旅先から愛を告げる
恋わずらいが旅にでると、こんな手紙を書いてしまうという例みたいな手紙文。
旅行をしている間は気もまぎれようかと思って出かけましたが、行く先々の土地にあなたの幻が待っていました。駅のプラットホームに、ホテルの部屋に、そして喫茶店のシートに、あなたの幻は一定の距離を保って私に対面しつづけます。
でも、あなたには責任のないことです。私が勝手に描き出した幻です。消す術のない、私の心に芽生えて大きく育った、愛の記念像です。だから私は、一生この祈念像を大切に守っていく決心をしました。
帰京したら、幻でない現身(うつしみ)のあなたにお会いしたいと願っています。
幻が見えるという。大丈夫か? と思うが「私が勝手に描き出した愛の記念像」(なにそれ?)ということなので、ただの恋わずらいだなということで胸をなでおろす。
「現身(うつしみ)のあなたにお会いしたい」のあたりなどは、もはや万葉集の恋の歌のようでもある。
リアルでこういう手紙受け取ったら若干身構えると思うけど、記念像のところをセミの抜け殻みたいなポップ(?)なモノに変えて、aikoが歌ったら普通のラブソングっぽくなるような気もする。
嫉妬を感じて
ラブレターの文例集があれば、もうちょっと段階が進んで、結婚するかどうかみたいな話の手紙ももちろん文例がある。
なになに、特別な関係だと思ってた女の子が別の男と歩いていた……で、紹介もしてくれずにどっか行っちゃった……。
いやー……めちゃくちゃ脈ないでしょそれは! ……と、完全に「テレフォン人生相談」のノリで読めるのがたのしい。
あなたの縁談が気になる
もう一つ、こちらは恋人(だと送り主は信じている)の縁談が気になるという手紙。
縁談の件を尋ねる前に、生産者米価の報告をする送り主。
二度も出した手紙の返事がないというのは、いわゆる「そういうとこだぞ」というやつではないでしょうか?
おそらく、真面目で誠実な人なんでしょう。でも、真面目で誠実であるかどうかと、男性としての魅力があるかどうかはまた別問題なんだよなぁ……。
女から妊娠を知らされて
もちろん、恋愛関係がこじれた場合の相談の手紙なんてのもある。
あぁー、これは良くないやつだ。
「なにヌルいことぬかしてやがんだ、このスットコドッコイ! 腹ァくくって、自分のケツぐれぇ自分で拭きやがれ! べらぼうめ!」
……と、思わず叱ってしまいそうになるのだけど……安心して欲しい。これは、架空のお話です! この文例中に出てきた妊娠した女性やヌルいこと言ってる男は、存在しません! ということで、ひと安心だ。
『アルマゲドン』を見たあとに「なんだ、小惑星衝突は架空のお話かぁ、よかったぁ〜」と、安堵するのと一緒だろう。
弟のような年下の青年を愛して
もう、タイトルの時点でヤバい!
ふ、深間にはまったか……。で、そのうち、青年がこんなことを言い出すようになる。
ちょっと尋常じゃないけれど、相手の青年はそれほどあなたのことを思っているわけね。あなたの気持ちはどうなの?
なるほど……これは、本人としては答えが出ているタイプの相談ですよね。「大丈夫、気にせず結婚しなさい」と言って欲しいやつ。
とはいえですよ、架空の話なんでね、こっちも真剣に考えることはない。「こういう設定のドラマあるかもな〜、もしあったら主演は麻生久美子がいいな〜」ぐらいの気持ちで読めるのがいい。
しかしこれ、国語辞典なんですよね。こんな妄想が捗る国語辞典、他にない。
友を裏切ることはできない
中には、断りの手紙も載っている。もちろん、ラブレターの。
女友達の夫か彼氏から、横恋慕というか、心移りのラブレターかなにかを貰っちゃった女性の断りの手紙だ。
「お手紙を火中させていただきました」というところで、真田昌幸(草刈正雄)が、敵からの手紙を囲炉裏にくべるシーンしか出てこなかった。
しかしこれ、今で言えば「おぢからのイタいLINEを、スクショでXに晒して炎上させる」みたいなムーブだと思うが、今も昔も燃やすことに変わりがないのが因果なものだ。
続いての「断りの理由」がまっとうなんだけど、言葉遣いにちょっと引っかかるところもある。
「抱いていただきたい」だ。
「抱きしめてあげて」じゃなく「抱いていただきたい」。
なんか、言い方ひとつで印象がガラッとかわってしまう……。

