しかない面白さ

レジの透明シートの設置方法をタイプ分けして紹介してきたが、その中の1つ1つには、それぞれのお店の人が限られた時間の中で試行錯誤したことが感じられて面白かった。

期待もこめてになるが、このレジの透明シートは、きっとしばらくしたらなくなっていく。それまでの間、期間限定の面白さとして積極的に味わっていきたい。

【イラスト協力】
七星 海咲

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