「もっとやれるはず」というリピート理由
はじめてのスタイルと選択肢の多さに、ムーガタの99分間はあっという間に過ぎていった。
帰りの電車のなか「今度はもっと肉や海鮮を煮て食べたい」「ナムチムを混ぜるのもやってみよう」など、僕は次に行くときのことばかり考えていた。口コミを見たら、しめにインスタント麺を入れることもできたらしい。
すごくおいしかった。でももっとやれるはず。
ムーガタは、そんな次への意欲が自然とわいてくる焼肉でもあった。
【取材協力】
MOOKATA湯島店
続いて鍋をいただこう。
先ほどの焼肉があれだけおいしかったのだ。
きっと鍋もタイならではのダシがきいていて、さぞかし五臓六腑にしみわたる、はぁ〜生きてて良かったという味がするのだろう。
そう期待しながら、まずはスープを一口すすってみると、
のどにソムリエを降臨させれば、タイぐらい遠くにカツオだしを感じなくもないが、ただの食いしん坊の感覚ではシンプルなお湯。
そこで煮込まれていた野菜は、しゃぶしゃぶチェーンの名前ではない本当の温野菜。でもさっきのナムチムをつければしっかりおいしく、よせ鍋をぽん酢につけて食べるような楽しみ方なのかもしれない。
ただ、ここで気づいた。
これ、育てるやつだ。
今いちどこのムーガタ鍋に注目すると、鉄板で焼いた肉からあふれたうまみや脂が、ドームをつたって鍋ゾーンに流れこんでいた。
まるで源流の雪どけで川の水量が増すように、肉を焼けば焼くほど鍋のおいしさが増していくのだ。
僕と石川さんのギアが上がる音がした。
ここからしばらくは、とにかく焼いて食べることに集中だ。たくさん食べてうまみを出して、鍋のスープを一人前にするのだ。
気づけば我々は、これを努力と呼んでいた。
そんな爆食モードで、鉄板いっぱいに焼いては食べてを2回転ほどやった結果、
野菜に味がしみこみ、口のなかでうまさがジュワッとあふれるようになった。
正直に言えば、これでもまだナムチムはかけた方がおいしい。でも確実に成長している。上手くはなくてもよくここまで頑張ったと、子どものピアノの発表会を見る親のような喜びがある。
今回は2人で育てたが、もっと大人数で焼肉をすれば、より仕上げることができるのだろう。
ここまで見ていただいた通り、このムーガタは、食材・調理方法・ナムチムなど、自分で選べる要素がとても多い。
そのため、次どうしようとか、これどうしたらいいんだとか迷うこともあった。
その一方、これだけ選択肢があるからこそ、あるものは何でも使って自分だけのおいしさを見つけたいという気持ちにもなってくる。
そんな中で1つ気づいたのが、
この日いちばんのタイらしいおいしさを味わうことができた。
結果だけ見れば、タイ料理屋で肉とパクチーを一緒に焼いて食べたらそりゃうまいだろうと思うかもしれない。
でも、この「あらゆる手段を使っておいしい食べ方を見つけるぞ」モードになっていなければ、飲み物に入っているパクチーを焼こうとは思わなかったと思う。
それぐらい、ムーガタはおいしさに対する探求心を引き出してくれる焼肉だった。
はじめてのスタイルと選択肢の多さに、ムーガタの99分間はあっという間に過ぎていった。
帰りの電車のなか「今度はもっと肉や海鮮を煮て食べたい」「ナムチムを混ぜるのもやってみよう」など、僕は次に行くときのことばかり考えていた。口コミを見たら、しめにインスタント麺を入れることもできたらしい。
すごくおいしかった。でももっとやれるはず。
ムーガタは、そんな次への意欲が自然とわいてくる焼肉でもあった。
【取材協力】
MOOKATA湯島店
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