本来は布を買いに来たいところ
日暮里にやってきた。上野あたりから集約されてきた線路が田端の機関区へと、まるで筋繊維のようにつながっていく中途の駅だ。このあたりの跨線橋もなかなかだと聞いてやってきた。
この芋坂、「自然薯がとれたから芋坂」という実にのんきな由来に反して、上野の彰義隊の退却路だったそうで、その後隊士らが日光に落ち延びていく際に「手負い数名を乞われるままに絶命させ」たという、なんともすさまじい場所だった。
というのは実は後から知った話で、橋の上にたどり着くと、柵の構造のせいでこれまたシュールなたたずまいだ。
このとおり人影はまばらで、柵も高くて密に生えており、道を撮るだけでは取材の間が持たず、電車ばかりが気にかかる。動くものはとりあえず片っ端から撮影だ。
フェンス越しに撮れた鉄
この橋は谷中の墓地方面へと続いている。ならば墓地を抜けて、もうひとつの跨線橋へと行ってみることにする。あまり墓地は通りたくないのだが、地図では墓地を通ったほうが近道だ。というか墓地に道があるならそこから行くべきなのだろう。
フェンスだ。両側から野球場がドドドドドと迫ってきたような橋だ。こういうとき「昭和の香り漂う・・・」とか言うもんなのだろうが、これが昭和のものかどうかはよくわからない。
このフェンス、ところどころ格闘家のコブシ大の穴が開いている。何か意味のあるような開き方な気がするが、もしや。
橋で遊ぶ子供や自転車の親子がいたり、あ、あと犬も数匹散歩していた。この橋には、先ほどの芋坂跨線橋と違って活気がある。大きい通りに近いせいもあるが、このフェンスのせいで風景がより見やすいからでもあろう。実際、カメラ穴がいくつか開いて、京成線も大きく撮影できる。味、という点では圧倒的にこちらの勝ちだ。何を競う理由もないけども。
最後に、以前見かけて印象的だった、あそこに行ってみよう。有名な場所ではあるが、改めてたたずんでみたい。