日本のヨーグルトの問題点
10種類のヨーグルトを試して気が付いたことは、多くのヨーグルトがさっぱりしたラッシーになってしまうことだ。もっと、コクがほしい。製品化されている日本のヨーグルトは、どうも脂肪分が少ないきらいがある。
近年、脂肪分0とかのヨーグルトも出ているそうだが、しかし私の理想のラッシーは、そのトレンドとは逆。もっと濃厚で、コクがあるヨーグルトの方が望ましい。
とは言うものの、いまさら自分でヨーグルトを作るわけにもいくまい。どうしたものかと考えた結果、脂肪分が少ないのであれば、それを補えば良いとの結論に達した。牛乳の代わりに、クリームを使うのである。




すみません、これを試した私が馬鹿でした。
本当に酷い味で、しつこく、くどく、油っぽい。まるで体が拒否しているかのごとく、喉を通らない。無理矢理飲んでも、嫌な後味が口の中に広がり、いつまでも居座り続ける。とてもではないが飲めたものではなく、一口でギブアップ。
動物性脂肪の純粋なクリームが売っておらず、植物性脂肪のクリームに妥協したのもダメだと思うが、そもそも、いくら脂肪分が足りないからといって、牛乳の代わりにクリームを使おうという短絡的思考が間違いだった。
水分を減らして脂肪分を増やす
とまぁ、そんなどうしようもない感じで暗礁に乗り上げていたものの、そのような折に、とある方から貴重な助言をいただいた。ヨーグルトの水分を抜いて、脂肪分を調整すれば良いのではないかということだ。
なるほど、それは私が思いも付かなかったアプローチだ。脂肪分を追加するのではなく、ヨーグルトから水分を抜いて脂肪分を凝縮するという、まさに逆転の発想。
これは試す価値がある。早速、やってみよう。






一口飲んで、度肝を抜いた。とんでもなく、うまいラッシーができてしまったのだ。
濃厚かつ、滑らかな舌触り。しかし、さわやかな酸味はそのままだ。いやぁ、これは本当に凄い。一手間かけるだけで、ここまでラッシーが化けるとは思わなんだ。
今回は、普段使い用のヨーグルトとしてブルガリアを使用したが、これをもし、ただでさえ濃厚な味わいの十勝ヨーグルトで作ったら……いやはや、想像するだけで辛抱たまらん。
フレーバーを変えてみる
水分を抜くという技術を学び、今、はっきりと理想のラッシーのゴール地点が見えた気がする。後はもう一工夫といった所か。……そうだ、他のフレーバーを試してみよう。
これまでは、純粋にラッシーを味わう為に、砂糖を入れただけのスウィートラッシーで試していたが、しかしラッシーはもっと自由であるべきだ。砂糖だけではなく、ラッシーに合いそうな、様々な風味を加えてみようではないか。

味を変えるといって私がまず思いついたのは、砂糖を違うものに変えてみるということだった。ただの白砂糖ではなく、別の甘味料を使おうというわけだ。


残念ながら、これはイマイチだった。ハチミツを結構リッチに使ったつもりだが、思ったほどの甘みを感じない。それなのに、ハチミツの味はしっかりする。いや、むしろ、ハチミツの味が浮いてしまっていて、くどい。
まずいわけではないのだが、どうも、ヨーグルトと馴染んでいない。もしハチミツを使うのだとしたら、隠し味程度にした方が良かったのだろう。


ハチミツが残念な結果に終わってしまったので、さほど期待していなかった黒蜜であるが、意外や意外、結構おいしいラッシーができた。
それはまさに黒蜜味のラッシーといったところで、濃厚な甘味を感じるが、ハチミツのようにくどくはなく、コクのある上品な甘さ。極めて和風である。ラッシーとは別物のような気がしないでもないが、これはこれでアリだろう。
フルーツ登場
さて、ラッシーのフレーバーと言えば、やはりフルーツを外すことはできない。たいていのフルーツはヨーグルトに合うし、実際、フルーツサラダにはヨーグルトソースが基本である。


これはもう、鉄板中の鉄板だ。バナナとヨーグルトを組み合わせて、まずくなるなんて考えられない。そりゃぁ、うまいに決まっているだろう。


パイナップルもまた、ヨーグルトと非常によく合うフルーツだ。もちろん、間違いなくうまい。うまいのだが……先ほどのバナナと比べてしまうと、どうしても一歩後退してしまう感は否めない。それだけに、バナナとヨーグルトの相性は抜群なのだ。


スーパーでたまたま見かけたので思わず買ってしまったマンゴー。南国のフルーツなので、ラッシーには合うのではないかと思ったが……これはダメだった。
そのまだ青い見た目からして嫌な予感はしていたのだが、やはり熟していなかったのだろう、物凄くすっぱいラッシーになってしまった。マンゴーってもっと甘くなかったっけ?これ、本当にマンゴー?と疑いたくなるようなすっぱさだ。
熟した状態では痛みが早く、日本に輸入することができないのだろうが……う~ん、日本で買えるマンゴーの取り扱いには、十分な注意を要すると分かっただけでも収穫だろうか。それにしても、すっぱい。
とまぁ、だいぶラッシーを飲み続けてきたが、そろそろまとめる時間が来た。というか、ラッシー三昧で血糖値が上がりっぱなしだし、体温は逆に下がりっぱなしだし、腹の堤防は決壊したままだし、いい加減終わりにしないと再起不能になりそうだ。
というわけで、最後は今回のラッシー研究で編み出した、私の理想のラッシーを作って、終わりにするとしよう。